考え抜かれたカタチに注目!絶妙なアレンジが加えられたキッチンツール5選【殿堂入りヒットモノ大全】
&GP / 2018年1月31日 20時0分
考え抜かれたカタチに注目!絶妙なアレンジが加えられたキッチンツール5選【殿堂入りヒットモノ大全】
キッチンツールはキッチン家電と比べると、新アイテムや機能の進化が少ないジャンルではあるが、素材や形状などに特徴を持たせた製品が少しずつ登場している。一見、変化がないように思えるが、実際に手に取ると便利さを実感できるアイテムが増えており、普遍的なロングセラーアイテムを再評価する動きも目立つ。
今回はロングセラーアイテムの中から殿堂入りにふさわしいキッチンツールを、料理道具コンサルタント・荒井康成さんのポイント解説付きで紹介していく。
■高度な職人技が生み出す究極の無水調理鍋
バーミキュラ
「オープンポットラウンド22cm」(3万240円)
水を加えなくても食材の水分だけでカレーなどを調理できる無水調理鍋。厚さ3mmの鋳鉄を手作業で磨き上げ、0.01mmの精度で削り込むことで、蓋と本体がぴったりと密着する。直径14cmから26cmまで5サイズで展開。
▲底部分にリブ状の加工を加えているのも特徴のひとつ。食材の接地面積を最小限にすることで、過剰な熱の伝達を抑えてくれる
▲蓋と本体の接合部分は、それぞれ斜めにカット。水平のカットより接合面積が増えることで、密閉性を高める効果がある
【殿堂入りのポイント】
国産ならではの作り込みが日本の食卓にマッチ
フランスと日本の食文化を見事に融合させた、日本を代表する鋳物ホーロー鍋です。使うたびに高度な技術や細部に施された工夫の便利さを実感できますし、ラウンド形状は炊飯にも向いています。まさに日本の食卓に向いたホーロー鍋でしょう
■チタンで切れ味と軽さを両立
ridge
[写真上]「ダイヤチタン包丁 16cm」(1万800円)
[写真下]「ダイヤチタン包丁 13cm」(1万800円)
ダイヤモンド粒子を加えたチタン素材を加工し、軽さと切れ味の永続性を高めた新機軸の包丁。菱形の端部から刃に向かって変化していくハンドル形状は、さまざまな握り方に適応する。銀イオンによる抗菌効果も備える。
【殿堂入りのポイント】
高度な加工技術で見事に製品化
硬いチタン素材を薄く加工するのは至難の技。それを実現したこの包丁は、軽さと切れ味を高い水準で備えた画期的な製品です
■絶妙な細口がドリップに最適
カリタ
「細口ポット 0.7ℓ」(5940円)
ハンドドリップに適した細い注ぎ口が特徴的なステンレス製コーヒーポット。美しいデザインの取っ手は、ドリップ時に持ちやすく、微妙に角度を変えた湯量調整もしやすい。傾けてもふたが落ちない構造も、湯を注ぐ際にさりげなく役立つ。
【殿堂入りのポイント】
絶妙な細口がドリップに最適
定番的なポットですが、最近自分でコーヒーをドリップする人が増え、その完成された形状がまた注目されています
■エコでヘルシーなセラミック製
グリーンパン
「ウッドビー セラミックノンスティック フライパン 26cm」(実勢価格7000円前後)
セラミックコーティングを内外に施すことで、少ない油でも食材がこびりつきにくく、汚れや傷も付きにくいという利便性を実現。全体の熱伝導性が高い上、底面に独自のアルミ素材を採用し、IH調理器でも効率よく加熱できる。
【殿堂入りのポイント】
IH対応で熱源を問わず活躍
従来のノンスティック加工製品と違い、過熱時に化学物質が出ない面でも注目されています。使いやすさも抜群です
■80年の歴史を持つ定番ツール
ツヴィリング
「クラシック料理バサミ」(1万6200円)
1938年に生まれた料理バサミのロングセラーモデル。食材を切るだけでなく、栓を抜く、缶やネジ蓋を開けるなど、幅広い使い方に対応する。鍛造と硬化処理により、刃先の切れ味や強度が長く続くところも特徴。
【殿堂入りのポイント】
意外な万能ぶりが調理で活躍
料理バサミの大定番。なじみがない人も多いようですが、魚の骨を切ったり、瓶の蓋を開けたりと、何かと役に立つツールです
【識者の目_料理道具コンサルタント 荒井康成さん】
包丁や鍋、フライパンといったキッチンで使う道具は、すでに完成された製品が多く、イノベーションがあまりないように思う人もいるだろう。特に定番的なアイテムは、数十年間、同じ形状や製法を守っているものが多く、それが信頼の証にもなっている。しかし、微妙な改良を加えたツールも実は少しずつ登場している。料理道具コンサルタントの荒井康成さんは、その代表例としてバーミキュラの鋳物ホーロー鍋を挙げる。
「鋳物ホーロー鍋といえば、ストウブやル・クルーゼが定番でしたが、そこに割って入ってきたのが、日本のメーカー、愛知ドビーが作る「バーミキュラ」の鍋です。一見すると他の製品との違いはわかりにくいですが、実は随所に工夫が見られます」
代表的なのは、密閉性の高さ。本体と蓋の接合部分を0.01mmの精度で斜めに削り出し、隙間なく閉まる構造を採用。熱や蒸気をしっかり閉じ込めることで、内部で熱対流が起き、食材にしっかり熱を伝える。
こうした高度な加工を、日本の職人が手がけているところも、バーミキュラの魅力といえる。メイド・イン・ジャパンならではの密かなイノベーションを、調理するたびに実感できるツールでもあるのだ。
●荒井康成さん
洋菓子店勤務などを経てエミール・アンリ社の日本代理店立ち上げに携わる。その後、独立して料理道具コンサルタントとして活動。執筆や専門学校の講師も手がける。著書に『ずっと使いたい世界の料理道具』(産業編集センター)
本記事の内容はGoodsPress2・3月合併号62-63ページに掲載されています
(取材・文/高橋 智 写真/湯浅立志<Y2>)
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