【ボルボ XC40試乗】1stロットはもう完売!ボルボの新しい扉を開く新世代SUV
&GP / 2018年4月15日 19時0分
【ボルボ XC40試乗】1stロットはもう完売!ボルボの新しい扉を開く新世代SUV
ボルボの新しいコンパクトSUV「XC40」が発売されました。同社の全く新しいプラットフォーム“CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)”を用いた、渾身のニューモデルです。
セダンではなく、ハッチバックでもなく、まずはSUVから新世代の小型車がリリースされる辺りに、世のトレンドが、クルマのメインストリームが、以前とは全く変わったのだなぁ…と、今さらながら実感する今日この頃です。
■秀逸なデザイン、走り、使い勝手…コレは買い!
日本に導入されるXC40は、チューニング違いで、190馬力と252馬力、2種類の2リッターターボがラインナップされます。前者を搭載する「T4」は389万円〜、後者を搭載する「T5」は539万円〜。4WDのほか、190馬力バージョンにはFF(前輪駆動)モデルも用意されます。
早速、輸入第1弾の最上級モデル「T5 AWD Rデザイン 1stエディション」のプレス試乗会が開かれたので参加した…のですが、XC40の上陸を記念する300台限定のスペシャルグレードは、なんとすでにSOLD OUT! 車両本体価格559万円のSUVが、入るそばから売れてしまうとは…。昨今のSUV人気の高まりを再確認させられたニュースです。
XC40のボディは、全長4425mm、全幅1875mm、全高1660mm。ライバルと目されるアウディ「Q2」より、少しだけ大きいサイズです。ホイールベースは2700mmと長め。これによって広いキャビンを確保しているほか、将来的には、前後の車軸間にバッテリーなどを搭載し、ハイブリッド化や電動化することも狙っています。
Q2もそうですが、SUVラインナップの末弟モデルは、小柄なボディの存在感を増すために、少々“やんちゃな”デザインをまといがち。XC40もその例にもれず、長めに感じさせるフラットなボンネットに、ブラックアウトされたピラーとルーフ、後端でキックしたショルダーライン(窓枠下端)、そして、4輪のふんばり感を強調する黒く縁取りされたホイールアーチ…といった具合に、ボルボ一族であることを示しつつ、強めの個性をアピールしています。
ボルボのスタッフによると「上級SUVの『XC90』や『XC60』の弟分というよりは、従兄弟と見てください」とのことでした。モデルのヒエラルキーや価格で選択するのではなく「ライフスタイルに合わせてチョイスして欲しい」と。都市型ライフスタイルにピッタリなコンパクトSUV、それがXC40というわけです。
さて、試乗車のドアを開けると、まぶしいオレンジ色の内装が目に飛び込んできます! ことにドアの内張りには、北欧テイストを醸すフェルト素材が使われ、新鮮で贅沢な感じ。貧乏性の自分などは「ちょっともったいないなぁ。汚れが心配…」などと思ってしまうほど。もっとも、このオレンジ内装は、Rデザインのオプションアイテムなので、心配性の人(!?)は、標準のチャコール(黒)内装をお選びください。
XC40のインテリアは、見た目にスタイリッシュなだけでなく「イチから考え直した」と主張されるとおり、さり気なく便利な工夫があちらこちらに採用されています。接続コードがうるさくなりがちなスマートフォンのために、置くだけで充電できる“ワイヤレス・スマートフォン・チャージ”や、ノートPCなど大きめのガジェットも収納できる大型のドアポケット、それに、カップホルダーをゴミ箱代わりに使うことを禁止するため(!?)に、トンネルコンソールには専用のトラッシュボックス(フタ付き)も設けられました。整理が苦手で、得てして身のまわりを散らかしがちな人でも、これなら見た目もキレイなまま使える、はず。
ちなみに、ドアポケットを拡大するために、大型スピーカーの設置場所はドアからダッシュボード奥へ移されました。が、サウンドに関する心配は無用です。力強いサウンドを実現する“エアウーファーテクノロジー”が標準装備され、さらに、オプションながら“ハーマンカードンプレミアムサウンドシステム”も設定されています。
XC40のドライバーズシートに座って気がつくのは、「ボルボのSUV」という先入観から想像するより、シートが小ぶりで、ステアリングホイールも小径だということ。けっして室内が狭いわけではないけれど、コンパクトSUVらしい、スポーティかつタイトな雰囲気を演出しているのです。
エンジンは、お馴染みの“Drive-E”ユニット。2リッター直列4気筒の直噴ターボで、ハイチューン仕様のT5バージョンでは、252馬力/5500回転の最高出力と、35.7kg-mの最大トルクを1800〜4800回転にわたって発生します。エンジンそのものは“縁の下の力持ち”タイプですね。特に意識せずとも、黙々と、1690kgのボディを余裕を持って走らせます。
XC40の走りを印象づけるのは、動力系よりむしろハンドリング。ステアリングの操作に対してクイックに反応する、いわゆる“ゲインが高い”特性で、小径のステアリングホイールと併せ、ボルボのコンパクトSUVをシャープに走らせます。これまでのボルボ車は、セダン、SUV、はたまたスポーティモデルを問わず、どこかおっとりとした穏やかな走りが特徴でしたが、新しいシャーシを与えられたXC40は、ひと皮むけた走りを披露します。
あえてネガな点を挙げますと、ステアリングのパワーアシストのフィールがどこかカサついている、とか、ステアリングを切った瞬間の初期ロールが急すぎる、時に腰高感が気になる、といったことが灰色の頭脳にメモされていますが、いずれも職業的なアラ探しのレベル。XC40が本来持つ、スポーティな性格をスポイルするものではありません。
試乗車は、通常よりハードなRデザインサスペンションを装備し、19インチホイールを履く、やや“とがった”仕様です。18インチのノーマルモデルや、17インチのFFモデルだと、また違った走りを見せることでしょう。アーバンSUVとして、どの仕様が最適か? 興味あるところ。ちなみに、すでに1stエディションは売り切れてしまいましたが、後続のT5、T4は、6月以降のデリバリーを予定しているとのことです。
いうまでもありませんが、XC40はセーフティ関係も充実しています。ミリ波レーダーや従来より4倍の解像度を持つカメラで周囲を監視し、16種類以上の安全・運転支援技術を標準で装備。自動運転レベル“レベル2”相当の“パイロットアシスト”を備え、渋滞中でも他車との距離を保ちつつ、車線を維持するようステアリングホイールをアシストしてくれます。
外観、内装ともクリーン&モダンなデザインでまとめられ、クルマの根本から新たに開発されたXC40。すでに“欧州カー・オブ・ザ・イヤー2018”を獲得した北欧のプレミアムSUVは、ここ日本でも高い評価を獲得しそうです!
<SPECIFICATIONS>
☆T5 AWD Rデザイン 1stエディション
ボディサイズ:L4425×W1875×H1660mm
車重:1690kg
駆動方式:4WD
エンジン:1968cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:8AT
最高出力:252馬力/5500回転
最大トルク:35.7kg-m/1800〜4800回転
価格:559万円(完売)
(文&写真/ダン・アオキ)
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