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【ホンダ クラリティPHEV試乗】モーターだけで114.6kmも走るEVのようなハイブリッド車

&GP / 2018年9月10日 19時0分

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【ホンダ クラリティPHEV試乗】モーターだけで114.6kmも走るEVのようなハイブリッド車

EV(電気自動車)の時代がやってくるのか? はたまた燃料電池か? それとも、PHEV(プラグインハイブリッドカー)が主導権を握るのか?

正直なところ、次世代エコカーの主流が何になるのか、その時になってみないと誰にも分からない。マスメディアは盛んに「EV時代の到来」をアピールしているが、確かに、EVが増えていくことは間違いないが、現在のガソリン車やディーゼル車のように、主流になるかは不透明だ。

EVにとって最大のネックは、充電に時間がかかること。もしかしたら利便性の高さでは、水素を補充して走る燃料電池車の方が、ブレイクするかもしれないし、多くのクルマがPHEVとなり、エンジンを搭載するクルマが今後も主役に座る可能性もある。

前置きが多少長くなったが、ホンダ「クラリティ」にPHEV使用が追加されたので、早速試乗してきた。

■ひとつの車体で3タイプのパワートレインに対応

「クラリティって、燃料電池車じゃなかった?」と疑問に感じた人は、相当のクルマ好きかもしれない。2016年に発売されたクラリティは、これまで燃料電池車のみのラインナップだった。しかしクラリティは、実はひとつの車体で、燃料電池車、PHEV、EVという3タイプのパワートレインに対応できるよう設計されていて、先陣を切った燃料電池車に続き、先頃、PHEVモデルが投入されたのだ。

簡単におさらいすると、PHEVとは外部から充電可能な大きめのバッテリーを搭載するハイブリッドカー。近距離はエンジンをかけずにEV感覚で移動でき、遠距離はエンジンを使い、ハイブリッドカー感覚でドライブできる。状況に応じて電気でもガソリンでも走れるから、充電しなくてもガソリンを給油すれば走れるのが特徴。つまり、現在の社会インフラと相性が良く、EVとは違って充電やバッテリー残量を気にしながら走る必要がないので、ロングドライブの制約もない。実に便利なパワートレインなのである。

参考までに、クラリティPHEVと燃料電池仕様との見た目の違いは、クロームモールが太くなったフロントグリル、ルーフ(燃料電池車はブラック、PHEVはボディ同色)、ドアハンドル(燃料電池車はクローム、PHEVはボディ同色)といったところ。細かいところの差別化だけといっていい。そのほかでは、ホワイトのインテリアカラーはPHEV専用で、遮音ガラスは燃料電池車の場合、リアシートにも備わるが、PHEVではフロントシートだけの採用となる。

これらは、燃料電池車が官公庁や企業において“リアシートに座る人のためのクルマ”として使われることを視野に入れているのに対し、PHEVはパーソナルユースのドライバーズカーとして位置づけられているからだ。

■走りをひと言で表現するなら「ほぼEV」

そんなクラリティPHEVの走りをひと言で表現するならば「ほぼEV」という表現がふさわしい。アクセルペダルを踏み込むと、グッと鋭く加速が始まり、そこからスムーズにスピードが伸びていく。しかも速い! そんなモーター走行ならではの爽快感は、ガソリンエンジン車では味わえないもので、その気持ち良さはクセになるほど。環境性能うんぬんではなく、このドライバビリティのために、クラリティPHEVのようなモーター駆動車が欲しくなるほどだ。

ホンダのPHEVシステムは、高速域を除き、モーターだけで動力を生み出す仕掛けのため、走行感覚がEVに酷似しているのは当然なのだが、クラリティPHEVで驚かされたのは、エンジンがなかなかかからないこと。PHEVは日常領域ではモーター走行が中心とはいえ、強くアクセルペダルを踏み込んだ際には、エンジンがかかって「EVではない」ことを実感させられるのが一般的だ。しかしクラリティPHEVは、驚くほどエンジンがかからない。だから思わず「EVじゃないの?」と錯覚しそうになるほど、まるで“EVのようなPHEV”に仕上がっている。

その理由は、パワートレインにある。かつてリース販売されていた「アコードPHEV」に比べるとバッテリーが大型化され、モーターの出力もアコードPHEVの3.3倍にアップ。しかもエンジンの排気量は、2リッターから1.5リッターに引き下げられるなど、モーターとエンジンのパワーバランスが大きく変わっているのだ。

その変化は驚くべき大きさで、結果として、エンジンをかけずにモーターだけで走る“EV走行”の領域上限は、日本の公道における制限速度を大きく超える160km/hにまで拡大。エンジンをかけずに走れる距離(JC08計測)も、37.6kmだったアコードPHEVに対し、114.6kmと実に3倍以上となった。このデータは、トヨタ「プリウスPHV」の約1.7倍にも達する“長い足”である。

だから、街乗りレベルではとにかくエンジンがかからないので、PHEVなのにEVと錯覚してしまうのも当然のこと。しかも、エンジンがかからないから、音だってすごぶる静かだ。さらに、仮にバッテリー充電量が減っても、ガソリンを給油すればガソリン車と同様に走れるのがEVとの大きな違い。走りはEVみたいだが、ガソリンを入れればエンジンでも走れるクルマ。これこそが、クラリティPHEVの説明として最もふさわしいといえるだろう。

■ゴルフバッグなら4つ、特大のスーツケースもふたつ積める

おまけに、先行した燃料電池車のクラリティと比べて、使い勝手がいいのもPHEV仕様のメリット。最大の違いはラゲッジスペースが広くなったことで、PHEVは燃料電池車のように水素ボンベを積む必要がないため、荷室容量が84Lアップの512Lへと拡大され、ゴルフバッグなら4つ、特大のスーツケースでもふたつは載せられるというから実用的だ。

クラリティPHEVは、先行した燃料電池車ほどの先進性こそないものの、実用的で現実的な“セダンの最進化形”といえる存在。600万円に迫るプライスタグは唯一のウイークポイントといえるが、冒険をさほど好まず、安全パイを選ぶことに背徳感を抱かないエコカー選びなら、クラリティPHEVはなかなか堅実な選択肢といえるだろう。何しろ現在の日本において、エネルギーの補充というクルマを走らせる上で欠かせない行為が、燃料電池車やEVのそれよりも、ずっと気軽で日常的なのだから。

<SPECIFICATIONS>
☆EX
ボディサイズ:L4915×W1875×H1480mm
駆動方式:FF
エンジン:1496cc 直列4気筒 DOHC
トランスミッション:電気式無段変速機
エンジン最高出力:105馬力/5500回転
エンジン最大トルク:13.7kgf-m/5000回転
モーター最高出力:184馬力/5000〜6000回転
モーター最大トルク:32.1kgf-m/0〜2000回転
価格:588万600円

(文/工藤貴宏 写真/&GP編集部)

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