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オーナーさえ知らなかった新事実!マツダのSUVはオフロードにも強いんです

&GP / 2020年2月11日 19時0分

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オーナーさえ知らなかった新事実!マツダのSUVはオフロードにも強いんです

筆者はマツダ「CX-5」のオーナーだが、正直いって、マツダのSUVがオフロードに強いなんてイメージは微塵も持っていない。いや、正確にいえば、つい先日までは持っていなかった。

確かにマツダの4WDシステムは、アイデアに満ちたセンシング技術で制御されているし、それが雪道でトラクションを高め、ドライバーを助けてくれることも雪上試乗などを通じて知っている。しかし「オフロードは決して得意ではない」と、(勝手に)思い込んでいた。

■現行CX-5から悪路走破性の向上に取り組んできた

そもそも、そうしたイメージを構築してきたのは、マツダ自身にほかならない。マツダのSUVは、各モデルとも美しいデザインをまとっているし、テレビCMを始めとするプロモーション活動やカタログに使われる写真なども、エレガントで都会的な演出だ。そこに、タフさを感じさせる要素は微塵もない。つまり、マツダはこの10年近く、戦略的に“ドロ抜き”をしてきたのだ。

しかしここへ来て、そんな戦略に少し変化が生じたらしい。「たまにはウチのSUVでオフロードを走ってみませんか?」と、マツダのSUVで悪路走行を体験できるイベントを開催したのである。そして、実際にオフロード走行を体験した今だからこそいえるのは、「オフロードは決して得意ではない」という考えは、勝手な思い込みに過ぎなかったということ。まさに、能ある鷹は爪を隠していたのである。

マツダのエンジニアによると、乗用車から派生したSUVは、かつてはオフロード走破性をあまり求められていなかったという。しかし、2010年代の中盤、アメリカなどオフロード環境が身近な地域において、本格的なクロスカントリーモデルとの垣根があいまいになり、SUVにもオフロード性能を求めるニーズが拡大。そこで現行のCX-5から、オンロード性能を維持したまま、オフロードでの走破性アップにも取り組んできたという。これは、CX-5オーナーである筆者も初めて耳にした話である。

■本格オフローダーも顔負けの最低地上高を確保

オフロード性能を左右するファクターとしては、“最低地上高”、“接地性”、“トラクション性能”の3つが挙げられる。

まず、路面と車体のすき間を指す最低地上高は、その数値が大きければ大きいほど車体が地面と接触しにくくなり、必然的に走破性が高まる。その点、マツダのCX-5は、最低地上高が210mmとたっぷりとられているし、3列シートを備える「CX-8」でも200mm、より乗用車に近い「CX-30」でも175mmと、いずれも乗用車から派生したSUVとしては大きめのクリアランスが確保されている。

生粋のオフローダーであるトヨタ「ランドクルーザー」が225mm、ジープ「ラングラー」が200mm、そして、スズキ「ジムニー」が205mmということを考えれば、3台のマツダSUVは十分な最低地上高を確保しているといえるだろう(ただし、マツダのSUVはバンパー形状がオフロード向きではないため、極悪路で接触しやすいのは否めないが…)。

一方、接地性に関しては、さすがに本格オフローダーほどのサスペンションストロークを備えていないものの、マツダの3台も乗用車から派生したSUVとしては、長めのストロークが確保されている。その上マツダのSUVは、電子制御を活用することで、タイヤが路面へと駆動力を伝えるためのトラクション性能も稼いでいる。

ちなみに、悪路でのトラクション性能を高める方法は、従来とは考え方が一変している。かつては、そして、道なき道を走るために開発された本格オフローダーでは、サスペンションのストローク量をとにかく長く確保し、タイヤを路面へとしっかり接地させるよう注力していた。

その上で、デフギヤと呼ばれる、舗装路でタイヤの回転差を吸収してスムーズに走らせるための駆動装置を、あえてロックさせるための“デフロック”機構を搭載。空転しているタイヤがあっても、接地しているタイヤへ駆動トルクを送るように工夫することで、接地輪の駆動力の抜けを防ぎ、前へ前へと進めるようにしていたのだ。

ところが昨今のSUVは、タイヤが地面から浮くのを怖がらない。電子制御を活用し、空転しているタイヤにLSD(リミテッド・スリップ・デフ=デフギヤの作動を制限する仕掛け)代わりとして擬似的にブレーキをかけることで、浮いているタイヤの空転を制止。接地しているタイヤへしっかり駆動力が伝わるようにしているためだ。

今や、乗用車から派生したSUVのジャンルにおいては、低コストかつ、燃費や低速域の旋回性といった日々の使い勝手を一切スポイルしないことから、こうした電子制御を活用したトラクション向上システムが常識に。またここへ来て、本格オフローダーの世界でも採用例が増えている。

実はマツダの最新SUVにも、4WD仕様にはこうした電子制御メカが組み込まれている。“オフロード・トラクション・アシスト”と呼ばれるそれは、4WDシステムとトラクションコントロールを協調制御し、タイヤが路面へ駆動力を伝える力を最大化。悪路での走破性、特に、スタックしそうになった際の脱出をサポートしてくれる効果がある。

ドライバーがスイッチを押すことで起動する同機構は、タイヤがスリップする前から後輪へのトルク配分を最大にし、それと同時に、空転しているタイヤに高いブレーキ圧をかけ、スリップを止める。

と同時に、トラクションコントロール機能がタイヤの空転を検知してもエンジントルクを絞らないようにすることで、万一、スタックしても脱出できるようサポートしてくれるのだ。もちろん、あくまで緊急脱出用のため、速度の上限は35km/h程度。それを超えた場合には、システムは自動的にオフとなる。

■オフロード・トラクション・アシストは転ばぬ先の杖

マツダの最新SUVに採用されるオフロード・トラクション・アシストを実際に悪路で試してみると、その効果は絶大だった。

イベント会場に用意されたモーグル路面は、本格オフローダー向けのものであり、タイヤが路面から大きく浮き上がるなど、起伏の激しいものだった。そんなハードコースにおいて、オフロード・トラクション・アシストをオフにしたCX-8は、予想外に前へと進んでいく。しかし、刻々と変わる路面に足をすくわれ、タイヤが空転してしまうともうお手上げ。とたんに前へと進めなくなってしまうのだ。

そんな時はここぞとばかりに、オフロード・トラクション・アシストのスイッチをオンに。「グイグイ…」とはいかないまでも、「グググ…」と静かに、そして着実に、CX-8は前へと進んでくれる。

もちろん、マツダのSUVを買う人のうち99%以上は、こんな過酷なコースに足を踏み入れることはないだろう。だからといって「こんな機能はいらない!」と決めつけるのは早合点だ。例えば、降雪地域に住む人やウインタースポーツに出掛ける機会の多い人は、滑る路面での発進時やスタックした際などに、オフロード・トラクション・アシストが効果を発揮。また、キャンプなどアウトドアレジャーに出掛けることの多い人は、雨の後のぬかるんだ路面で足下をすくわれても、立ち往生するのを防いでくれる。まさにオフロード・トラクション・アシストは、万一の際にドライバーをサポートしてくれる機構なのだ。

そのスイッチは、“オンロード中心の日常”と“オフロードに特化した制御の非日常”とを切り替えるためのもの、と考えれば分かりやすい。せっかくの機構だけに、オーナーになった人にはぜひ、オフロード・トラクション・アシストの使い方を理解しておくことをお勧めする。

■タフなイメージを訴求し始めた最新のマツダSUV

ちなみに今回のオフロード試乗会では、CX-5、CX-8、そしてCX-30という3台のマツダSUVをドライブした。

まずCX-30で、軽めのオフロードへとコースイン。最適地上高は175mmと、3台の中では最もクリアランスが小さいため、激しい悪路をガンガン走行するのは難しい。それでも、普通の使用シーンではなかなかお目にかかれない、少しぬかるんだ悪路を涼しい顔で走破してみせた。

特に、オフロード・トラクション・アシストをオンにしておくと、滑りやすい急斜面を上る際などに電子制御が介入。時々、「ガガガガッ」とクルマが勝手にブレーキをかけながら、着実に前へと進んでいくのを確認できた。

続いて、CX-8とCX-5で本格的なオフロードコースへ向かう。本格オフローダーを対象にしたコースは傾斜がきつく、路面もかなり荒れている。最初に説明を受けた時は「都会っ子のマツダSUVをここで試すのか?」と、正直、不安に思ったが、そんな予想は見事に裏切られた。2台はノーマルタイヤでも、驚きの走破力を見せてくれたのだ。

マツダのSUVは美しいけれど悪路に弱そう…。そんな心配は全くの杞憂だった。マツダ自身もここへ来て、CX-5に前後アンダーガーニッシュやルーフレールを装着し、アクティブなライフスタイルをサポートするアクセサリーパッケージ“タフスポーツスタイル”を設定するなど、力強くタフなイメージをアピールし始めている。

CX-5 タフスポーツスタイル

それだけに、今後は街中だけでなく流行りのアウトドアシーンにおいても、マツダSUVの姿を見る機会がますます増えそうだ。

(文/工藤貴宏 写真/&GP編集部、マツダ)

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