ロード電動アシスト自転車「YPJ-R」はド素人にも乗りこなせるか?
&GP / 2016年1月13日 18時0分
ロード電動アシスト自転車「YPJ-R」はド素人にも乗りこなせるか?
日々忙しく生活するなか、まともな運動もできないという方も多いだろう。そんな中、筆者の周りに多いのが、自転車を趣味とするスポーツマンだ。
週末毎に100km近く走り、体型を維持している方から、都内の移動はすべて自転車で行っているというついでに運動派、そして関東近県の移動はすべて自転車で登り坂があると嬉しくなるという本物のロード乗りまで様々だ。
しかし、いきなりそのスタイルで自転車に乗れるとも思えず、とはいえ、電動アシストママチャリでは運動にならない。そんなときに登場したのが、ヤマハの電動アシストロードバイク「YSJ-R」だ。
これなら本格的な自転車デビューと同時に、電動によるサポートも受けられるのでは?と考え、実際に乗ってみることにした。ロードバイクに詳しくない、ド素人目線で「YPJ-R」を試してみよう。
■電源オフでもペダルが軽いことに驚き!
ヤマハはいわゆるママチャリの電動アシスト自転車を多数ラインナップしている。しかし、「YPJ-R」はフレームやモーターも新規に設計されており、それらとは全く異なるラインとして登場したモデル。電動アシスト自転車のため、バッテリーとドライブユニットを搭載しているが、それでいて約15kgと軽いのが特徴だ。
クランク合力タイプの「PW」ドライブユニット
小型サイズのリチウムイオンバッテリーを搭載。バッテリー容量は2.4Ah
通常の電動アシスト自転車はチェーンがドライブユニット内を通っており、このため、電源をオフにすると通常の自転車と異なり、非常に重くなる。しかし、「YPJ-R」では通常のロードバイクと同様のクランクを採用。そこにアシストが加わる仕組みのため、電源オフでも負荷がからなくなっている。
つまり、普段ドライブユニットをオフにし、上り坂にさしかかったときやツーリングの帰り道だけ電動アシストを利用するといった使い分けができるのだ。
変速機にはシマノの「105」を搭載。22段変速で、詳しい方に言わせると、20~30万円でロードバイクを組む時に使うミドルクラスの変速機だという。「YPJ-R」のメーカー希望小売価格が24万8000円であることを考えると、価格帯とマッチする変速機だといえるだろう。
「YPJ-R」はフレームとタイヤのサイズで、MサイズとXSサイズを用意。160cm台後半の筆者でMサイズがぎりぎりという印象だったので、女性や小柄な方は、XSサイズの方が乗りやすそうだ。
液晶マルチファンクションディスプレイとスイッチユニットを標準搭載。バッテリー残量や走行スピード、距離などを表示することができる
その他、ロードバイクとしては当然かもしれないが折りたたみスタンドなどは装備しておらず、また、泥よけなど一般的な自転車の装備もない。このあたりは一般的なロードバイクの装備に準拠する。
変速機として「SIMANO 105」を搭載。初めてのロードバイクとしては十分過ぎる装備
ロード乗りも納得のクオリティ
早速、「YSJ-R」に乗ってレビューをと思ったが、そもそも著者はロード乗りではないので、その善し悪しがわからない。そこで、知人のS氏にロード乗り視点でチェックしてもらった。S氏はほぼ毎週末横浜から江ノ島まで往復約80kmのツーリングを行う、ロード乗り。本人曰く、現在はまったり派になったが昔はレースには出ないまでもガチで乗っていた」という。
横浜から東京郊外まで「YSJ-R」に乗るため自転車で走ってきてくれたS氏。電動ロードの実力をチェックするため、アップダウンの激しい多摩丘陵地帯を走り回ってくれた
「YPJ-R」の電動アシストも当然、一般的な電動アシスト自転車と同じく、最大時速24kmまでのアシストとなっている。このため、重めのギアでしっかりと踏み込むと、時速20km前後での巡航となるので、平地ではほとんどアシストは発生しない。特に、スタンダードモードやエコモードに設定している場合、アシストを感じるのは、走り出し時ぐらいだった。
しかし、S氏は「坂道に入るとすっとアシストが入り、押してくれるのがわかる」と語る。その結果、軽い登りだったらそれまでの平地それほど変わらない感覚で走り続けられるという。
郊外ツーリングなどでは上り坂でトラックに煽られるて怖い思いをすることも多いとか。アシストがあると上り坂を安全に上れるのがいいという
また、走り出し時のサポートがあることで、登りで止まってしまったときなどでも安全に走り出せること、また、ツーリングコースを考えるときに高低差をあまり気にしくなくてもよくなることが、電動ロードバイク「YPJ-R」のメリットだという。「今乗っている普通のロードだと、頑張って平塚が目的地だったが、『YPJ-R』なら小田原まで行っちゃおうかなと思えるね」(S氏)
2週間ほど街乗りに「YPJ-R」を使ってみた!
じつは筆者は同じヤマハの電動アシスト自転車「PAS」を普段使っている。天気がいい日は自宅から最寄り駅の隣にある、ターミナル駅まで自転車で片道約5kmほどを自転車で通っている。昔は、アシストのない自転車を使っていたのだが、丘陵地帯にありがちなアップダウンの連続に耐えられず、電動アシスト自転車を導入していた。
普段乗っているPASナチュラLとYPJ-Rを並べてみた。重さは10kgほど違い、平地スタンダードモードでの巡航でも時速15km前後と時速20km超と、その速度差は明らか
その行き帰りを2週間ほど「YPJ-R」で行った。まず、そもそもロードバイクに慣れていないため、前屈の強いこの姿勢に慣れるのに若干時間がかかった。下り坂の多い、往路はあえて電動アシストをオフにして走行。「PAS」のように特別に重くなることもなく、通常のロードバイクのように走ることができる。
軽い登りなら脚力とギアチェンジだけで問題ないが、エコモードでも電動アシストを有効にしていると、適度に押してもらえる感覚が得られ、よりスムーズに走ることができた。
軽めのギアで回転(ケイデンス)を高めながら走っていると、ほとんどアシストなしで走れ、上り坂などにさしかかり、速度が低下すると自然にアシストが効いてくる。電動アシストによる登り補助はスポーツ走行を想定している場合でも、非常に快適だった。
ロードバイクによるスポーツ走行を有酸素運動としてを考えたとき、上り坂は負荷が高すぎるとも言える。平地はしっかりと自分の力で走行し、上り坂だけ電動でアシストすることは心拍数を上げすぎないということからも有効だと言えそうだ。
さらに、面白いのが「YPJ-R」のバッテリーは約1時間で急速充電が可能。充電器も軽く小さいので、一緒に持ち出すことができるのだ。このため、ツーリング先の休憩地でバッテリーを充電するといったこともできる。また、バッテリーに装着するUSBアダプターも用意されており、スマートフォンなどを充電することもできる。
最初は姿勢に慣れず、スピードが怖かったが、2回、3回と乗るにつれて乗りやすくなってきた。慣れてくるとペダルの重さを調整して、負荷をかけるようなこともできるように
2週間ほどの短い期間で、トータル2~30kmの走行距離だったが、「YPJ-R」を楽しむことができた。春先などの暖かい季節には、ロングツーリングもしてみたくなった。
価格も本格的なロードバイクを買うことを考えたら、決して高いとはいえない(24万8400円)。昔、ロードに乗っていたというリターンの方々や、いきなりロードバイクを本格的に乗り回す自身がないという方には選択肢になりそうだ。
(文/コヤマタカヒロ)
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