【アウディA7スポーツバック試乗】走りもデザインも使い勝手も、全方位的に“ハンサム”!
&GP / 2015年12月9日 18時0分
【アウディA7スポーツバック試乗】走りもデザインも使い勝手も、全方位的に“ハンサム”!
価格や性能の高低など関係なく、路上で見かけると「きっとオーナーはクルマ好きなんだろうな」と思わせるモデルがあります。ちょっとマイナーで、でも不人気車というわけではなく、どことなく洒落ていて…。
アウディ「A7スポーツバック」は、そうしたクルマの最右翼でしょう。渋滞で退屈している時、斜め前にA7が停まっていると、ちょっと得した気分にさえなります。
念のために復習すると、A7スポーツバックはアッパーミドルクラスのセダン「A6」から派生した5ドアモデル。アウディはメルセデス・ベンツ「Sクラスクーペ」のようなハイエンドのラグジュアリークーペをラインナップしていないので、A7スポーツバックが、その任に当たります。
日本には、2011年から3リッターV6スーパーチャージャー付きモデルが導入されていましたが、15年の8月から2リッター直4ターボがラインナップに加わりました。3リッターモデル同様、駆動方式はクワトロ=フルタイム4WDです。
価格は716万円と、3リッターモデルと比べて200万円以上もお安い! 参考までに、直接のライバルともいえるメルセデス・ベンツの4ドアクーペ「CLS」の2.2リッターディーゼル「CLS220d」は、765万円です。もっとも、A7スポーツバックを買おうという人は指名買いでしょうから、価格を比べて迷うようなことはないかもしれませんね。
では早速、2リッターターボを搭載したA7スポーツバック2.0TFSIクワトロの試乗といきましょう。
■ターボとギヤボックスの相乗効果で速さは十分
イギリス人はしばしば、カッコいいクルマのことを「ハンサム」と表現しますが、A7スポーツバックは、まさにそれ。マスクの良さに加え、低く、広く、硬質な塊感のあるスタイルが素敵!
ボディサイズが全長4990mm、全幅1910mm、全高1430mmですから、A6を前後左右に少しだけ伸ばして、高さを抑えたカタチになります。その骨格、アルミとスチールを組み合わせた“AUDI Ultra”こと高剛性ボディは、A6譲り。
リファインされたA7は、フロントグリルが六角形になり、前後バンパーの造形もよりスポーティになりました。また、ヘッドランプ下にLEDをズラリと並べ、ウインカーは内側から外へと光が動いて見えるように。それを見た人が思わず「デコトラみたい」と呟いたのはヒミツです。
室内は、黒とシルバーを基調としたスポーティな仕立て。シートやステアリングホイールに使われる革、インパネやドア内張りの樹脂など、素材を超えて“黒の調子”が合わせられているのに感心します。こうした細かい配慮が、アウディならではの“上質感”につながるんですね。
着座位置は低め。流行りのSUVから乗り換えた人は新鮮に感じるかもしれません。軽めのステアリングホイールを握って走り始めると、実にスムーズなドライブフィール。
全長が5mに達しようとするボディを、わずか2リッターの4気筒エンジンで走らせるのですが、アウディ自慢のTFSIユニットはターボの過給を受けて、わずか1600回転で最大トルク37.7kg-mを発生(最高出力は252馬力/5000〜6000回転)。7速のデュアルクラッチ式ギヤボックス=“Sトロニック”が、次々とギヤを変えて好ましいトルクバンドを維持してくれます。
スロットルペダルに軽く足を載せるだけで、2.0TFSIクワトロは十分に速い。大排気量エンジンの余裕も捨てがたいけれど、エコが声高に叫ばれるご時世、2リッターモデルの方が知的に見られるかもしれません。
インテリジェントといえば、流麗なボディスタイルゆえ忘れがちですが、A7のリアはウインドウとともに開くハッチバックです。ラゲッジスペースの容量は、ちょっとしたステーションワゴンなど相手にしない535リッター! さらに、リファインされたA7は、リアシートが2人掛け仕様から3人掛け仕様に変更されています。いざとなれば“5人乗れる4ドアクーペ”になったのです。
「セダンの快適性」「クーペの優雅さ」「ワゴンの実用性」を兼ね備えたと謳われるA7スポーツバック。もはや趣味人の手にだけ委ねておくのは、もったいないかも!?
<SPECIFICATIONS>
☆2.0TFSIクワトロ
ボディサイズ:L4990×W1910×H1430mm
車重:1840kg
駆動方式:4WD
エンジン:1984cc 直列4気筒DOHC ターボ
トランスミッション:7速AT(デュアルクラッチ式)
最高出力:252馬力/5000〜6000回転
最大トルク:37.7kg-m/1600〜4500回転
価格:716万円
(文&写真/ダン・アオキ)
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