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「貯金1,000万円が一瞬で消えた…」60代夫婦、老人ホームめぐり「老後破綻危機」直面のワケ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月29日 19時0分

「貯金1,000万円が一瞬で消えた…」60代夫婦、老人ホームめぐり「老後破綻危機」直面のワケ

(※写真はイメージです/PIXTA)

「下流老人」「老後破産」…なんとも辛い言葉が多くなった昨今。老後に必要なお金、貯められているでしょうか? 厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』などとともにみていきます。

夫婦合わせて「年金20万円」だったが…

妻65歳、夫66歳のBさん夫婦。年金は夫婦合わせて20万円程度で、そのほかの収入はありません。貯金は現在約1,000万円。今後の人生について、強い不安を覚えていると語ります。

「月の支出も20万円ぐらいなので、年金を使い果たす生活が続いています。もちろん出費が多い月もありますから、貯金を切り崩すことも少なくありません。……実を言うと、老人ホームに入りたいんです。

家はローンを完済していて問題ないんですが、最近もう階段が怖くて、お父さんもいつか転んじゃうんじゃないか心配で。息子にも迷惑はかけたくないですし」

「老人ホームは、やっぱり落ち着いた部屋がいいじゃないですか。あまり質素なところでも嫌なので、ちょっと調べてはみましたが……入居一時金が高すぎる。1,000万円を超えていたんです。毎月の費用を見ても、気が遠くなりました。払うだけで貯金が尽きて、破綻します」

Bさん夫婦の嘆きは無理もありません。

老人ホームの入居代に関しては、利用者の所得が低い場合は補助給付が適用され、費用は数万円から十数万円程度に抑えられることもあります。しかし、一般的な企業で定年まで勤めたホワイトカラーの方が特別養護老人ホーム(特養)の個室ユニットに入所し、プライバシーを確保しながら暮らす場合、月額で約20万円の費用がかかるとされています。

さらに、両親の二人が施設に入所する場合、必要な費用はその倍の約40万円にもなります。

つまり配偶者や親を施設に預ける際には、本人の年金だけで介護費用を全て賄うことは非常に難しいと言えます。

なお入居一時金とは、入所時にその一部が初期償却され、残りが月額の一部として徐々に償却されていく費用のことをいいます。入居一時金がない施設では、その分月額が割高になるケースがあります。

償却年数が残っている状態で退居した場合、未償却金は返還されるシステムです。とはいえ、一気に1,000万円という大金がなくなってしまうことを心許なく感じる方もいるでしょう。

「1,000万円って結構大金だと思っていたんです。まさか…」

「貯金1,000万円って、結構大金だと思っていたんです。まさか老人ホームに入るだけで一瞬で消えるなんて、思っていなかった。私の考えが甘かったのでしょうか。このまま、自宅で年金暮らししかないのかと思うと辛いです」

ちなみに、年金受給額の平均値はいくらほどなのでしょうか。

厚生労働省年金局発表『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』より、現在の受給状況を見ていくと、厚生年金保険(第1号)受給者は3,598万人。厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は、老齢年金が14万4,982円です。

平均14万円。生きていくには心もとない金額です。

「子どもには頼りたくない。お金貸して、なんて親として言いたくないです。むしろ孫の教育資金を援助したいぐらいなのに、自分の生活に精一杯で、歯痒い思いです」

Bさん夫婦のように、年金だけでの生活に不安を抱える高齢者は少なくありません。月々の年金収入が生活費をギリギリまかなう程度では、突発的な出費や将来の介護費用に対処する余裕はなく、貯蓄を切り崩さざるを得ない状況が続きます。老人ホームへの入居を望んでも、費用の高さが大きな障壁となり、多くの高齢者が経済的な困難に直面しています。

平均的な年金受給額は月約14万5,000円では、必要最低限の生活費すら十分に賄えません。社会保障制度の充実や、介護施設の費用負担軽減など、持続可能な社会保障制度の構築が急がれる一方で、これから高齢者になる方々は新NISAなどで自ら資産を増やす努力をしておくことが求められます。

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