Beatsの完全ワイヤレス「Powerbeats Pro」はAirPodsのスポーツ特化ver.だ!【イヤホンレビュー】
&GP / 2019年6月8日 11時0分
Beatsの完全ワイヤレス「Powerbeats Pro」はAirPodsのスポーツ特化ver.だ!【イヤホンレビュー】
完全ワイヤレスに主役級モデルが登場しました! Beats by Dr. Dre、通称“Beats”の「Powerbeats Pro」ブラックモデルが6月に発売されます。
現在、アップル傘下のBeatsは、これまでアップル半純正イヤホンを展開してきましたが、ついに完全ワイヤレスモデルの登場です。お値段は相場より少し高めの2万4800円(税別)。
Beatsブランドを選ぶ最大のメリットは、アップルが独自開発している“H1”チップを使えることにあります。メジャー感で言えば今年3月にリニューアルされた「AirPods」ですが、よりイヤホンライクな完全ワイヤレスなら「Powerbeats Pro」。じっくりレビューしていきましょう。
■ホールド感も操作性も抜群
パッケージはオシャレかつ効率良く付属品が収納されたコンパクトなもの。この時点でもうアップル系デバイスの世界に誘われます。
中には最初から充電ケースに収納された「Powerbeats Pro」と、箱の底にケーブルとイヤーピース。Beatsなので充電はiPhoneと同じくLightningケーブルです。
本体は出荷時から充電ケースの中に入っていて、取り出してiPhoneの横に置くとすぐにペアリング画面を表示。これが「AirPods」と同じくアップル純正“H1”チップでしかできない簡単操作。もう、この画面を表示できるだけでデジタル機器が苦手な人にはイチオシ確定になってしまう、というズルさです。
イヤホンは、耳の前に伸びるような本体に耳に引っ掛けられるフック付きという構造。公式サイトでもワークアウトに向けて進化したと謳われるスポーツ志向。等級はありませんが耐汗/防沫仕様です。重量は実測値で片側10.6gでした。
実際に装着してみると、イヤホン自体も耳にピッタリと収まる上、イヤーフックでさらにガッチリとホールド。全く動く余地がありません。イヤーフックはシリコン素材で柔らかいので、装着時の耳への負担もないし、装着安定性はもうベスト。ただし、装着したり外したりする際にはフックがある分だけ少し手間かも。
イヤーピースは合計4タイプが付属。S/M/Lの3サイズに加え、より耳奥に挿入できる2段になったダブルフランジタイプもあります。音質への影響はのちほど。
操作は、イヤホンの左右にある“b”のマークがボタンで再生/停止と着信、さらに2回押しで早送り、3回押しで早戻し。長押しでSiriを呼び出せます。音量はイヤホン上部に独立した音量+/-ボタンを搭載。イヤホン左右どちらでも全く同じ操作ができるので扱いやすいですね。
そして、これらのボタンすら使わなくてもいいよ、というのが「Powerbeats Pro」の提案です。アップル純正“H1”チップの特徴として、“Hey Siri”と呟くだけでSiriを呼び出せます。あとはもうSiriの機能の世界ですが、天気予報くらなら音声でも聴けるし、iTunesで購入/転送した曲、AppleMusicを契約していれば、配信も選曲可能。もっとシンプルに“スキップ” “曲戻し”のように声をかけての操作もできます。ボタンを押す必要がないので、ランニング中などの操作は“Hey Siri”がメイン、という割り切りも可能です。
それ以外にもイヤホンを外すと自動で音楽再生が停止し、装着すると再開するのも実に便利。
付属の充電ケースはサイズ約80mm×80mm×40mm、重量は実測値で108.8gと大きく重めですが、フック付きのイヤホンをそのまま収納すると考えると仕方ないのかも。バッテリー充電はiPhoneと同じLightningケーブルです。
イヤホン本体のみでバッテリー駆動は9時間と完全ワイヤレスとしてトップクラスのバッテリーの持ちに、Fast Fuelにより5分充電で最大1時間半駆動、15分充電で最大4時間半と機動力もなかなかです。
■オールラウンドな音質
では気になる音質もチェックしてみます。
僕がリファレンスにしている宇多田ヒカル『あなた』を聴くと、予想以上にナチュラルな情報量とサウンドフィールドを出すバランス型。歌声は音のなかで存在感を発揮しているし、楽器の音は空間の広がりを出してくれます。低音も十分出ますが、リッチなタイプではなく適度な量感。BrunoMarsの『24K Magic』を聴いても、低音のリズムを鋭く刻みつつ音楽的の空間を展開していきます。従来のBeatsのイメージより、かなりのオールラウンダーです。イヤーピースを“ダブルフランジ”に交換すると、中高域が鮮やかになるので、好みに応じて交換しましょう。
iPhoneと組み合わせて1週間ちょっとの間、電車の中で使ったり外出時にも使ってみたりしましたが、遮音性については“ほどほど”でしょう。「AirPods」のように音漏れすることはありませんが、音量を小さめにすると電車の走行音やアナウンスも聞こえます。装着してランニングすると小音量でリズムをしっかり聴きつつ、外の音も適度に聴こえる程度。
接続性安定性は新宿駅南口の改札前で一瞬だけ片側が音切れしましたが、かなりの安定感を誇ります。
「Powerbeats Pro」、さすがBeatsブランドのイヤホンです。スポーツ志向の装着感も、“H1”チップの操作性も、音質も、すべて一般的な完全ワイヤレスイヤホンより一段上。ただし、2万4800円(税別)という価格も最近の相場から考えると、高級機と呼ぶべきかもしれません。
アップル純正の「AirPods」は日常使いのカジュアル方向に振り切ったイヤホンでしたが、「Powerbeats Pro」はスタンダードを通り越してスポーツに振り切ったキャラ付け。iPhoneユーザーなら確実に選ぶ価値のあるイヤホンです。
>> Beats by Dr. Dre「Powerbeats Pro」
(取材・文/折原一也)
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