大阪の高校生らがバンコクの最大スラム街を訪問
Global News Asia / 2018年4月15日 9時15分
2018年3月27日、タイ最大のスラム街裏路地を大阪からやってきた高校生たちが見学。簡素な住居に暮らす人々や子ども達の問題について、現場で長く活動するNGO職員たちの話に耳を傾けた。
タイを訪れたのは、大阪府立松原高等学校の生徒たち8人と引率の教師3名のほか、案内役としてツナミクラフト代表東山高志氏と国際ロータリークラブからも1名が帯同した。3月21日からタイ南部プーケット、パンガー県、ラノーン県の津波被災地域を訪問し、当時から復興に関わってきた住民達との交流。帰国前日の27日にバンコクへ立ち寄り、タイ最大と言われるクロントイスラムを訪れた。
同校では、国際ロータリー第2640地区(松原中ロータリークラブ)の支援で、20年ほど前から毎年学生達にタイをはじめとする海外での体験学習の機会を設けている。
今回訪問したクロントイスラムでは、NGO団体ドゥアンプラティープ財団を訪問。同財団が運営する幼稚園で、挨拶がわりに「ソーラン節」を披露した。続いて危険だと言われ、タイ人でも立ち入ることを嫌がるスラムの裏路地を職員の案内で、散策して周った。学生達は、散策後に同財団の活動や現在の問題などの説明を受けると、政府の施策に振り回される社会弱者に対する同財団の姿勢に感嘆と共感を示していた。
クロントイ・スラムは、干ばつなどで収入が無くなっていた地方から、隣接するバンコク港で働くために出稼ぎに来た労働者達が、空いていた土地に不法に家を建てて広がった。しかし、不法ゆえに幾度となく政府による強制立ち退きを迫られ、かつ正当な福祉サービスや子供達への義務教育も受けられない状態だった。そんな折り、同地区で生まれ育ったプラティープ・ウソンタム・秦さんが、子ども達に対して1日1バーツ学校を開設。その活動が認められてアジアのノーベル平和賞と称されるラモン・マグサイサイ賞を受賞。その賞金で財団を設立した。
後に1バーツ学校が公立学校へと編入されるなど政府からも一定の評価をされ、タイ王室からの支援が行われたこともある。しかし、その一方で、衛生管理や公共福祉、教育、そして強引な大型施設の建設計画の推進など対立する問題は無くなっていない。現在は、カンボジア、ミャンマーなど隣接国からの労働者がスラムの新しい住人として増加する中、今年8月に設立40年を迎える。同地区では他に、5つのNGO団体が活動、連携して政府などと問題解決の折衝を続けている。
また、このスラムの住民達は、阪神淡路大震災や東日本大震災など、かつての日本の災害時に進んで募金を寄せ合い100万円以上を寄付している。
【取材/撮影 : そむちゃい吉田】
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