税制優遇、ビザ支給…世界最高の生活の質を備えた都市〈ドバイ〉での不動産投資はメリットだらけだが、「初心者にはおすすめしない」理由
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月25日 11時15分
(※画像はイメージです/PIXTA)
海外不動産、どこの国に投資するべき? 『モンゴルがいま熱い! モンゴル不動産投資をおススメするこれだけの理由』(WAC)の著者である安藤義人氏は、それぞれの国に異なるメリットとデメリットがあるといいます。今回は、観光地としても根強い人気があるハワイと、近年注目を集めているドバイの不動産投資について詳しく解説します。
投資先としてもリゾートとしても大人気「ハワイ」
日本からのアクセスもよく、美しいビーチや観光地が人気のハワイは、日本人にとって一番身近なリゾート地です。
実は、ハワイはリゾート地としてだけでなく、投資先としても大人気です。1年を通じて過ごしやすく、治安もいいことから、移住する人や老後をハワイで過ごすシルバー世代、ハワイにセカンドホームを持つ人も増加し、人口減少を心配する必要はありません。
その結果、賃貸需要も旺盛で、基本的に不動産価格は上昇トレンドです。特に、ビーチや商業施設に近いなどの優良物件は奪い合いで、悠長に価格交渉などしていたら、あっという間に買えなくなることもあるほどです。
価格は高いが環境は良い
また、海外不動産投資では非常に珍しく、日本国内の金融機関でもハワイの不動産投資向けにローンが組めたり、条件こそあるものの、現地の金融機関から融資を受けたりすることもできるため、この融資面も人気を後押ししている理由です。
ハワイは人気のエリアであることから、利回りは低いものの、現地に経験豊富な日本人の不動産エージェントも数多く存在しており、投資しやすい環境であることは間違いありません。価格が高いことを除いては。
富裕層が集まる「ドバイ」
世界一の高さを誇る超高層ビル「ブルジュ・ハリファ」や、ペルシャ湾に浮かぶ美しい人工島「パーム・ジュメイラ」など、人気の観光地が多い「ドバイ」。一度は、旅行してみたいと思っている人も多いのではないでしょうか。
ドバイは、アラブ首長国連邦(UAE)の首長国の1つであり、UAE最大の都市です。砂漠に囲まれているため、夏季である4月~10月はとにかく暑く、気温が摂氏40度を超えます。ベストシーズンとされる11月から翌3月までの冬季は、平均気温が20度程度と過ごしやすい一方で、砂嵐が発生する日もあり、生活環境はそれほどいいとはいえません。昼と夜の寒暖差が大きいのも特徴です。
それでも、ドバイには世界中から富裕層が移住していると聞きます。それはなぜでしょうか。
答えは、ドバイが急速に発展している都市だからです。
ドバイは、アジアやアフリカ、欧州を結ぶ要所として多くのグローバル企業が拠点を構えるほか、UAEの経済の中心、金融の拠点という側面も持ち合わせています。人口もここ数年で急増しており、人口の約9割が移住してきた外国人。しかもそのうち7割が30代、40代の働き盛り世代です。
海外不動産投資を考えるなら、ドバイは必見
ドバイ政府は現在、持続可能な都市開発のためのアーバンマスタープラン「ドバイ2040」を進めています。
ドバイを「世界最高の生活の質を備えた都市」にすることを目標に、市民や居住者、観光客に多様なライフスタイルと投資の機会を提供し、世界的な目的地としてのドバイの競争力を強化するための計画です。この計画によって、ドバイは今後さらに発展し、人口はますます増加していくと考えられています。
加えて、ドバイに投資マネーが流入しているのは、“独自のメリット”もあるからです。そのひとつが、不動産投資をすると「ビザ」がもらえること。ビザ(査証)は、そのパスポートが有効であり、入国することに支障がないという証明、いわば推薦状のようなものです。
観光ビザやトランジットビザ、商用ビザ、就労ビザ、留学ビザ、ワーキングホリデービザなど、さまざまな目的に応じたものがありますが、これらを要求している国に入国する場合、私たちは東京にある大使館で申請し、取得しなければ入国することができません。
ところが、ドバイに不動産投資するとどうでしょう。その投資額などによって、2年や10年などビザの種類が分かれているものの、ビザが発行され、移住することも可能になるのです。
移住したときのメリットも魅力的です。たとえば、日本にいて海外不動産投資した場合には、収益に税金がかかり、日本で納税しなければなりませんが、ドバイに移住すれば、その税金は不要です。家族のビザも申請することができますから、ファミリーで優雅な生活を楽しむこともできるでしょう。
メリットは多いが、初心者には不向き
税制面での優遇措置は大きなメリットです。ドバイは、2018年1月に消費税が導入されるまでは税金がまったくかかりませんでした。
現在でも、消費税を除く、不動産取得税や家賃収入に対する所得税、固定資産税、売却する際のキャピタルゲイン税は納税する必要がありませんし、法人税や贈与税、相続税もないのだとか。2023年を表す漢字に「税」が選ばれた日本とは大違いです。
ただし、これはあくまでもドバイに移住した場合の話です。日本居住者がドバイ不動産を購入した際には日本の税制に則って、適切な納税が必要になってきます。詳しくは税理士にご確認ください。
また、外国人への購入規制は設けられていません。購入規制とは、新興国などで不動産価格が高騰してしまうと、不動産価格の上昇に経済成長が追い付かず、低収入の国民が住まいを確保できなくなってしまうことから行われる外国人投資家への規制です。
東南アジア諸国の大半がこの規制を設けている上、その規制の内容も国ごとに違うことから、思うように投資ができない可能性もあります。
しかし、ドバイでは「フリーホールド」(自由土地保有権)と呼ばれるエリアの物件であれば、外国人でも土地の所有権を保有することができます。
このように独自のメリットが多いドバイへの投資にも、デメリットはあります。
そのひとつは、国内、現地ともに銀行の不動産投資ローンの利用は難しいため、現金を用意する必要があることです。しかも、富裕層からの投資が活発化しやすく、割高な水準まで物件価格が上昇する可能性もあります。したがって、初めて海外不動産をしてみようという方には不向きだと考えます。
また、中東地域であることから、地政学的リスクや政治リスク、さらに、原油価格の変動や、観光客の増減などによって、経済の状況が変わることもありますので、注意が必要です。
安藤 義人
ココザス株式会社代表取締役CEO
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