【クラウドファンディング】バッテリーで暖めるジャケットで冬の防寒対策!
&GP / 2015年11月22日 9時38分
【クラウドファンディング】バッテリーで暖めるジャケットで冬の防寒対策!
今年は映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』の舞台の年。それに伴い、ウエアラブルガジェットや近未来感あふれる製品の話題が多く見られました。子どものころに憧れたアイテムが次々と実現するのは、なかなか感慨深いものがあります。
そこで今回紹介するのは、2015年7月にクラウドファンディングサイト「A-port」で目標金額を達成した、モバイルバッテリーでジャケットを暖めるウエアです。
■発熱するウエアで寒さ知らず!
■開発に至るきっかけ
クラウドファンディングで“ものづくり”にチャレンジしたのは、株式会社Chord&Co.の代表取締役・北田尚弘さん。
――まずお聞きしたいのですが、北田さんはモバイルバッテリーウエアの他に、ご自身が運営するブランド「HALOS」でソーラーパネル搭載バッグも手掛けられていますよね?
北田:2011年東日本大震災が起きた時のことです。スマートフォンや、電子デバイスに依存している社会の中で、電源の供給が断たれたことによって、自らエネルギーを作り出す社会が必要じゃないかなと思いまして。
人も実際には家にいる時間よりも、屋外で過ごしている方が結構多いので、いつでも自分で使う電気に関しては自分で発電できるような社会があったらいいなと思い、バッグを作った次第です。
――そのバッグの技術を使って今回ジャケットを作られたということですか?
北田:そうですね。バッグはソーラーパネルが搭載されているものですが、市販のモバイルバッテリーで充電できるように設計しています。元々、ソーラーバッグは海外にもありましたが、ソーラーパネルとアダプターがセットになっているものでした。
でも、これだけ市場にモバイルバッテリーが売られていてニーズがある中で、別にアダプターを入れる必要はないのでは、と思いまして。モバイルバッテリーに貯めている電気の使い方はデバイスなどに充電するだけでなく、電熱線で自分の体を暖めるような技術もありました。そこでモバイルバッテリーを使用し、体を暖めるジャケットを設計しました。
――会社の設立と開発にかかった時期は?
北田:設立は2010年だったと思いますね。そこからこのジャケットを制作するまでに、約2年かかりました。
■ジャケットの仕組みと機能について
――ジャケットはソーラーパネルではないのですか?
北田:そうです。服の中に電熱線が這わせてありまして、モバイルバッテリーの電気を熱に変えて暖めるという仕組みになっています。
電熱線があるのは内側のポケットです。さらに、背中に縦に2つ入っています。数十秒くらいすると、じんわりと暖かくなってくるんです。ポケットに手を入れる時や、腹部、背中を暖めます。
――温まる温度はどれくらいでしょう?
北田:温度設定ができるようになっていて、レッドのランプが50度、グリーンが40度、ブルーが30度です。抵抗によってコントロールしているので、温度設定が高いと、そのぶん電気を使います。
バッテリーはブルーで6時間くらいもちますが、レッドだと約3時間でしょうか。
――市販はいつからになりますか?
北田:11月から西武池袋にて取扱いがスタートします。価格は5万7800円です。
――ジャケットの素材は何でしょう?
北田:ポリウレタンに近い素材ですが、裏側を起毛してあります。暖かくなった熱気を逃がさないようにして、循環してじんわり暖まるような素材を使っています。
ストレッチ性もあるので動きやすく、外側には防水加工を施してあります。通気性があまり良すぎると、どんどん熱を逃がしてしまうことになります。
熱は溜まってくると首元に来るので、その時には開けていただくといいですね。満員電車や、室内で暑くなった場合は、電源を切るかファスナーを開けて対応することができます。より寒い時には、ダブルのファスナーで体とジャケットの密着度を調節してください。
――バッテリーはUSB対応ならどんなものでも使用できますか?
北田:出力が2アンペア以上のモノを使っていただければ大丈夫です。2アンペア以下だとまったく反応しません。
――サイズは?
北田:フリーサイズの1種類です。
――電熱線の素材は何を使用しているのですか?
北田:ステンレス製です。なので洗うことも可能です。柔軟性の高いステンレスの針金みたいなものだと思っていただければ。服の素材もストレッチ性が高いので、密着しているのに割と動きやすい。
いわゆるライダースジャケットは、着るとゴワゴワしがちですが、ストレッチが効くのでスマートに着ていただけるかなぁと思います。
――中の線が切れた場合は修理可能ですか?
北田:はい、可能です。しかし、破断試験の結果を見ても、相当な強い力がかからない限り、切ることは難しいです。銅とはまた強度が違うので、基本的に切れることはほとんどないと想定しています。
唯一、LEDのランプが洗濯試験の時に何回か故障しています。試験は50回やりますが、何十回か繰り返すとLEDランプのブルーが点かないとか、一色点かなくなってきてしまうことが何回かありました。ジャケットの電熱線が破断することは普通の洗濯ではないですね。
――リフレクターを使っている箇所が多いですね。
北田:前からも後ろからも反射するように作っています。元々これは、HALOSブランドが「宇宙」をテーマにしていることが大きな理由です。あと、配置のバランスで黒くなり過ぎてしまうため、差し色としてカラーバランスを整えているという感じですね。
HALOSは未来志向ですとか、常に日頃何かに挑戦しているとか、チャレンジングな人を想定しています。近未来感というのが遠くもなく近過ぎずというところで、洗練されたライフスタイルを送られている方をイメージして作っているので、近未来感と現実のギャップを埋めながらも、飛び越え過ぎてなく、半歩先を行くようなデザインでありたいなと思いましたね。
――デザインの話が出ましたが、テーマはありますか?
北田:センターにファスナーがないアシンメトリー(非対称)型にしたいことは最初から描いていました。ライダースのようなファスナーの位置が、すごく僕の中では近未来的なイメージがあるんです。
さらに、HALOSというブランド名は、宇宙をコンセプトにしたデザインを考えているので、必ずブラックで、そこにリフレクターを使用しています。自転車通勤される方も、車のライトが光ればピカッと反射するので、安全性も保持しようという考えはあります。
■これからの展開についてお聞かせください
北田:お客様の反応を見ながら、改良していくべきと思っていますが、基本的にはこのままです。あとは、他社さんとのコラボレーションなどをできれば思っています。
考え方や想いを共有、共感していただけている人たちと一緒に何かを目指してやっていけたら面白いと思いますね。
これからの寒い季節に、インドア、アウトドアどちらにも活躍しようなジャケットを紹介しました。スマホを充電する方法でウエアを暖めてくれる感覚、一歩先を行く男として、今シーズンのお供にいかがでしょうか?
【データ】
社名:株式会社Chord&Co.
製品名:モバイルバッテリージャケット
価格:5万7800円
サービス開始時期:2015年11月
事業参加人数:約3人
(2015年11月時点)
(取材・文/三宅隆)
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