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ムダに長いメール、送っていませんか?「贅肉だらけの文章」を「スリム&印象のよい文章」にする方法【大東文化大学名誉教授が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月25日 10時15分

ムダに長いメール、送っていませんか?「贅肉だらけの文章」を「スリム&印象のよい文章」にする方法【大東文化大学名誉教授が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

文章を書く際には簡潔に情報をまとめることが大切です。しかし、長々と書いた挙句、何を言いたいのかよくわからない文章になってしまうということは少なくありません。そんな悩みを解決する第一歩として、文章の無駄を削ってみましょう。山口謡司氏の著書『言語化100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、わかりやすい文章を書くポイントを見ていきます。

パッと浮かんだ文章に使いがちな「余計な言葉」

一度書いてから文章を読み直してみると、意外に無駄な言葉を使っているものです。「頭に浮かんだこと」を文章として言語化したときに出てくる余計な言葉は、思い切って削ってしまいましよう。

なぜ余計な言葉を入れてしまうのかというと、理由が3つあります。会話をするときに使っている言葉のクセが出てしまう。より情報を詳しく伝えたいと思う心が強くなりすぎてしまう。自分が書いた事実や意見をはっきり断定してもいいのか迷ってしまう。

こうして生まれた余計な言葉は、相手が文章を読むリズムをとめてしまいます。あなたが本当に伝えたいことも、伝わりにくくなるので、削った方がいいのです。

とはいえ「文章のどの部分が無駄なのかわからない」という人も多いでしょう。余計な言葉は無意識のうちに書いていることが多いので気づきにくいのです。しかし、それゆえに文中には確実に余計や言葉が存在しています。

削りすぎてしまった結果、情報不足になって意図が伝わりにくくなりはしないだろうか。そう心配する人もいるでしょうが、文章を削る勘所さえわかっていれば大丈夫です。ではその勘所について述べていきましょう。

まず、文章の骨格となる要点に注目することです。そして、それを伝えるために、「果たしてこの言葉は本当に必要なのだろうか」と考えてみましょう。たとえば、「〇〇の方」「〇〇かどうか」は削除してかまいません。

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報告書の方はご確認いただけましたか」→「報告書はご覧いただけましたか」

「集客告知に広告を出すかどうか悩んでいます」→「集客告知に広告を出すか悩んでいます」

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これは会話をするときに使う言葉のクセが出てしまっているので、省略しても問題ありません。

また、「信号を左に曲がると、すぐに黄色い屋根のケーキ屋さんが見えてきます」などの「黄色い屋根」は、そうです。ケーキ屋さんは信号からすぐの距離にあるので説明はいりません。よって省略することができます。

このように、削っていい勘所が自分でわかるようになれば、必要な言葉は残したまま「要点だけが目立つ、短くて読みやすい文章」を書くことができるようになります。

【ポイント】

●一度書いて読み返すと、余計な言葉が見つかる。

●会話のときに使う言葉のクセは省略できる。

●詳しすぎる説明は削除することができる。

●削る勘所をつかめば、短くわかりやすい文章になる。

「ていく」「いる」「という」は削除しやすい

読みやすい文章を書くためには、一文にある余計な、贅肉を削っていくことが大切です。いわば言葉のダイエットですね。まず削りやすいのが無意識に使ってしまっている言葉です。ここでは3つの言葉を挙げておきましょう。

まずは、「〇〇ていく」です。例文をご覧ください。

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「トップ同士が協力していくことで、一企業の枠を超えたスケールの大きな事業が実現できます」→「トップ同士が協力することで、一企業の枠を超えたスケールの大きな事業が実現できます」

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次に「〇〇いる」もカットしやすい言葉の1つです。

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「営業を担当している人は、顧客情報を大切にしています」→「営業を担当する人は、顧客情報を大切にしています」

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最後に「〇〇という」です。

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仕事というものは、言語化の能力によって成果が左右されます」→「仕事は、言語化の能力によって成果が左右されます」

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かなり短く削ることができましたね。

ちなみに、もう1つ知っておくと文章をスリムにできるコツがあります。私たちが日本語として言語化している言葉には、基本的に和語と漢語があります。日本語の品詞の中で動詞の漢語は和語にすることで、文字数を少なくできます。

漢語とは中国から入ってきた言葉が日本語になったもので、「学習」など音読みの熟語は漢語です。逆に昔から日本にあった言葉が和語で、「学ぶ」など訓読みの熟語は和語です。文章で例を挙げてみましょう。

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「およそ2000年前、弥生時代の古代遺跡について調査することになった」→「およそ2000年前、弥生時代の古代遺跡について調べることになった」

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この場合「調査する」が「調べる」に置き換わったことで、一文字少なくなりました。文字数にすればわずかなものですが、塵も積もればなんとやらで、積み重なるとかなりの文を削ることができます。

【ポイント】

●言葉の贅肉はできるだけ削る。

●無意識に使っている「〇〇という」はすぐ削る。

●動詞の漢語は和語に変えると文章がスリムになる。

●塵も積もれば「文章の贅肉」は少なくなる。

ネガティブな表現は長くなりがち…ポジティブに言い換えよう!

ネガティブな文章が長くなってしまう理由は、「なぜダメなのか」という説明を必要とするからです。また「怒り」や「悲しみ」というマイナス感情を文章として表現しなくてはなりません。結果として文章が長くなりがちなのです。しかし、ネガティブな文章は、ポジティブに言い換えると、文章がスッキリします。

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「打合せが終わるまで、参加できません」→「打合せが終わったら、参加します

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前者と後者を比べてみると、後者の方が少ない文字数になっています。前者を否定文、後者を肯定文と言います。両者を比べると、後者の方が文章のポイントがはっきりとします。もう1つ例を挙げてみましょう。

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「細部にこだわりすぎてしまう気持ちは、わからないわけではない」→「細部にこだわりすぎてしまう気持ちは、わかる

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このように肯定文に言い換えることで、文章がスリムになります。否定文の一種に「二重否定」があります。文章の中に否定のニュアンスを含んだ言葉が2つ以上含まれる文章についてそう言います。

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「情報漏洩を防ぐため、社内のパソコン以外は使用しないでください」→「情報漏洩を防ぐため、社内のパソコンを使用してください

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この文章では「以外」と「しない」が否定語です。「以外」をカットし「しない」を肯定文にすることで、文章はスッキリします。また「嫌いなわけではない」「悪くはない」などと言った二重否定は、否定を否定しているので肯定の意味を持ちます。

ただネガティブな言葉が相手に与える印象はマイナスです。できることなら、否定語はポジティブに言い換えた方が、相手に対する印象もよくなるでしょう。

【ポイント】

ネガティブな文は、ダラダラ長くなる。

ポジティブに言い換えると、文章はスッキリする。

二重否定は肯定の意味もある。

ポジティブな表現は、相手に対する印象をよくする。

「語彙」が増えれば更にスマートな文章を書けるようになる

文章を書いていると、「これ以上はもう削ることができない」という状況に遭うことがあります。そんなときこそ、これまで学んだ語彙の出番です。説明の文章を熟語に置き換えることができれば、大幅カットも可能です。次の文章を読んでください。

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「プロとしての、自信や振る舞いを感じます」

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意味はわかるのですが、なんだか気が抜けたような、もっと言いようがあるような思いがする文章ですね。では、次の文章ではいかがでしょう。

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「プロとしての矜持を感じます」

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2文とも書いている内容は同じです。しかし、後者の文章の方が短く引き締まっている気がしませんか。これが「語彙力」の力です。もう1つ例を出してみましょう。

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「試合は、彼が思いのままに振る舞う結果になった」→「試合は、彼の独壇場になった」

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「独壇場」という言葉に説明を入れ替えたおかげで、文章はずいぶん短く、そして明確になりました。このように、語彙力があれば、文章をスッキリと読ませることができるのです。つまり知っている言葉の数が多ければ多いほど、文章を短くすることができるわけです。

語彙力を高めることの効用はそれだけにとどまりません。まず、語彙力が豊かな人は言語化能力にも長けています。頭の中にある茫洋とした考えを明確な形と意味を持ったものとして文章化することができるでしょう。そのため、企画書や報告書などのビジネス文書においても、社会人としてふさわしい表現が得意になります。そして豊かな語彙力から紡ぎ出される魅力的な言葉は、相手の心をつかみ、自分の意図通りに相手に行動を促します。

また、執筆においては、知らずにやってしまいがちな幼稚な表現を避け、思慮に富んだ文章を書くことができます。本を読み、文字の意味を調べ、自分の物にしていく。そうした積み重ねがあなたの語彙力を高めてくれるでしょう。

【ポイント】

●語彙力を高めると文章のIQが上がる。

●言語化能力は、語彙力に比例する。

●語彙力強化でビジネス文書のグレードが高まる。

●説得力ある文章は語彙の活用にある。

【監修】山口 謡司

大東文化大学名誉教授、平成国際大学新学部設置準備室学術顧問

1963年、長崎県に生まれる。フランス国立社会科学高等研究院大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経る。 著書にはベストセラー『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(ワニブックス)をはじめ、『文豪の凄い語彙力』『一字違いの語彙力』『頭のいい子に育つ0歳からの親子で音読』『ステップアップ0歳音読』『いい子が生まれる 胎教音読』、監修に『頭のいい一級の語彙力集成』(以上、さくら舎)などがある。

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