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生命保険「10年間にわたり毎年100万円ずつ受け取れる」契約だが、相続税はどうなる?税理士が「相続税法24条」について解説

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月26日 9時15分

生命保険「10年間にわたり毎年100万円ずつ受け取れる」契約だが、相続税はどうなる?税理士が「相続税法24条」について解説

※画像はイメージです/PIXTA

「相続税法」という相続税に関する法律を定めた条文のうち、第24条(定期金に関する評価)について税理士が分かりやすく解説します。この記事を読むと、相続税法第24条に関わる相続税の財産評価が自身で完璧にできるようになります。

「相続税法24条(定期金に関する評価)」とは

相続税法24条(定期金に関する評価)には、「定期金給付契約に関する権利」の評価方法が定められています。ここで、「定期金給付契約」とは何かと考える人も多いでしょう。定期金給付契約とは、簡単にいうと、「定期的に分割でお金をもらえる契約」のことを言います。

たとえば、被相続人が保険会社と契約をしていて、自分が亡くなったら子どもである相続人に1年間に100万円ずつ10年に渡って保険がおりる契約を結んでいたとします。この場合、10年経てばその子どもは100万円×10年=1,000万円を取得することになりますが、この1,000万円を一括で受け取るのと分割で10年に渡って受け取るのとでは明らかに得られる経済的な価値は異なります。

1,000万円を一括で受け取る場合には、相続税評価はそのまま1,000万円となりますが、ではこれを分割で受け取る場合には相続税評価はいくらになるのでしょうか。この分割で受け取る場合の相続税評価を定めたものが相続税法24条です。

具体的な評価方法については、

「有期定期金」 「無期定期金」 「終身定期金」

の3つの種類に応じて、以下の通りに定められています。

有期定期金の相続税評価

有期定期金の相続税評価は、以下の(1)~(3)のうちいずれか多い金額となります。

(1)定期金給付契約に関する権利を取得した時においてその契約を解約するとしたならば支払われるべき解約返戻金の金額

(2)定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、定期金給付契約に関する権利を取得した時において一時金の給付を受けるとしたならば給付されるべき一時金の金額

(3)定期金給付契約に関する権利を取得した時におけるその契約に基づき定期金の給付を受けるべき残りの期間に応じ、その契約に基づき給付を受けるべき金額の一年当たりの平均額に、その契約に係る予定利率による複利年金現価率を乗じて得た金額

有期定期金とは

一定の期間に渡って金銭を受け取れる権利のことを言います。たとえば、10年間にわたって毎年100万円ずつが受け取れる権利などです。ポイントは、“10年”といったように受け取れる期間に制限があるというところです。

有期定期金の具体的な相続税評価方法

有期定期金の具体的な相続税評価は前述の通り、

「解約返戻金の金額」 「一時金の金額」 「給付を受けるべき金額の一年当たりの平均額に、その契約に係る予定利率による複利年金現価率を乗じて得た金額」

の3つを比較し一番大きい金額となります。

「解約返戻金の金額」とは

解約返戻金の金額とはその名の通り、この定期金給付契約を相続した相続人が契約を解約した場合に、金銭で受け取れる解約返戻金の金額のことを言います。

「一時金の金額」とは

一時金の金額とは、この定期金給付契約を相続した相続人が分割で受け取るのではなく一時金として受け取ることを選択できる場合に、一時金として受け取れることができる金額のことを言います。通常、前述の解約返戻金の金額と大きく異なることはないです。

「給付を受けるべき金額の1年当たりの平均額」とは

給付を受けるべき金額の1年当たりの平均額とは、今後受け取れる金銭の総額を受け取れる期間で割った金額です。たとえば、1,000万円を今後10年で受け取れるような契約内容の場合は、1,000万円÷10年=100万円ということになります。

「予定利率」とは

予定利率とは、当該保険契約の運用利回りのことを言います。この予定利率に応じて分割で受け取る場合と一時金で受け取る場合の金額の差を保険会社が計算しています。

この予定利率の確認方法は契約先である保険会社に尋ねる以外に知るすべはありません。ただ、文書で回答を求めると、どの保険会社もきちんと回答はしてもらえます。

「複利年金現価率」とは

複利年金原価率は、一定の金銭に対して、それを定期的に積み立てて一定の利回りで複利運用することが終了した場合の総額の現在価値を求める率のことを言います。

無期定期金の相続税評価

無期定期金の相続税評価は、以下の(1)~(3)のうちいずれか多い金額となります。

(1)定期金給付契約に関する権利を取得した時においてその契約を解約するとしたならば支払われるべき解約返戻金の金額

(2)定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、定期金給付契約に関する権利を取得した時において一時金の給付を受けるとしたならば給付されるべき一時金の金額

(3)定期金給付契約に関する権利を取得した時における、その契約に基づき給付を受けるべき金額の一年当たりの平均額を、その契約に係る予定利率で除して得た金額

無期定期金とは

無期定期金とは、永久(無期)に定期金の給付を受けられる権利のことを言います。現実的には、まず存在しないでしょう。

無期定期金の具体的な相続税評価方法

無期定期金の具体的な評価方法は、前述の「有期定期金」の相続税評価方法と似ていますが、(3)の部分のみ異なりますので注意が必要です。

終身定期金の相続税評価

終身定期金の相続税評価は、以下の(1)~(3)のうちいずれか多い金額となります。

(1)定期金給付契約に関する権利を取得した時においてその契約を解約するとしたならば支払われるべき解約返戻金の金額

(2)定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、定期金給付契約に関する権利を取得した時において一時金の給付を受けるとしたならば給付されるべき一時金の金額

(3)定期金給付契約に関する権利を取得した時におけるその目的とされた者に係る余命年数に応じ、その契約に基づき給付を受けるべき金額の一年当たりの平均額に、その契約に係る予定利率による複利年金現価率を乗じて得た金額

※引用元:国税庁–【第24条((定期金に関する評価))関係】「3終身定期金」より

終身定期金とは

終身定期金とは、亡くなるまで定期金の給付を受けられる権利のことを言います。この権利を取得した人が長生きをすればするほど得になる仕組みの契約となっています。

終身定期金の具体的な相続税評価方法

終身定期金の具体的な相続税評価方法は、前述の通り「解約返戻金の金額」「一時金の金額」「余命年数に応じ、その契約に基づき給付を受けるべき金額の一年当たりの平均額に、その契約に係る予定利率による複利年金現価率を乗じて得た金額」のうち、一番大きい金額となります。

「平均余命」とは

平均余命は、厚生労働省より発表しているデータを用います。完全生命表というものを参照してください。たとえば、50歳の方の平均余命は31.42歳となっています。

相続税法24条の条文解釈に迷ったら

第24条(定期金に関する評価)について解説してきました。

まずは、評価をしようとしている定期金が有期か無期か終身かを判断した上で、規定通り正確に評価をしていくと評価自体はさほど難しいものではありません。

ただ、保険会社に問い合わせを行い回答までに時間を要することがありますので、注意が必要です。

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