【プロダクトヒストリー】マツダ ロータリーエンジン車〜50周年の軌跡と未来への展望〜
&GP / 2017年6月18日 9時0分
【プロダクトヒストリー】マツダ ロータリーエンジン車〜50周年の軌跡と未来への展望〜
1967年5月30日、世界初の量産“ロータリーエンジン”搭載車としてデビューを飾ったマツダ「コスモスポーツ」。つまり2017年は、マツダにとってロータリーエンジン誕生50周年という記念すべき年なのです。
2012年の「RX-8」生産終了により、現在のマツダ車のラインナップからは姿を消してしまいましたが、ロータリーエンジンは今もなお、多くのファンを魅了するマツダの代名詞。
そこで、かつてのロータリーエンジン搭載車を、マツダ本社と、同敷地内にある「マツダミュージアム」でチェックしてきました。
往年のロータリーエンジン車をご紹介する前に、ここで改めて、ロータリーエンジンについておさらいしておきましょう。
マツダは1960年に、ロータリーエンジンの調査・研究をスタート。’63年には社内に“ロータリーエンジン研究部”を発足させ、歴史的な技術革新への挑戦を本格的に始めました。実用化へ向けての開発は困難を極めましたが、マツダの技術陣は多彩なアイデアと多くの工夫により、数々の問題を克服したのです。
一般的なレシプロエンジンは、出力を得る際に一度、往復運動を回転運動に変換する必要があるのに対し、ロータリーエンジンは回転運動をそのまま、出力として取り出せるのが特長。ガソリンの爆発力により、おむすびのような形をした三角形の“ローター”を回し、その回転力をレシプロエンジンのクランクシャフトに相当する“エキセントリックシャフト”などを介して、駆動輪へと伝えます。
ロータリーエンジンの魅力は、高回転域までスムーズな回転フィールと、同出力のレシプロエンジンより部品点数が少なく、軽くコンパクトに仕上がること。そのため、パワーはもちろん、前後重量配分などに起因する軽快なフットワークも重要視されるスポーツカーには、最適なエンジンといわれています。
そんなロータリーエンジンですが、かつてマツダは、軽自動車の「シャンテ」から高級車、そしてマイクロバスまで、“ロータリー・フルラインナップ”化を図ろうとしていた時期があったといわれています。当時の技術力においては、レシプロエンジンよりも高出力/高トルクで、排出ガスがきれいという美点を備えていたからです。
しかし、オイルショックなどの影響で、そうした計画は頓挫したようで、ロータリーエンジンは結果的に「RX-7」を始めとするスポーツカー用として進化・発展を遂げていくことになります。2012年を最後に、(一時的に)マツダ車のラインナップから姿を消しているロータリーエンジン車。近い将来、最新技術をフィードバックした新ユニットが、「RX-VISION」のような美しいFRスポーツカーの心臓部として復活することを期待したいですね。
>>コスモ スポーツ(1967年)
世界初の2ローター・ロータリーエンジン車として1967年に登場したコスモ スポーツは、排気量491cc×2、最高出力110馬力の“10A型”を搭載。初めてロータリーエンジンの実用化に成功したマツダも、世界的に注目を集めました。
コスモ スポーツは革新的なエンジンにふさわしい、未来的で美しいスタイルと洗練されたインテリアを備えていました。1968年に登場した後期モデルでは、ボディのほか、エンジンにも改良が加えられ、最高出力は128馬力へと向上しています。写真は、マツダの社内プロジェクト「ワン マツダ レストア」で復元された珠玉の1台。
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>>ファミリア プレスト ロータリークーペ(1970年)
マツダで2番目のロータリーエンジン搭載車に選ばれたのは、1967年にデビューした2世代目の「ファミリア」。デビュー当初は、一般的なレシプロエンジン車として販売されましたが、’68年にロータリーエンジンを搭載するクーペがデビュー。手頃なプライスと相まって、多くの人がロータリーエンジンの高性能を体験するきっかけとなりました。
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>>カペラ ロータリーGR(1971年)
“風のカペラ”をキャッチフレーズに、1970年に登場した初代「カペラ」。エンジンは、10A型から排気量を573cc×2へと拡大し、最高出力120馬力を引き出した“12A型”が搭載されました。’71年には、高級感のあるインテリアを備えた「Gシリーズ」が登場。このGシリーズには、AT車も設定されていました。
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>>サバンナ RX-7(1978年)
ロータリーエンジンを搭載する本格スポーツカーとして開発された「サバンナ RX-7」。端正なスタイルとフロントミッドシップレイアウトによる優れた高速性能により、日本だけでなく、アメリカでも高い人気を博しました。搭載されるエンジンは“12A型”で、後期型では同ターボ仕様も用意されました。
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>>コスモ AP(1975年)
オイルショックの直後、1975年に登場した「コスモ」は、高い動力性能だけでなく、AP(Anti-Pollution=公害対策)の名のとおり、当時としては優れた環境性能と低燃費を実現。ロータリーエンジン仕様には、125馬力の“12A型”にくわえ、排気量654cc×2、最高出力135馬力の“13B型”も用意されました。
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>>ユーノス コスモ(1992年)
マツダが一時期展開していたブランド「ユーノス」のフラッグシップ。世界で初めて、3ローター仕様のロータリーエンジン“20B-REW型”を搭載するスペシャルティカーとして、1990年にデビューしました。
280馬力という最高出力や豪華なインテリアに加え、世界初となるGPSカーナビの搭載など、革新的なメカニズムの数々も注目を集めました。
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>>アンフィニ RX-7(1991年)
“ロータリーエンジン・ベスト・ピュア・スポーツ”をコンセプトに開発された、3世代目の「RX-7」。搭載された“13B型”エンジンにはシーケンシャルツインターボが備わり、最高出力は初期型で255馬力、後期型では280馬力を発生。数度のマイナーチェンジを受け、2002年8月まで生産されました。
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>>RX-8(2003年)
RX-8は、新開発のロータリーエンジンと、新発想のフリースタイルドア(観音開きドア)を組み合わせることにより、全く新しいコンセプトの4ドア・4シータースポーツカーとして登場しました。
搭載されたのは“13B型”をベースに、大規模な改良を施した“13B-MSP型 RENESIS”エンジンで、自然吸気ながら250馬力(後期型235馬力)を発生しました。電子スロットルのほか、DSC(横滑り防止機構)やEBD(電子制御性動力配分システム)など、数々の電子制御デバイスも導入されています。
写真は2012年6月の生産終了に向けて用意された最後の特別仕様車「スピリットR」で、専用のレカロ社製シートや専用塗装アルミホイールなどが装備されていました。
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>>RX-VISION(2015年)
2015年の東京モータショーで発表された「RX-VISION」のコンセプトは“いつかは実現したい夢”。注目すべきは「世界一美しいFRスポーツのプロポーションを追求した」という、スマートで美しいエクステリアはもちろん、“SKYACTIV-R”と呼ばれる次世代ロータリーエンジンの搭載が想定されていたこと。
メカニズムの詳細は公開されていませんが、きっと高性能スポーツカーにふさわしいパフォーマンスを秘めているはず。数々の困難を独自の技術で突破してきたマツダですから、ただの夢で終わらせることなく、きっと実現してくれることでしょう!
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>>マツダ 787B
1991年のル・マン24時間耐久レースで総合優勝を飾った、伝説のスポーツプロトタイプカー。エンジンは排気量654cc×4ローターのレース専用エンジン“R26B型”を搭載。ル・マンでは、メルセデス・ベンツの「C11」やジャガー「XJR-12」と激闘を繰り広げながら、レース終了3時間前にトップに立ち、そのまま独走状態で優勝を飾りました。
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>>プレマシー ハイドロジェン REハイブリッド
水素ロータリーエンジンと電気モーターとを組み合わせたハイブリッドシステムなど、未来を見据えた環境技術を多数搭載。燃料は水素のほか、ガソリンにも対応したデュアルフューエルシステムを採用しています。市販にこそ至りませんでしたが、地方自治体やエネルギー関連企業にリース販売されました。
(文/村田尚之 写真/村田尚之、マツダ)
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