吉田由美の眼☆トヨタ副社長が激白!新型スープラはトヨタの壁を壊すための“挑戦の狼煙”!?

&GP / 2019年2月12日 19時0分

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吉田由美の眼☆トヨタ副社長が激白!新型スープラはトヨタの壁を壊すための“挑戦の狼煙”!?

2019年、トヨタ「スープラ」が17年ぶりに復活します!

スープラというと、前身モデルの日本名は「セリカXX(ダブル・エックス)」でしたが、1986年に発売された3代目から、スープラのネーミングにて世界各国で統一。リトラクタブルヘッドライトを採用したこの3代目は、日本でもヒットを記録します。

続く4代目は、ピュアスポーツカーを目指し、走行性能を格段に高めたモデルでした。しかし惜しまれつつ、2002年に生産が終了。その後しばらく、4代目はモータースポーツシーンで活躍しましたが、2006年には参戦していたスーパーGTも卒業。その後、スープラというブランドは、休眠状態になっていました。

■新型スープラの走りはとても軽やか!

4代目スープラの生産終了から16年後の2018年3月。ジュネーブモーターショー2018において、新型スープラのレーシングカー・コンセプトがお披露目されました。

会場で話をうかがったのは、新型の開発責任者を務められるトヨタ自動車の多田哲哉さん。多田さんによると、「BMWと共同開発することで、トヨタにはそれまでなかった、別のクルマ作りの方法があることに気づいた」といいます。

また、トヨタとBMWのクルマ作りの違いに関しては、「製作期間、開発に投じる予算、立ち位置、最初のアプローチなど、すべてが違う」との回答が。例えば、クルマ作りの手順に関して、BMWは最初のステップにおける作業が非常に細かく、「その分“ムダなこと”も多いので、結果的に完成したクルマの精度が高くなる」のだそうです。

それから9カ月後の2018年12月、私はようやく、新型スープラのプロトタイプをドライブする機会に恵まれました。といっても試乗車は、細かいエクステリアデザインが分からぬよう、カモフラージュカラーをまとっていて、インテリアはまだ完成形ではないとのことで、各部に黒い布が掛けられたクルマでした。

袖ヶ浦フォレストレースウェイでドライブしたプロトタイプの走りは、ひと言でいうと軽やか。特に、コーナーでハンドルを切り込んだ瞬間、面白いくらいスムーズに曲がり込んでいくのが印象的でした。また、時にさり気なく、時に大胆に、横滑り防止装置の“VSC”が介入してくれるので、雨の中でも安心してドライブできました。

実は、プロトタイプを試乗した当日、デトロイトモーターショー2019での正式発表に先駆け、スッピンの新型スープラをチェックすることができました。

中央部が凹んだ“ダブルバブルルーフ”や、変形ティアドロップ型のヘッドライトなど、エクステリアは想像していた以上に存在感の強いものでした。またインテリアは、シリンダー風のタコメーターのデザインが、とても印象的でした。

■“スープラ愛”にあふれるトヨタの友山副社長、熱く語る!

デトロイトモーターショー2019に先立って開催された東京オートサロン2019では、2020年シーズンからスーパーGTに参戦する「スープラ スーパーGTコンセプト」がお披露目されました。そのプレゼンテーションにおいて、トヨタ自動車の執行役員副社長で、GAZOO Racing(ガズー・レーシング)カンパニーのプレジデントも兼務する友山茂樹さんは、豊田章男社長とマスタードライバーを務められていた故・成瀬 弘さんとのエピソードを披露。「スープラの復活は、トヨタにとってまさに悲願だった」と振り返りました。

そんな友山さんは、今も先代の80型スープラを所有。そんな“スープラ愛”の深い友山さんに、新型スープラとGAZOO Racingに関するお話をうかがいました。

――友山さんがリーダーを務められているGAZOO Racingとは、どのような組織ですか?

友山さん:長年、トヨタが築き上げてきた壁をぶち壊すための、“挑戦の狼煙(のろし)”でしょうか。それは私自身にとっても、自らの壁を乗り越えるという挑戦につながっています。

これまでのトヨタでは、本当にワクワクするクルマを作りたい、また、人の心を熱くするレースをやって見せたい、と思っても、「あれがないからできない」とか「それは許されないから不可能」という意見が出て、あきらめざるを得ないケースが多々ありました。その点、GAZOO Racingでは、できる、できないという議論をする前に、「今、我々ができることからやってしまおう」と、目の前の壁をひとつずつ壊していくんです。その先には必ず、新しいトヨタ、新しい自分たちを発見できると信じています。

――友山さんにとって、スープラとはどのような存在ですか?

友山さん:ひと言でいうなら“愛馬”ですね。私は1997年式の80型スープラに乗り続けてきましたが、今となっては、心を通わせることのできる、かけがえのない存在です。もちろん当時は、GAZOO Racingカンパニーなんて組織は存在しませんでしたし、IT担当だった私が、モータースポーツやスポーツモデルの開発を担うようになるとは、考えたこともありませんでした。きっと、スープラがGAZOO Racingと私とを結びつけてくれたのだと思うのです。おかげで大変ですが、充実した毎日を過ごせています。もはやコイツ(=友山さんの愛車である80スープラ)といっしょに、棺桶に入るしかないと覚悟しています(苦笑)。

そういうこともあり、新しいスープラは、自分のスープラの子どもみたいな存在だと感じています。80スープラというお母さんから、マッシブで強そうな男の子が生まれた、みたいな…感じでしょうか。大事に育てていきたいと思っています。

新型スープラの発表に際し、我々は「Supra is Back」というコピーを使いましたが、そこには、トヨタがバブル崩壊やリーマンショックを経て失ったものを、このクルマで取り戻す、という意味合いも込めています。近未来の自動車トレンドを示す“CASE(コネクティビティ[接続性]、オートノマス[自動運転]、シェアード[共有]、エレクトリック[電動化]の頭文字)”や、クルマを所有せず、使いたい時だけ料金を支払って利用する“MaaS(Mobility as a Service)”ばかりが注目を集める今だからこそ、意味のあるキャッチフレーズだと思っています。

――新型スープラは、17年ぶりの復活はもちろんですが、正式名称がスープラから「GRスープラ」に変更されることでも注目を集めています。GRとはもちろん、GAZOO Racingの頭文字ですが、なぜ新型はこのようなネーミングになったのでしょうか?

友山さん:それは新型スープラが、GAZOO Racingカンパニーがプロデュースした最初のスポーツ専用車だからです。ご存じの方も多いと思いますが、2007年、ドイツ・ニュルブルクリンク24時間耐久レースに初参戦したGAZOO Racingは、モータースポーツを通じて人とクルマを鍛えながら、“もっといいクルマづくり”に取り組んできました。そんなGAZOO Racingが蓄積してきた知見やノウハウを元に、トヨタはこれまで、「マークX」や「ヴィッツ」、「86」などに、走りを楽しめるGRブランドのスポーツグレードを展開。いずれも、すでに市販されているモデルをカスタマイズしたクルマで、チューニングの度合いによって、GRスポーツ、GR、GRMNと呼んできました。

それに対して、本格的なスポーツカーを世に送り出すためには、プラットフォームからGAZOO Racingが手掛けるべきだ、との思いが我々の中にはありました。そして、それが具現した最初のモデルが、新しいGRスープラなのです。今後も引き続き、車名の頭にGRのついたスポーツ専用車を出していきたいと考えています。

――なるほど。ではGRは、今後、どのような存在になるのでしょうか? メルセデス・ベンツにとってのAMGや、BMWにとってのMのように、トヨタのスポーツカーに冠せられるサブブランドになるのでしょうか?

友山さん:そのような質問をよく受けるのですが、GRの目指すところは、ちょっと違うとことにあると考えています。元々GAZOO Racing自体、発足した時には将来のビジョンやブランド戦略などといった、おこがましいものはありませんでした。正直、社内から“歓迎されない存在”でしたから、生き残るために必死でしたので(苦笑)。

GAZOO Racingはこれからも、トヨタの変革に向けた挑戦や、クルマのコモディティ化に対する挑戦、さらには、若者のクルマ離れに対する挑戦の狼煙であり続けたいと考えています。そのためには、今やれることをどんどんやっていき、そういう中から、お客さまとの共感を生み出していきたいと考えています。GAZOO Racingにとってビジョンとか戦略というものは、後からついてくるものなんです。

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単なる復活という枠を超え、さまざまな挑戦に対する狼煙となりそうな5代目のスープラ。発売は2019年の夏前にスタートとウワサされていますが、それ以降もスープラから目が離せそうにありません!

(文/吉田由美 写真/吉田由美、&GP編集部、TOYOTA GAZOO Racing)

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