焚き火の隠れた楽しみ!フェザースティックの作り方
&GP / 2019年10月25日 20時0分
焚き火の隠れた楽しみ!フェザースティックの作り方
<不自由を自由にする野営スタイル>
「不自由は自由だ!」をモットーに、不便がいっぱいな自然の中でいかに快適に過ごせるかを考え、キャンプをしているRYUです。
さて、皆さんは焚き火の際の着火はどのようなものを使用していますか? 現在はさまざまな着火剤があり、マッチ1本、ライターワンプッシュで太い薪にも簡単に火が付くものも存在します。しかし、そこに落ちている枝や、キャンプ場で手に入る薪だけで着火をしてみませんか? その際に役立つのが「フェザースティック」です。
後述しますが、フェザースティックとは、その名の通り、枝を削って先端を羽毛のようにしたもので、焚き火の火口(ほくち)などに使用。作り方と着火方法を覚えれば、焚き火の楽しみが一層広がりますよ!
今回はそんなフェザースティックの作り方と、火の付け方を紹介します。
■そもそもフェザースティックとは?
まず初めに、フェザースティックとは何かを簡単に説明します。
簡単に言うと、火が付きやすいように、ナイフで木を鳥の羽のように薄く削り、毛羽立たせたものです。
フェザースティックを使用するシーンは、大きく分けて2つ。
1つは、着火の火口として使用する場合。フェザースティックに直接、マッチやファイヤースチール(マグネシウムを擦って火花を散らせて着火する方法で、水に濡れても使用できる)などで火を付けます。もう1つは、火口(最初に着火させるために用いる燃えやすい燃料)から火を育てていく場合に使用することです。例えば、麻紐をほぐしたものやチャークロス、白樺、ダケカンバの樹皮、ファッドウッド等に火を付けてから、フェザースティックに火を移し、火を育てていくときに使用する。ちなみに、チャークロスについての記事はこちら。
つまり、フェザースティックを作れれば、着火剤を使用することなく、購入した薪だけで着火ができてしまうわけです。ただし、火口として使用するには薪がちゃんと乾燥していること、そして、かなり薄くフェザー(羽根)のように削る技術が必要です。
■フェザースティックの作り方
フェザースティックはもちろん焚き火をする前に作るものですが、1本作るのに、慣れた人で2〜3分、初心者なら5〜10分くらい。1回に使うのは多くても4本程度なので、完成までには30分程度はかかります。この時間も焚き火の楽しみのひとつだと考えれば、ちょっとぐらい疲れても平気(な気分)です。
フェザースティック作りに必要なのは、刃渡り8〜15cmで刃厚4〜6mm程度のナイフと革製のグローブ(なければ軍手でもOK)です。着火にはファイヤースチール、火口にはファッドウッドや麻紐などかがあるといいでしょう。
1.フェザースティックに適した薪を選ぶ
薪には、大別すると針葉樹(スギやマツなどの葉っぱがとがっている樹木)と広葉樹(ナラやクヌギなどの葉っぱが平べったい樹木)があります。フェザースティックに適している薪は、針葉樹です。理由は、削りやすく、燃えやすいためです。広葉樹は一度火が付けば長持ちするという長所がありますが、火着きが悪く、硬いため、フェザースティックには向きません。フェザーを用いて、ある程度、火が大きくなってから広葉樹を投入すると良いでしょう。
2.燃えやすく作りやすい太さに薪を割る
簡単に言うと、指2本分くらいの太さにバトニング(薪の上部にナイフを置いて違う薪でナイフの背を叩いて割る方法)で割りましょう。太すぎても燃えにくいですし、細すぎると、フェザーがたくさん作れません。このくらいの太さが丁度良いです。
3.削る方向を確認する
薪には方向があります。木が生えていた時に上になっている方向に向かって削るとうまく削れます。ここ、ポイントです。
でも、薪になってしまった木の方向ってわかるのか? はい、簡単ではありませんが、分かります。木には年輪があって、その年輪が木の上に行くほど細くなっているのです。キャンプ場とかで販売している薪で針葉樹は杉が多いのですが、その年輪を見てみてください。ただし、薪によっては、とても分かりにくい年輪もありますので、その場合は両方、少し削ってみてください。木の下に向かって削ると、削った部分がカールせずに割れてしまったり、またはササクレのようになったりしてしまいます。
4.削り方1…厚くてもいいので、なるべく長く削る
まずはナイフの根本で削ります。
初めの方は、厚くてもよいので、なるべく長く削っていきましょう。可能であれば、15~20㎝位を目指しましょう。写真のように、最後まで刃を入れずに、少し手前で止めます。そうすることで、薪にフェザーが残った状態になります。ただし、削り落としてしまっても、あとで使えますので、気にしないでください。
5.削り方2…短くてもいいので、なるべく薄く削る
ある程度厚くて長いフェザーを作ったら、今度は、なるべく薄く削るようにしましょう。このときは、長さは5~10㎝位を目指しましょう、長ければ長いほど良いのですが、難しいですので、長さより、薄く削ることを目指しましょう。
ちなみに、ナイフの先端から、根元に向かって、スライドしていくように削ると、とても薄くて、カールしたフェザーができますよ! このカールした部分が火をキャッチしやすくさせます。
6.1本に厚いフェザーと薄いフェザーを混在させる
4と5を繰り返していきます。1本のフェザースティックの中に、厚くて長いフェザーと薄くカールしたフェザーを混ぜていくのです。そうすることによって、薄い部分は火をキャッチしやすいところ、長い部分はその火をさらに育てていくところ、となっていくわけです。
ある程度繰り返して作ったら、火口となる部分の仕上げを行います。これは、5のやり方で削ってください。上の写真のフェザーもくるくるカールしているものと、そうでない部分があるの、分かりますか?
■フェザースティックへの「着火」方法
フェザースティックが完成したら、あとは、着火です。私は、状況にもよりますが、最低2本、多くても4本フェザースティックを作って着火します。多い方が、失敗はありませんが、たくさん作るのは疲れます(笑)
一番うまくできたと思うフェザーに直接着火(マッチやライターでも、可能であればファイヤースチールで)する方法でも良いですし、ファットウッドや、麻紐などの火口に火を付けてから、フェザースティックに火を付けても良いです。
とにかく、上写真のように1本に火がついたら、残りのフェザースティックを追加して、火を育てていきましょう!
この時に気を付けることは、焦らないことです。そして、火は上に登っていきますので、フェザースティックを足す場合は上に足してください。作ったフェザースティックを足し終わったら、細く割った薪(指1本分から2本分くらいの太さ)や枝を追加して火を育てましょう。いきなり太い薪はくれぐれも足さないようにしてください。
* * *
お分かりいただけましたでしょうか? 初めは、ササクレみたいなやつしか作れないかもしれません。でも練習をすれば、誰でも作れるようになりますよ。あくまで、力ではありません。上述した方法と、あとは、刃をしっかりと固定して、同じ厚さに削れるように、練習あるのみです!
>> 連載
(文・写真/RYU)
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