【トヨタワークス“TRD”試乗】「86」もミニバンも空力&剛性アップで走りが変わる!
&GP / 2017年10月7日 20時0分
【トヨタワークス“TRD”試乗】「86」もミニバンも空力&剛性アップで走りが変わる!
今年も行ってまいりました、ワークスチューニンググループ合同試乗会! いわゆる、メーカー直系のチューナーが開催するイベントで、TRD(トヨタ)、NISMO(日産)、無限(ホンダ)、そしてSTI(スバル)それぞれの、入魂モデルに乗ることができるのです。
その中から今回は、TRDが手掛けたチューニングカー、チューニングパーツの実力をご報告したいと思います。
「本当にメディアの皆さまのおかげです! 記事が掲載されてから急激に売り上げが伸びまして…」とうれしい報告をしてくれたのは、TRDのスタッフの方。なんでも、ミニバン向けのドアスタビライザー&ブレースセットの販売が好調なのだとか。
ドアスタビライザーは、ボディ剛性をアップさせるチューニングパーツで、ドアのストライカーとボディ側のキャッチに特殊な形状の樹脂板を貼って、ドアとボディとの接合部を“点から面”にします。加えて、車体底面にある三角状の補強材(ブレース)を強化品に交換。いずれも小ぶりで地味な部品なので「本当に利くの!?」と少々懐疑的になってしまうのですが、これが利くんです!
昨2016年は、このドアスタビライザー&ブレースセットを装着した「ヴェルファイア」と、装着していない同車を乗り比べさせていただき、その違いの大きさに驚かされたものです。感覚の鈍さと分析力のなさでは人後に落ちないリポーター(←ワタシのことです)でも、「なるほど、ボディのしっかり感が増している!」と、違いの分かる男(古い)を気取ることができたくらいですから。日々、ミニバンを足としているオーナーの方々は、それこそうれしい効果を実感できたことでしょう。
ボディの剛性が上がると、ハンドリングも向上しますからね。ジミ〜な機能性部品ながら、よく売れているというのも納得です。「隠れたヒット商品になりそうな予感がします」という昨年のリポートが、ズバリ的中しました(ジマン)。
既存のヴェルファイア、「アルファード」向けに続き、今回「ノア」、「ヴォクシー」、「エスクァイア」のマイナーチェンジに合わせて、同セットが設定されました。
試乗したのは「エスクァイア Gi プレミアムパッケージ TRD」。ドアスタビライザー&ブレースセットはもちろん、同社のエアロパーツセット、ドアハンドルプロテクター、車高を約20mm落とせるTRD Sportivo サスペンションセットなどを装着し、17インチのTRD TF4Aホイールを履いたデモカーです。
もともとミニバンとしては良好なハンドリングを持つエスクァイアですが、総計64万3680円ものTRDパーツを装着し、見た目もドライブフィールも、グッとスポーティに。高速道路から峠まで、ミニバンらしからぬ駆け抜ける走りを披露してくれます。
中でもエアロパーツ、特にサイドスカートは、ボディ下面の空気の流れを上手にコントロールすることで、直進安定性の向上に貢献する“機能的パーツ”なのだとか。高速道路でトラックの横を通過する際など、背の高いミニバンはふらつきやすいのですが、これはそうした不安を解消してくれるそうです。
そして当日は、ノア、ヴォクシーも4車種が展示されました。向かって左から、Sports Elegantをコンセプトにした「ノア TRD」(TRD装着パーツ価格合計39万2040円)。Aggressive Elegantな「ノア Si TRD」(同52万8120円)。WILD & SPORTSを目指した「ヴォクシー ZS TRD」(同47万5200円)。SPORTS & BEASTで力強い「ヴォクシー ハイブリッド V TRD」(同43万2000円)です。エスクァイアを含めて5バージョンが用意されますから、ミニバン購入時には、あらかじめTRD版をチェックしておいてから愛車を決めるのも、ひとつの手ですね!
一方、昨2016年にマイナーチェンジを受け“KOUKI”型となったトヨタ「86」。テールハッピーな挙動が影をひそめ(個人的には、ちょっと残念)、走りのグレードが一段上がった感のあるニュー86です。こんな素材をTRDが見逃すはずもなく、今回の合同試乗会には「KOUKKI 86 TRD」を持ち込みました。
まず目に付くのは、ボディ各部に装着された空力パーツの数々。オリジナルの86も、小さなフィンを用いてボディまわりの空気の流れを整えていますが、TRDバージョンは、その考えをさらに追求しています。
LEDランプ付きのフロントスポイラーから、フォグランプまわり、ホイールアーチ前部のフィンを経て、エアは後方へ流れます。面白いのは、ボディとサイドウインドウ根本のすき間と、リアガラスとトランクとの間を樹脂製パーツで丁寧にふさいでいるところ。クルマの挙動を乱す、または大きな抵抗となる乱流の発生を抑える、または、よりクルマから離して発生するように工夫しているのです。
フロントフェンダーのカーボン製エアロフィンのように派手なパーツもカッコいいけれど、それだけではない、本気のエアロ処理が“走り”好きオーナーの心をくすぐりそうです。
一新されたエアロパーツに加え、全長調整式サスペンションセットも、新しいチューニングが施されました。これまでの、サーキット走行も考慮したスポーツ重視のチューンから、街乗りで高級感を得られるよう、突き上げを抑えながら、ボディの揺れを速やかに収束させるセッティングを目指しました。そのため、専用ダンパーに“DLC(ダイアモンドライクカーボン)”と呼ばれるコーティングを施し、アブソーバーロッドの動きを良くしています。ちなみに減衰力は、40段階の調整が可能です。
いうまでもなく、ダンパー、スプリング、アッパーサポート(ピロボール)をワンセットで提供(41万0400円)。地上高は、ノーマルモデルより15mmダウンします。
KOUKKI 86 TRDのボンネットを開ければ、左右のサスペンション頭部をつなぐカーボン製のタワーバー(3万0240円)にプラスして、MCB(モーションコントロールビーム/8万6400円)が取り付けられています。これは、いわばボディ用のサスペンション(!?)で、摩擦板と皿バネを用いてボディの揺れを吸収し、振動を減衰させる効果があります。ボディをただ固めるのではなく、外部入力を上手にいなしてやる…。そんな柔軟な発想から開発されたパーツです。
内外とも、ビシッと決めたTRDの86。TRD装着パーツの合計金額は212万0040円になります。一括でバーンとコンプリートカーをつくれれば、それに越したことはありませんが、一方で「まずは足まわりから」、「いや外装パーツで差別化を」、はたまた「やっぱりボディ補強が基本でしょ!」と、さまざまなアプローチを検討するのも、また楽しい。
ちなみにKOUKI 86 TRDのコンセプトは“Total Tuning”。何ごともバランスが大切ですからね!
(文&写真/ダン・アオキ)
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