【ゴルフ GTE試乗】VWの次期主流パワーユニットは、EVメインでも走りは快活!
&GP / 2015年11月13日 21時0分

【ゴルフ GTE試乗】VWの次期主流パワーユニットは、EVメインでも走りは快活!
先頃上陸したフォルクスワーゲン「ゴルフ GTE」は、今、最も実用的なEV(電気自動車)かもしれません。
もちろん、ゴルフ GTEは、大容量バッテリーを用いたハイブリッドシステムを搭載するPHV(プラグインハイブリッド車)ですが、使い勝手はEVそのもの。スターターボタンを押して“電源をオン”にしたら、あとはアクセルを踏んで走り出すだけ。そのまま高速道路に乗り、EVのまま、つまり内燃機関たるエンジンを稼働させることなく、100km/hで(超ででも!)巡航することが可能です。
ゴルフ GTEのハイブリッドシステムは、電池が減ってきた時のバックアップとして控えている、と考えることもできます。それでいて、ピュアEVからハイブリッドモードへの移行はシームレス。電池が減ってきたり、“E-MODE”ボタンを押すとハイブリッド走行が始まりますが、その移行は、注意深く観察していてようやく「オヤ、エンジンかかったのかな?」となんとなく気づくくらい。それくらい違和感なく走れます。
例の排ガス不正問題の影響で、フォルクスワーゲングループの中で、にわかに近未来の主流パワーユニットに躍り出た感のあるPHV。その尖兵たるゴルフ GTEは、日本では499万円のプライスタグを付けます。
「ゴルフなのに500万円!」と驚くか、「ゴルフ Rより40万円も安いのに近未来を体感できるのか!」と喜ぶか。個人的には、GTEの魅力にココロつかまれております。
■EVなのにホットハッチの走りも楽しめる!
ここで、ゴルフ GTEの概要を復習しておきましょう。
エンジンは、1.4リッターの直列4気筒ターボ(150馬力/25.5kg-m)。電気モーター(109馬力/33.7kg-m)はデュアルクラッチ式の6速ATと一体化され、ギヤとエンジンとの間に置かれます。その影響で、ゴルフ GTEのエンジンは、通常のゴルフより(正面から見て)左に約60mmオフセット配置されています。
もちろん、モーターだけでの走行が可能です。33.7kg-mという最大トルクを見れば、ゴルフ GTEがいかに力強いEVであるかが分かるでしょう。大容量(8.7kWh)のリチウムイオンバッテリーはリアに収納。EV状態での航続距離は、カタログ上は53.1km(JC08モード)とされています。
バッテリーを満充電するのに要する時間は、3時間強。ゴルフ GTEは“CHAdeMO(チャデモ)”方式を採用する日本の急速充電機に(まだ)対応していません。その代わりにハイブリッドシステムがある…というのは、少々いい過ぎかもしれませんが、それがGTEを試乗しての実感です。
以前、三菱「i-MiEV」で、東京−横須賀間のドライブを体験したことがあります。その際「出先での急速充電はあまり実用的ではない」と感じました。運転中、電池が減ってくると「大丈夫だ」と頭では分かっていても心焦るものですし、一定の走行間隔で20分以上時間を潰すのは、意外と面倒なもの。しかも、豊富にあるとはいいかねる急速充電機に先客がいようものなら…。
複数台数のクルマを所有することが難しい一般ユーザーの場合、今のところPHVこそが一番実用的な、いいかえると、懐を痛めて購入するに足る“自家用EV”ではないかと思うのです。
ゴルフ GTEの車重は、2リッターターボを積む「ゴルフ GTI」より200kg近く重い1580kg。EV状態でのドライブフィールは、車種、メーカーを問わず、電動自動車のそれに共通したものです。静かでスムーズ、フラットな乗り心地。ただし、タイヤが路面を蹴るロードノイズだけが耳につく。そして制動時には、ブレーキパッドがローターを擦る音が聞こえてくる。そんな感じです。
ちなみにEV走行時には、制動時にエネルギーを回収する回生機能の“強/弱”を切り替えられます。ATシフターを手前に引いて、「D(弱)」か「B(強)」かを選びます。
Bにすると、アクセルペダルから足を話したとたん、急激なエンジンブレーキがかかったように減速するので面食らいますが、これは運転の仕方が悪い。Bの場合、ペダルから足を離さず、ペダルを戻す量で減速をコントロールするのがコツ。段階的にブレーキをかける電車の運転に近いのかもしれません。
アクセルペダルを奥まで踏み込むか、シフター横の“E-MODE”ボタンを押すと、1.4リッターターボが目覚めます。ハイブリッドモードでのカタログ燃費は23.8km/L(JC08モード)。
面白いことに、ハイブリッドモードにも2種類が用意されます。エンジンとモーターを協調させる通常のハイブリッド走行と、バッタリーチャージを優先させるモード。後者の場合、駆動用のモーターがオルタネーター(発電器)として機能します。エンジンが発電機を回す、いわゆる“シリーズ式”と呼ばれるハイブリッド車に近い動きをするわけですね。
さらにもうひとつ、お楽しみモードが! “E-MODE”の前方に設けられた“GTE”ボタンがそれで、その名も“GTE”モードに切り替わります。エンジンと互角のアウトプットを誇るモーターを、いわば電気ターボとして駆動力に上乗せするモードです。
にわかにエンジンサウンドが派手になり、ステアリングはグッと重くなる。ゴルフ GTEはたちまち、(やや重厚な)ホットハッチと化して怒濤の加速を見せるのです。でも、確かにすごく速いのですが、気の小さいワタシは、なんだかもったいなくて仕方がない。
いうまでもなく、「PHVだからといって退屈なクルマではない!」というフォルクスワーゲンの強い主張が込められているゴルフ GTEですが、それを重々承知の上で、ハンドルを握る身としては「君の持ち味はそっちじゃないだろう」と説教したくもなります。いやですね、貧乏性って…。
何はともあれ、“エレキの時代”を現実感を持って引き寄せたゴルフ GTE。ディーゼルエンジンの問題で世界中の、そして日本のファンを心底ガッカリさせたフォルクスワーゲンですが、それでむしろ、PHVの開発により力を注ぐようになるのなら、万事塞翁が馬。再び自動車業界を牽引する日がくるかもしれません。
ビートルで自動車趣味人生(!?)を始めたワタシとしては、何はともあれ、PHVで頑張っていただきたい!
<SPECIFICATIONS>
☆GTE
ボディサイズ:L4265×W1800×H1480mm
車重:1580kg
駆動方式:FF
エンジン:1394cc 直列4気筒DOHC ターボ
トランスミッション:6速DSG
エンジン最高出力:150馬力/5000〜6000回転
エンジン最大トルク:25.5kg-m/1500〜3500回転
モーター最高出力:109馬力
モーター最大トルク:33.6kg-m
価格:499万円
(文&写真/ダン・アオキ)
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