1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

【ES海外試乗】レクサスの本命が今秋、日本で発売!上質な乗り心地は期待以上:岡崎五朗の眼

&GP / 2018年8月12日 19時0分

写真

【ES海外試乗】レクサスの本命が今秋、日本で発売!上質な乗り心地は期待以上:岡崎五朗の眼

北京モーターショー2018で発表され、間もなく日本での販売がスタートするレクサスの新型ミドルサルーン「ES」。

レクサスといえば世界を相手に戦う日本ブランドの雄であり、ESはレクサスサルーンの中核を担う大事なモデル。2017年にフルモデルチェンジを果たしたフラッグシップサルーン「LS」に通じる、エモーショナルなたたずまいを採用したESは、販売前にも関わらず、高い注目を集めています。

今回は、海外で先行開催された試乗会でいち早くESをドライブしたモータージャーナリスト岡崎五朗さんに、ESの概要と見どころ、そして、気になる部分を伺いました。

■心臓部は2.5リッターハイブリッドの一本勝負

--このところレクサスは、ラインナップの拡充に積極的ですが、新しいESは、どんなポジションのクルマなのでしょうか?

岡崎:日本ではあまり馴染みがないネーミングかもしれないけれど、ESはレクサスの中でも長い歴史を持つモデルで、今回デビューしたのは7代目。2代目、3代目、4代目のESは、日本でも「ウィンダム」として売られていたから、記憶にある人も多いんじゃないかな? 実は「RX」や「NX」といったSUV系のモデルを除くと、ESはレクサスで最も売れているモデル。北米と中国が主要マーケットなんだ。

先にデビューした2ドアクーペの「LC」や、フラッグシップサルーンのLS以降、レクサスはすごくエモーショナルで高性能、そして、価格も高いプレミアムブランドというイメージを強めているけれど、ESはそれらとはちょっと違うレクサスともいえる。そこまでエモーショナルではないし、驚くほど高性能でもないけれど、とても扱いやすくて信頼できる“上質なFF(前輪駆動)のレクサス”というイメージかな。

--駆動方式は従来どおりFFなんですね。

岡崎:そのとおり。実はトヨタ「カムリ」と同じ“GA-Kプラットフォーム”をベースにしたクルマなんだけど、レクサスはその辺をあまり積極的にはアピールはしていないんだ。おそらく「同じ仕入先から同じ素材を仕入れても、シェフ次第で違う料理になる」といいたいんだろうね。確かに、先代のESと比べると、デザインはかなりアグレッシブになったし、よく見るとLSにも通じる要素が取り入れられている。プロポーションも流麗だし、全体的な質感も向上している。そういう意味では、最近のレクサスの流れに沿ったクルマだね。

--そうなると、走りが気になりますね。LSにはかなりスポーティな仕様が設定されていますが、ESの足まわりも同じ方向性なのでしょうか?

岡崎:今回、先代のESと乗り比べる機会があったんだけど、新型から旧型に乗り換えると「普通の乗用車だな」と思ってしまうほど。先代ESはステアリングの反応が鈍いし、曖昧さも感じる。つまり、快適ではあるんだけど、スポーティな感触に乏しいんだよね。

その点、新型は、ステアリング操作に対してクルマがシャープに、そしてスムーズに反応する。LCやLSの開発で培った“エモーショナルなプレミアムブランドのクルマ”という流れに乗せようとしているのがよく分かる。そういうブランドとしての統一感は、とても大事だと思うよ。

――新型ESには、LSと同様に、スポーティグレードの「Fスポーツ」が設定されているみたいですね。

Fスポーツ

岡崎:Fスポーツとノーマルの2グレードが用意される点も、新型ESの特徴だよね。Fスポーツはネーミングのとおり、内外装がスポーティな仕立てになるほか“AVS”と呼ばれる電子制御の減衰力可変ショックアブソーバーが付いている。

それに対し、ノーマル系には新開発の“スイングバルブショックアブソーバー”が採用されているんだけど、実はこちらの方の出来栄えがかなりいい。クルマが動き出した時、例えば、タイヤが動くか動かないかといった辺りの極低速域からしっかりと減衰力が発生していて、上質な乗り心地を実現している。

しかも、しっかり感が十分あるのに、ゴツゴツした感触がないんだ。計測器でも測れないような繊細な領域での乗り味が良くなっている。こんなフィーリングの日本車って、最近なかったと思うよ。LSはFスポーツの方がいいと感じたけれど、ESをゆったりした気分で乗りたいのなら、ノーマルの方がいいだろうね。

--エンジンはいかがでしょうか? 昨今のトヨタやレクサスは、環境性能はもちろん、走りの質感にも注力しているので期待しているのですが。

岡崎:日本市場に導入されるのは、2.5リッターの直4ハイブリッドで、基本的にはカムリと同じだね。システムの信頼性や完成度はカムリで実証済みだし、出来もいい。もちろん、燃費はこのクラスとしては驚くほどいい。けれど、北米仕様のESには3.5リッターV6エンジンの設定があって、こちらの方が回転フィーリングなどは上質。燃費以外の面では、V6の方が新型ESのキャラクターに合っていると思うな。

--V6エンジンは日本市場への導入予定はないのでしょうか?

岡崎:導入当初、日本市場向けのエンジンは2.5リッターの直4ハイブリッドのみらしい。ESで一番残念なのは、この点だと思う。

購入を検討する際、例えば、クルマにあまり詳しくない人だと「カムリとメカニズムが同じ? では、何が違うのだろう?」というのを気にするはず。一方、クルマに詳しい人だと、ヨーロッパ車などと比較するよね。同価格帯のプレミアムブランドは、ひとつのモデルに複数のエンジンを設定しているから、2.5リッターの直4ハイブリッドだけというのは魅力に乏しいと思うんだ。レクサスというブランドの認知度も上がってきているし、デザインも洗練されてきたけれど、それだけで十分なセールスを期待できるのは、北米と中国くらいじゃないかな。

日本市場で考えると、トヨタの「クラウン」と同価格帯になりそうだし、経験上、このクラスの国産セダンは大きな販売台数を望めないから、バリエーションを増やせないという事情も分かる。でも、ベースモデルとなったカムリとの違いを、最も分かりやすいエンジンで示すべきだったと思うんだよね。

--最近のレクサスは攻めの姿勢が続いていたので、確かにESのエンジン設定は惜しいですね。そんなESの今後について、何か要望はありますか?

岡崎:FF車がベースだから、リアシートも広くて快適だし、インテリアもレクサスクオリティに則って作られている。こういう上質で広いセダンというのは、今のレクサスのラインナップを見渡すと、いいポジショニングにあるクルマだとは思うんだ。

ただ、LCやLSは、走りにせよ、クオリティにせよ、クルマ好きに訴えかけるものがあったし、オンリーワンだと感じさせる部分があった。一方、エントリーセダンである「IS」も、スポーツセダンというキャラクターが認知されている。「では、新しいESは?」といわれると、快適でカッコいい、というだけではキャラクターとして弱いし、価格帯を考えると、エンジンが2.5リッターの直4ハイブリッド一本勝負では、ますます弱腰に見えてしまう。

日本のブランド、日本で生産するクルマであるなら、もっと挑戦すべきだと思う。2017年に、SUVのRXに3列シートの7人乗り仕様が追加されたけれど、あれだって当初は「3列シート車の需要ってあるのだろうか?」という思いを持ちながら挑戦したクルマなんだよね。だから、日本向けのESにV6エンジンを設定するのは、決して難しいことではないと思う。レクサスというブランドの今後を考えるなら、個人的には絶対に必要だと思うし、それをカタチにする勢いも大事だと思う。クルマ自体の出来がいいだけに、正直にいうと売り方がもったいない。レクサスは世界を相手に戦う日本ブランドの雄なんだから、やはり攻めの姿勢を見せて欲しいよね。

(文責/村田尚之 写真/レクサスインターナショナル)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください