1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

【ベンツ オールテレイン試乗】ルックスも走りも、現代のベストバイ「Eクラス」かも

&GP / 2018年3月3日 19時0分

写真

【ベンツ オールテレイン試乗】ルックスも走りも、現代のベストバイ「Eクラス」かも

“十年ひと昔”とよくいいますが、二十年ならふた昔?

2017年秋に日本での販売がスタートした、メルセデス・ベンツのクロスオーバーワゴン「E220d 4マチック オールテレイン」に触れて真っ先に感じたのは「ベンツも、時代も変わったな…」という思いでした。

メルセデス・ベンツにとって初となるクロスオーバーSUV「MLクラス」が登場したのは、約20年前の1997年のこと。もちろん、当時のラインナップを振り返れば「Eクラス(W210型)」にもフルタイム4WD仕様の4マチックがありましたし、ベンツが誇る本格クロスカントリーSUVの「Gクラス」もありました。そのため、質実剛健を良しとする古くからのファンにとって、カジュアルなたたずまいと200万円以上もお手頃なプライスタグを掲げたMLシリーズは、メルセデス・ベンツの“セカンドライン”のように映ったのです。

それから20年。MLシリーズの流れを汲む「GLE」をはじめ、今日では「GLA」や「GLC」といったクロスオーバー系モデルがブランドを支える主力モデルとなっており、メルセデス・ベンツを名乗るにふさわしいクオリティを実現しています。時代の要請といえばそのとおりですし、他のプレミアムブランドを見ても、クロスオーバーモデルが販売上の大きなウエイトを占めるジャンルへと成長しているのは間違いありません。しかし、いよいよベンツの基幹シリーズである「Eクラス」本体にも…となれば、その実力が気になるという人も多いことでしょう。

■時代の変化に対応したEクラスワゴンの新星

E220d 4マチック オールテレインの成り立ちをひと言で説明するならば、E220d ステーションワゴンに、4マチックのメカニズムとクロスオーバーSUV風の装備を与えたモデル、となりますでしょうか。

とはいえ、エクステリアはひと目でEクラスと分かるものですし、ボディサイズも全長4950mm(「E220d ステーションワゴン アバンギャルド」比でプラス10mm)、全幅1860mm(同プラス10mm)、全高1495mm(同プラス30mm)と、Eクラスワゴンに準じたものとなっています。また、装備面もEクラスワゴンに準じており、安全運転支援システム“インテリジェントドライブ”のほか、360度カメラシステムやパーキングパイロットなど、思いつく限りの最新電子デバイスを備えていますし、ヒーター付きレザーシートをはじめ、快適装備についても同クラスをリードするものとなっています。

エクステリアにおけるEクラスワゴンとの相違点としては、シルバーの加飾が施される専用デザインの前後パンパー、マットブラックのホイールアーチカバー、SUVスタイルのラジエターグリルが与えられたことが挙げられます。また、タイヤサイズが225/55R17から245/45R19へ拡大したことや、地上高が25mmアップされたこと、それにより、着座位置がやや高めとなったことも、SUVらしさを感じさせる部分といえるでしょう。

しかしながら、個人的にはオーセンティックなステーションワゴンらしい端正なプロポーションに加え、最大1820リッターという容量を誇る荷室スペースなど、実用性が損なわれていない点がとても好ましく感じました。

もちろん、背の高いクロスオーバーSUVを否定するわけではありませんし、こうしたクルマにとって、カジュアルさやレジャー感も魅力の一部でしょう。しかし、休日のアシだけでなく、日常の相棒としても使いたいという方にとって、オールテレインの程良いコンサバ感はプラス要素となるはず。また、都市部では機械式駐車場に入場できる車高というのも、メリットとしては小さくないと思います。

さて、オールテレインに用意されるエンジンですが、こちらはE220d ステーションワゴンと共通の、排気量2リッターの直列4気筒ディーゼルターボで、最高出力は194馬力、最大トルクは40.8kg-mというスペックです。そして、車両重量は同じエンジンを積む2WD車の1870kgに対して、110kg増となる1980kg(パノラミックスライディングルーフ装着車)となります。

こうした数字だけを追えば、動力性能はさほど期待できないと思われかもしれませんが、ご安心を。今回は市街地と高速道路というドライブルートでしたが、1600回転から2800回転で最大トルクを発生するエンジンと、的確な制御を見せる9速ATのサポートもあり、歯がゆい思いをすることはありません。さらに、変速時も「さすがはベンツ!」と納得させられるスムーズさですし、加速時もキャビン内の音圧が大きく変わることはなく、高速道路でのクルージングは快適のひと言に尽きます。ちなみに、法定速度内での巡航であれば、エンジン回転数は1500回転前後を行き来する程度。右足に力を込めれば、スッと適切なギヤへとダウンして加速体勢に移りますが、その際の反応もEクラスの名に恥じない、極めて紳士的なフィーリングでした。

そして何より、印象に残ったのは、オールテレインの肝である“エアボディコントロールサスペンション”と、ドライブモードを選べる“ダイナミックセレクト”の完成度の高さ。連続可変ダンパーとマルチチャンバーエアサスペンションを電子制御するエアボディコントロールサスペンションそのものは「E400 4マチック ステーションワゴン エクスクルーシブ」やAMG系モデルにも採用されていますが、オールテレインは専用のセッティングとされています。

ダイナミックセレクトは燃費優先の「エコ」、快適性優先の「コンフォート」、スポーティな「スポーツ」、そして、エンジンやサスペンションなどの特性をドライバーの好みで選べる「インディヴィジュアル」に加え、専用の「オールテレイン」モードを搭載。オールテレインモードでは、35km/hまでは車高が約20mmアップするほか、ESPやASRといった電子デバイスもオフロード走行に適した設定となり、ディスプレイには勾配や傾斜角、コンパスなどが表示されます。

ちなみに、メーターパネルやディスプレイは、速度やエンジン回転数のほか、ドライビングに必要な各種情報の表示が可能なほか、表示モードも「スポーティ」、「クラシック」、「プログレッシブ」から選択可能となっています。こうした機能も「時代は変わった…」と感じる部分ですが、見やすさや扱いやすさはしっかり考えられており、ただの演出に終わっていない点は、ベンツらしいこだわりを感じます。

さて、話を“走り”に戻しましょう。今回のドライブルートは大半が舗装路でしたが、乗り心地や操縦感覚については、ノーマル(とはいえ、現在の主流はアバンギャルド系でしょう)をもしのぐのでは? と感じさせるシーンが多くありました。

例えば、目地段差が続く首都高速では、コツンという突き上げや、荒れたアスファルト路面におけるザラザラという振動がしっかりと抑えこまれており、コーナーにおいても、十分なストロークを有するサスペンションがしっかりと仕事をし、うねりに遭遇したり曲率が変化したりしても、ドライバーや同乗者が不快な揺れを感じることはありません。もちろん、舗装路、未舗装路の別なく、ステアリングには「現在どのような路面を走っているのか」が、その変化も含め、しっかりと感触として伝わってきます。アバンギャルドスポーツやAMG系のシャープさ、ダイレクト感を求めるドライバーにとっては、ワインディングなどで物足りなさを覚えるかもしれませんが、グランドツアラーとしては理想的な乗り味や快適性、操縦性を実現しているといえるでしょう。

Eクラスのラインナップにおいて、オールテレインは変化球的なポジションかもしれません。また、控えめではあるものの、SUV的なたたずまいをまとうなど、絶妙なサジ加減や器用さを見ると「ベンツも時代も変わったな…」と感じるのも事実です。とはいえ、ステーションワゴンとしてのユーティリティはEクラスワゴンと変わりありませんし、ベンツらしく懐の深いしなやかな走りも受け継がれています。「レジャーにも使いたいけれど、遊び心やスポーティさを前面に押し出したクロスオーバーSUVではなく、もうちょっと控えめでコンサバなモデルがあれば…」というユーザーにとっては、最善の選択肢となりそうです。

<SPECIFICATIONS>
☆E220d 4マチック オールテレイン
ボディサイズ:L4950×W1860×H1495mm
車重:1980kg
駆動方式:4WD
エンジン:1949cc 直列4気筒 ディーゼル ターボ
トランスミッション:9速AT
最高出力:194馬力/3800回転
最大トルク:40.8-m/1600~2800回転
価格:875万円

(文&写真/村田尚之)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください