自動運転に一歩近づいた!手放し運転も上手にこなす日産「スカイライン」驚きの完成度

&GP / 2019年10月21日 19時0分

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自動運転に一歩近づいた!手放し運転も上手にこなす日産「スカイライン」驚きの完成度

2015年以降、「やっちゃえ日産」、「ぶっちぎれ技術の日産」などと、なかなか攻めたコーポレートメッセージを展開してきた日産自動車。

最新のコピーは「技術の日産が、人生を面白くする。」と、少々控えめな内容ですが、2019年7月にマイナーチェンジを受けた新型「スカイライン」のWebカタログを開くと、「これが、未来だ。」と、何やら強い自信を感じさせるキャッチコピーが掲げられています。

そんな新型スカイラインの一番の注目は、一定の条件下でのハンズオフドライブ(ステアリングから手を離しての運転)を可能とした“プロパイロット2.0”の搭載。果たして、どれほど“未来のクルマ”なのか、そして、熱心なファンも納得できる内容に仕上がっているのか、テストドライブへと出掛けてみました。

■話題のプロパイロット2.0はハイブリッド仕様だけの特権

13代目に当たる現行のV37型スカイラインが誕生したのは、2013年11月のこと。それから約6年が経った2019年7月、大規模なマイナーチェンジが実施されました。

今回のマイナーチェンジにおける注目点は、大きくふたつ。ひとつ目は、ハイブリッドモデルに採用された最新のADAS(先進運転支援システム)であるプロパイロット2.0。もうひとつは、非ハイブリッドモデルの心臓部が、メルセデス・ベンツ製の2リッター直4ターボから、日産自動車製のV型6気筒ツインターボエンジンへと変更されたことでしょう。そのうち今回は、前者のハイブリッドモデルについてご紹介します。

ハンズオフドライブを可能としたプロパイロット2.0の搭載で話題のスカイラインですが、これは現在のところ、スカイラインのハイブリッド仕様だけに搭載される先進運転支援技術。とはいえ、オプション設定や非装着グレードがあるわけではなく、ハイブリッドの全グレードに標準装備となっています。

そんなハイブリッド仕様のグレード構成は、以下の通り。

◎2WD(FR)
GT(557万万5900円)
GT Type P(581万6800円)
GT Type SP(616万円)

◎4WD
GT(586万800円)
GT Type P(610万1700円)
GT Type SP(644万4900円)

パワーユニットは、最高出力306馬力を発生する排気量3498ccのV型6気筒DOHC“VQ35HR”型ユニットに、最高出力68馬力の“HM34”型モーターを組み合わせ、システム最高出力は364馬力を発生します。モーターは7速ATとの一体になっていて、前後にふたつ備わるクラッチが、走行状態によってモーターとエンジンとを適宜、断続する仕組みとなっています。

6グレードが展開されるハイブリッド仕様ですが、メカニズム的には2WDと4WDのみの違いしかなく、価格差はレザーシートやスポーツバンパー、タイヤサイズといった内外装における装備の違いとなります。最上位グレードのGT Type SPには、ヒーター付きレザーシートを始めとする快適装備はもちろん、アルミペダルやシフトパドル、19インチホイールといった、スポーティドライブをサポートする装備や演出もスキなしの状態です。

ADASについては、歩行者検知機能付きの“インテリジェントエマージェンシーブレーキ”を始め、前方衝突予測警報、後側方衝突防止支援システムなどが全グレードに標準装備。こうした高度な安全装備、そして、プロパイロッド2.0を運用すべく、車両周辺360度を最新のセンサーでセンシングしていますが、そのために、フロントレーダーを始め5個のレーダー、7つのカメラ、12個のソナーがハイブリッド仕様には備わっています。

またナビゲーションシステムも、通信によって地図更新が自動で行える仕様に進化するなど、車載通信機を通じて各種サービスを可能とした、新しい“Nissan Connectサービス”に対応(別途、有料の年間契約が必要)。

世界に目を向ければ、走行メカニズムについても、ADASについても、さらに先を行くクルマがありますが、こうしてスペックを改めてチェックしてみると、新型スカイラインは日本の量産車として、走りと先進装備を最も高いレベルで両立した才色兼備、文武両道なモデルに仕上がっていることが分かるのではないでしょうか。

■プロパイロット2.0で手放し運転を体験するための手順とは?

さて、高速道路でのハンズオフドライブを実現したプロパイロット2.0ですが、「実際に使ってみるとどうなの?」という人も多いことでしょう。そもそも、どのような条件がそろえば使用できるのでしょうか。

基本的には、3D高精度地図データ、つまり、ルート情報だけでなく、高速道路の路面傾斜やラインの色といった道路情報が、センチメートルレベルの緻密さでデータ化された道路上であることが必須条件となります。

関東地方では首都高速、関西地方では阪神高速も含め、国内の主要な高速道路・都市高速に対応していますが、制限速度が60km/h未満の区間や、トンネル内などGPSを受信できない場所、対向車線と分離されていない場所、料金所やSA/PA付近においては、機能が制限されます。

また、ワイパーが低速以上で作動している場合や、ドライバーモニターでドライバーが前方を見ていないことを検知した場合も、機能が制限される仕組みになっています。

このように書くと、「実際に使える区間は少ないのでは?」と思われるかもしれませんが、現在のところは、オーナーの居住する地域や使い方による、というのが正直なところかもしれません。

では、実際に使うには、どのようなステップが必要なのでしょう。まずは、ナビゲーションシステムで目的地を設定し、高速道路の本線に合流するとナビ連動ルート走行がスタートします。操作は従来のプロパイロットと同様、ステアリングに備わる青いマークのスイッチを押してスタンバイ。車速をセットすると、各種センサーが車両周辺の状況を確認し、ドライバーアシストが開始されます。

ここからハンズオフドライブへ移るに当たって、ドライバーが何か特別な操作を行う必要はありません。メーター(とヘッドアップディスプレイ)に表示されるアイコンがグリーンであれば、ステアリング操作や追従走行を含んだ一般的な運転支援をクルマ側が行い、アイコンの色がブルーに変われば、同一車線内でのハンズオフドライブが可能な状態となります。

また、ナビ連動制御によってハンズオフドライブを実現したプロパイロット2.0ならではの注目すべき機能が、車線変更の自動化です。例えば、前走車の速度が遅い場合、クルマ側からディスプレイを通じて「追い越しをしますか」と提案され、それをドライバーがステアリングのスイッチを押して承認すれば、ウインカーが点灯し、ステアリングが自動的に操作され、車線を変更して追い越しを行います。

同様に、高速道路での分岐や、インターチェンジの出口が近づいた際も、ディスプレイ上に提案が表示されるので、スイッチ操作で承認すれば、出口付近でウインカーが自動的に点滅して出口車線へと移ります。

しかし、車線変更や出口車線への移動時は手放し不可となっており、ステアリングに手を添えておく必要があります。さらに、メーター内の表示がグリーンの際、つまり、ハンズオン状態でもウインカー操作を行うことで、クルマが周囲の安全を確認して車線変更を行います。

つまりプロパイロット2.0は、クルマが周囲の状況をチェックし、追い越しや合流などの必要があれば、細かな提案がクルマ側からなされ、ドライバーがそれを承認する、承認しないに合わせて、クルマが運転操作をサポートしてくれる仕組みです。とはいえ、何らかの操作が必要な場合は、ステアリングに手を触れておく必要があるため、短距離の高速ドライブや合流や分岐が頻繁なエリアでは、むしろハンズオフ中の手の置き所に困る…というのが正直なところかもしれません。

しかし、システム作動中の加減速やステアリング操作といった制御はとても細やかで、かつ自然。追い越しや減速時のアクセル操作、カーブでのライントレース性も申し分なく、ハンズオフドライブ中であっても、同乗者がそれと気づくことはないのでは? という驚きの仕上がりとなっています。

高い完成度を実現しているプロパイロット2.0ですが、気になる部分は皆無か? といわれれば、まだまだ発展途上といわざると得ないシーンも少なからずあります。

例えば、クルマ側からの提案(文字情報)をメーター内のディスプレイで確認する必要があること、また、マップ情報や標識認識機能によって出口や分岐で最高速度が制限された場合の減速が、少々急激であることなどは、バージョンアップを望みたい部分ではあります。

もちろん、前者については、オーナーの慣れやソフトウェアアップデートでも対応可能かと思われますから、例えば、オーナーの習熟度に合わせ、メーター内に表示される文字情報を簡略化できる設定なども、今後は必要になるのかもしれません。また、出口や分岐での減速については、後続車を驚かせないためにも、減速区間を少々長めに取るなどの対応が必要かもしれません。とはいえ、都市部から地方への帰省や旅行など、高速道路を長時間走る機会が多い人にとっては、プロパイロット2.0は十分実用的なメカニズムですし、運転中のストレスや疲労感が大きく軽減されるのも事実でしょう。

■走りもしっかり磨いてスカイラインらしさが濃密に

さて、プロパイロット2.0が話題の中心になりがちですが、スカイラインといえばその走りも気になるところ。ピュアにドライビングの楽しさを追求するなら「新たに加わったV6ターボでしょう!」といいたいところですが、さにあらず。

従来モデルでは、荒れた路面などで、ややザラザラとして乗り味を、シートを通じて感じることがありましたが、新型ではそうした振動や雑音がしっかり抑えられ、乗り味もグッと上質になりました。さらに、電気モーターを備えるハイブリッド車とはいえ、アクセルを大きく踏み込んだ時の澄んだV6サウンドは、“RB”シリーズを始めとするかつての直6エンジンもかくや、という、なかなかの快音。今日はしっかり走りを楽しみたい、というような時も、フィーリング、サウンドとも十分に期待に応えてくれます。

プロパイロット2.0の採用もあり「これが、未来だ。」と主張する新型スカイラインですが、ドライバー自らがステアリングを握っても、存分に楽しめるクルマであるのは間違いありません。高らかな宣言こそありませんが、自らの血統や歴史を忘れたわけではなさそうです。古くからのスカイラインファンの皆さんも、どうぞご安心を。

<SPECIFICATIONS>
☆GT Type SP(ハイブリッド)
ボディサイズ:L4810×W1820×H1440mm
車重:1840kg
駆動方式:FR
エンジン:3498cc V型6気筒 DOHC + モーター
トランスミッション:7速AT
エンジン最高出力:306馬力/6800回転
エンジン最大トルク:35.7kgf-m/5000回転
モーター最高出力:68馬力
モーター最大トルク:29.6kgf-m
価格:616万円

(文&写真/村田尚之)

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