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ばあちゃん、ウソだろ…20年前に祖父から5億円を相続した90歳祖母が死去。遺産を調べた相続人〈35歳孫〉がびっくり仰天!記録を「思わず二度見」したワケ【相続の専門家が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月13日 10時15分

ばあちゃん、ウソだろ…20年前に祖父から5億円を相続した90歳祖母が死去。遺産を調べた相続人〈35歳孫〉がびっくり仰天!記録を「思わず二度見」したワケ【相続の専門家が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

20年前に亡くなった資産家だった祖父の財産5億円を相続した祖母が90歳で亡くなりました。代襲相続人となった35歳の孫が祖母の資産を調べてびっくりしたワケは?相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が解説します。

祖母が亡くなり、叔母と孫2人が相続人に

祖母が亡くなり、相続税の申告が必要になったので相談をしたいという35歳の壱成さん。相続人は、祖母と同居していた叔母、壱成さんと壱成さんの弟の3人です。

本来の相続人である壱成さんの母親(祖母の長女)が祖母よりも先に亡くなっているため、壱成さんと弟は母親の代襲相続人となります。よって30代ながら、当事者として祖母の相続と関わらないといけない立場なのです。

ちなみに20年前の祖父の相続のときは?

祖父は20年前に亡くなっており、そのときは祖母、長女(母親)、次女(叔母)の3人で相続しています。大正生まれの祖父は大学を出て、生命保険会社に就職、海外や日本を転勤しながら勤め上げ、役員にもなってリタイヤしています。

日本も成長期の時代で、株や保険を持ち続けて祖父自身が築いた財産の他、その親からも金融資産を相続したようで、結果的には金融資産で9億5000万円。不動産は自宅のみで5000万円。合わせて10億円もの財産を祖父は残したのでした。不動産は自宅のみで約5%、他の95%は預金、株、保険などの金融資産になります。

祖父から5億円相続したはずの祖母の財産は…

壱成さんは20年前の祖父の相続税の申告書を持参されていましたので、確認すると、祖母5億円、叔母と母親が2.5億円ずつの、法定割合で相続をしていました。

相続税は2億円。祖母には配偶者の税額軽減の特例があり、納税は不要です。2人の子どもは相続した金融資産から納税できる内容です。

総じて、祖母が相続した5億円の財産から相続税を払うことはないため、その金額そのままが祖母の財産として残っていることがわかります。ところが、壱成さんいわく、祖母の財産は2億5000万円程度で、想定よりもかなり少ないというのです。

20年間に祖母が消費したものは?

祖母は専業主婦でしたので、祖父が亡くなったあとは年金が主な収入でした。けれども祖母1人が生活する分には、それだけでも十分な金額でしょう。

大きな出費だと思われたのは、自宅の建て替えです。祖父から相続した自宅は50年前に建てられたものだったので、相続後祖母が二世帯住宅に建て替えています。借り入れはないため、現金で建てたようですが、祖母と叔母家(夫婦と子供2人)が住む4LDKの家で、5,000万円程度だと想定されますので、少なくとも4億円以上は財産として残っていていいはずです。

ところが今回、祖母の財産を確認すると不動産は自宅のみで変わらず、金融資産は2億円程度で、どうも少なすぎるといいます。

消えた2億円の行方は?

祖母は5億円を相続しており、家の建て直し費用は5000万円程度と想定され、本来は4億5,000万円の財産が残っていてもいい計算になります。ところが現在確認できているのは2億5,000万円。金融資産が2億円も少なくなっているということになります。

残っていないということは祖母が消費した可能性もありますが、それは不動産など他の資産としては残っていないため、何を購入したかわかる証拠がありません。

贈与も疑われますが、大きなお金の動きがあれば、亡くなったときに残っていなくても引き出された預金は相続財産として加算して、相続税を納めることになっているはずです。

法定相続人に3年以内に贈与があった場合、相続財産に加算される

預金から引き出された現金は、本人が消費したということでなければ、贈与されたものとみなしますが、相続になる前の3年分は法定相続人に贈与されたものであれば相続財産に加算する必要があります。

2024年1月1日からは相続前7年間に遡るという内容に改正されましたが、2026年12月31日の相続までは3年が適用、その後、7年が適用されることになります。  

壱成さんの祖母は2024年に亡くなっていますので、贈与として加算するのは相続になる前の3年間でよいということになります。

預金は3年~7年の動きを調べる

相続税の申告が必要な場合、預金は口座ごとに残高証明書を取得して証明していきますが、残高に含まれていない、すでに引き出されたり、贈与されたりした財産も相続前3年間は加える必要があります。

相続税の税務調査は、亡くなった人の預金口座から、子どもや孫の口座に移されていることを調べ上げて、追徴課税をするために行われることが大半だといわれています。

壱成さんの祖父が財産の半分が祖母に相続されたことは明らかですので、税務署は財産のもとを把握しているというえことになります。

相続税の申告をする場合は、税務調査にならないように、事前に亡くなった人の預金口座は少なくとも3年、できれば5年から7年は通帳や取引明細をもとに入出金を確認していきます。

生活費の消費程度であれば問題がないところですが、まとまった金額が引き出されている場合や、他の口座に移されている場合は、相続財産として申告しておくことで税務調査は避けられるのです。

祖母は公正証書に遺言を残していた

祖母は90歳で亡くなりましたが、10年前に公正証書遺言を作成していたことも叔母から聞かされました。叔母から渡された公正証書遺言は、祖母の預金口座のあるМ銀行が遺言執行者として作成されていました。

生前には聞いていなかったので壱成さんと弟は複雑な気持ちでしたが、さらにその内容には愕然(がくぜん)としたといいます。「財産の配分は叔母が4分の3、壱成さんと弟はそれぞれ8分の1」とされていたのです。

同居してきた叔母には感謝しているものの、このような差があるとは釈然としないため、叔母と話をして、祖父のときと同様に法定割合で分割しようという合意を得ることができたといいます。壱成さんは一瞬、叔母が祖母の財産を使ってしまったのでは? と疑ってしまったそうです。

そうしたタイミングで当社に相談に来られましたので、全員の合意も得られて、夢相続で、相続税の申告のコーディネートを引き受けることになりました。相続に強い税理士を選定し、情報共有しながら分割や申告など進めていきます。

遺言を執行しない場合はこれから遺産分割協議

公正証書遺言は優先されるものの、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議をして遺言書とは違う分け方を決めることができます。

これから遺産分割協議をするにしても、ポイントになるのは金融資産の2億円がどのような減り方をしたかということです。これから預金口座の通帳や明細を用意してもらい、確認するようにします。相続税の申告を控えている場合は、主に税理士がその確認作業をしますが、夢相続では財産の分割案をご提案する役割ですので、税理士と情報共有しながら進めていくようにします。

財産の持ち戻しがあれば、相続税も増えますが、疑心暗鬼の要素を残さないためにも確認しておく必要があります。

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

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