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あと5年は働くぞ!月収33万円・大手食品会社で再雇用の〈60歳サラリーマン〉居心地の悪さも鈍感力でスルー。惨めでも耐え抜いた先の「増額された年金受取額」に涙

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月13日 5時15分

あと5年は働くぞ!月収33万円・大手食品会社で再雇用の〈60歳サラリーマン〉居心地の悪さも鈍感力でスルー。惨めでも耐え抜いた先の「増額された年金受取額」に涙

※写真はイメージです/PIXTA

現在、7割の会社で60歳を定年とし、そのほとんどの会社で希望すれば継続して働くことができます。しかし定年後も働き続けることにはメリットもあれば、デメリットといえることもあり、想像以上に大変な思いをしている人も珍しくないようです。

60歳定年の87%が再雇用

厚生労働省『令和5年 高年齢者雇用状況等報告』によると、60歳定年企業において過去1年間に定年に到達した人のうち、継続雇用された者は40万4,967人中35万3,000人ほどと、全体の87.4%。残り12.6%は退職をしています。

70歳までの雇用が努力義務となっているなか、来年4月には65歳までの雇用が義務となります。近い将来、70歳までの雇用も義務化されるという専門家も。そうなるか、ならないかは別として、60歳定年まで勤めあげた会社で継続雇用を選ぶか、それとも定年を機に新天地を求めたり、仕事を辞めたりと、定年退職の道を選ぶのか、考え方は人それぞれ。

継続雇用で働き続けるメリットは大きく3つ。

▼安定した収入の確保

定年後も同じ職場で働き続けることで、定期的な収入を得ることができます。現在、年金受給は原則65歳から。働き続けることで、無収入期間を短縮できるでしょう。

▼職場環境の維持

特に高齢者にとって転職活動は難易度が高く、精神的な負担が大きいもの。慣れ親しんだ職場で働き続けることができるため、新しい環境に適応するストレスを避けられます。

▼経験の活用

長年の経験を活かし、後輩の指導や業務の改善に貢献できる機会があります。これにより、自己の成長や職場への貢献感を得ることができるでしょう。

一方で継続雇用にはデメリットも。

▼給与の減少

継続雇用契約では、正社員としての地位を失うことが多く、給与が減少する可能性があります。厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大卒/50代後半/正社員の平均月収は53.2万円。大卒/60代/非正規社員の平均月収は31.9万円で、正社員時代から41%減となります。

▼職務内容の変更

定年後、職務内容が変更されることがあり、これまでの役割とは異なる業務を担当することになる場合があります。これにより、スキルの適応が求められることもあるでしょう。

60歳定年後の再雇用…「給与大幅減」よりも大変だったこと

――あと5年は働くぞ!

そう意気込んで再雇用の道を選んだ、大手食品会社で働く大山浩二さん(65歳。仮名)。60歳で嘱託社員となり、給与は4割以上も減少し、月収33万円、年収で540万円ほどに。ただ継続雇用で何よりも辛かったのは、給与減ではないと大山さん。

――やはり大変なのは人間関係ではないでしょうか。それまで会社では目上だった人間が、定年を境に部下になるのですから。お互い「どう接したらいいんだろう……」という雰囲気で、やりにくいといったらありゃしない

再雇用となった定年上司に対して、表面上はリスペクトしているような年下上司たち。しかし陰では「老害」など、散々ないわれようであったことを知っています。そんなことに、傷ついたり、怒ったりしても意味がありません。40年以上の会社員人生で身に着けた鈍感力で華麗にスルーしていったといいます。

何よりも仕事を辞めるわけにはいきません。前述のとおり、定年から年金受給までは5年の歳月があります。繰上げ受給という制度もありますが、受給額が減ってしまうため、大山さんとしては利用する気になれません。また年金の受給までの5年を耐えることができれば、そのぶん、65歳から受け取る年金額も増えていきます。

大山さん、60歳時点で受け取れる年金は、厚生年金が付き13.0万円。基礎年金を合わせると、月19.8万円ほどでした。その後、再雇用で嘱託社員となり、年下上司からはさげすまれ惨めな思いをするときも耐えに耐え、何とか5年間働き、年金受給年齢の65歳に。そこで受け取れる年金は厚生年金で13.7万円。基礎年金と合わせると月20.5万円と、5年の我慢の成果は月7,000円、年8万4,000円でした。

――月7,000円……

そうつぶやく大山さんの目には涙が……話を聞いていくと、まさかの年金額に少々拍子抜けしたものの、収入の空白期間を埋めることができ、貯金を増やすこともできたとか。年金以外の収入がなくなる老後の不安はゼロにはなりませんが、5年間働いたことで低減できたことは大きいといいます。

[参考資料]

厚生労働省『令和5年高年齢者雇用状況等報告』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

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