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史上最強の称号は伊達じゃない!日産「スカイライン400R」は雪上でも本領発揮

&GP / 2020年3月9日 19時0分

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史上最強の称号は伊達じゃない!日産「スカイライン400R」は雪上でも本領発揮

2019年夏、大規模なマイナーチェンジを受けた日産自動車の「スカイライン」。高速道路での手放し運転=ハンズオフドライブを可能とした“プロパイロット2.0”搭載のハイブリッド仕様が話題となる中、クルマ好きを中心に、3リッターV6ガソリンターボを積む“古典的”な仕様にも注目が集まっている。

特に、スポーツドライビング派にとって気になる存在が、405馬力のV6ツインターボエンジンを搭載する新グレード「400R」。今回、そんな高性能ユニットを積むシリーズ最強モデルを、雪上で試す機会を得た。果たしてその実力は?

■400Rがスカイラインで一番の売れ筋となった衝撃

昨今、日本市場では、燃費のいいハイブリッドカーの普及が加速している。そんな中、2019年秋、驚きのニュースが飛び込んできた。ハイブリッド仕様と高出力ガソリンエンジン車がラインナップされている日産のスカイラインにおいて、なんと後者の販売比率が全販売台数の過半数を超え、そればかりか、シリーズ最強のエンジンを搭載する超高性能仕様400Rが、グレード別販売台数でトップに立ったのだ。

これは驚きのニュースであると同時に、開発に携わった技術者にとっても「高性能なガソリンエンジン車がこれほどの人気を得るとは!」と想定外の出来事だったようだ。クルマもエコであることが当たり前の時代となっても、ハイパフォーマンスカーに惹かれるクルマ好きが一定数いるということを、改めて実感させられた。

「スカイラインGT-R」を含む歴代モデルの中で、最もパワフルな“VR30DETT”型エンジンを積む400Rは、文句なしに“史上最強のスカイライン”といっていい。舗装路での走りはパワフルで、暴力的な加速を楽しませてくれる。しかし、400Rでそれ以上に印象的なのは、ドライバーのアクセル操作に対するリニアな反応だ。

昨今のターボエンジンは、省燃費や扱いやすさを求め、低回転域でのトルクが太くなるようチューニングしている。しかし、そうした特性のエンジンは、回転上昇時の気持ちいいフィーリングや、高回転域でのパンチ力に欠ける。逆に、高回転域でパワーが炸裂する、かつてのターボエンジンの多くは、エンジンレスポンスが犠牲になっているケースが多かった。

しかし400Rのエンジンは、そのどちらにも当てはまらない。低回転域でのトルクは極太で扱いやすく、しかも、ドライバーのアクセル操作に対して忠実に反応する高レスポンスも持ち合わせている。おまけに、回転上昇に伴って湧き出すように盛り上がり、高回転域で炸裂するパワーも備えている。まさに、文句のつけようがない理想的なエンジン特性なのだ。

400Rはそれを実現するために、鋭いレスポンスを重視した小型タービンを採用しつつ、その能力をフルに使い切れるよう“ターボ回転センサー”を導入。タービンの状況を把握しながら綿密な制御を行っている。高出力のターボ車は、パワーを稼ぎやすい大型タービンを組み合わせるのが一般的だが、その場合、レスポンスがどうしても犠牲になる。そのため400Rは、小型タービンの能力をしっかり使い切るという“発想の転換”を図ったのである。

■スカイライン自慢のDASが滑らかなステアフィールを実現

今回、そんな400Rで雪上テストの機会を得た。一般的に、ハイパワーの後輪駆動車は、滑りやすい路面で走らせるのが難しいとされている。車体の動きがデリケートであり、ちょっとでもアクセルを踏みすぎると、すぐに挙動が乱れてスピンするからだ。果たして400Rも、同様の特性なのだろうか?

スタッドレスタイヤを履いた400Rでのスノードライブでまず驚いたのは、ハンドルに伝わってくる衝撃が小さいこと。圧接路と呼ばれる踏み固められた雪道には、細かい段差が多く存在するため、ハンドルには絶えず振動が伝わってくるのが一般的だ。しかし400Rでは、そうした振動を感じられず、非常に滑らか。その理由は、独自のステアリング機構にある。

現行スカイラインには“DAS(ダイレクトアダプティブステアリング)”と名づけられた“ステアバイワイヤ”機構が搭載されている。コレは、ハンドルとタイヤが機械的につながっておらず、ドライバーのハンドル操作を電気信号に置き換え、それを瞬時にモーターへと伝えてタイヤの向きを変える仕組みだ。そのため、タイヤを介して伝わってくるはずの路面からの振動がハンドルまでは伝わって来ず、雪道とは思えないほど滑らかなステアフィールを実現している。

もちろん、タイヤからハンドルへのフィードバックがないと、接地感が分かりにくく運転していて不安になる。そのためスカイラインのDASでは、路面からタイヤに伝わってきた情報にフィルターをかけて取捨選択し、不要な情報をカットしつつ、必要な情報はしっかりとドライバーへ伝えるよう制御している。こうした制御は、2014年の初採用以降、度重なる改良を経ており、今では違和感のないレベルにまで磨き込まれている。

■驚きの扱いやすさはハイレスポンスエンジンの賜物

400Rには、走行モードを切り替えられるドライブモードセレクターが備わるが、「スタンダード」モードを選択すれば、雪上でも安定感は抜群。スリップにつながる動きを瞬時に抑制してくれるから、高性能な後輪駆動車につきものの“危うさ”は全くない。ラフなアクセルワークでも、オーバースピードにさえ気をつけていれば、安心して走れる印象だ。

一方、走行モードを走り重視の「スポーツ+」に切り替えると、キャラクターが激変する。“VDC(ビークルダイナミクスコントロール/横滑り防止装置)”を解除していない状態でも、アクセルペダルをグッと踏み込むとテールスライドが始まり、クルマはドリフト状態に。とはいえ「ここから先は危険」という領域になると、クルマ側が制御してくれて車体の挙動を安定させてくれる。楽しさと安心を上手にバランスさせたその制御は絶妙で、後輪駆動車ならではの楽しさをしっかりと味わえる。

その要となるのが、スポーツ+モード時の“ドライバーオリエンテッドVDCコンセプト”だ。アクセルやハンドルの操作状況から、「ドライバーが運転を楽しんでいる」とクルマが判断すると、VDCの制御を自動で変更。VDCをオフにしなくてもドライバーのコントロール領域を広げ、積極的なスポーツドライビングを味わえる状態にしてくれる。クルマがどんどん曲がっていくのでドライブしていて心地いいし、これなら一般のドライバーであっても、制御に守られた状態で後輪駆動の醍醐味を味わえるはずだ。

一方、あなたがもし腕に覚えのあるドライバーならば、思い切ってVDCをカットするのもアリだ。なぜなら、クルマによる制御をカットした状態でも、400Rは十分コントローラブルだから。すべてがドライバーの腕任せにはなるとはいえ、テクニック次第で雪上ドリフトも自由自在。制御に頼らなくても、限界ギリギリのダイナミックな走りを堪能できる。

一般的に、ハイパワーの後輪駆動車は、雪道でアクセルペダルを踏みすぎてしまうと、簡単にスピンしてしまう。しかし400Rは、VDCをカットした状態でも気難しい反応を全く見せず、驚くほど扱いやすい。こうしたコントロール性の良さは、小型タービンを採用したハイレスポンスエンジンの賜物ともいえる。ドライバーの意思に対して忠実、かつビビッドに反応してパワーを出力してくれるから、405馬力ものパワーがあっても常識外れなほど扱いやすいのである。

<SPECIFICATIONS>
☆400R
ボディサイズ:L4810×W1820×H1440mm
車重:1760kg
駆動方式:FR
エンジン:2997cc V型6気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:7速AT
最高出力:405馬力/6400回転
最大トルク:48.4kgf-m/1600~5200回転
価格:562万5400円

(文/工藤貴宏 写真/日産自動車)

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