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【もうすぐ出ますよ!注目の日本車】トヨタ「GRヤリス」は世界制覇を狙う最新兵器

&GP / 2020年6月1日 19時0分

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【もうすぐ出ますよ!注目の日本車】トヨタ「GRヤリス」は世界制覇を狙う最新兵器

2020年2月に発売されたトヨタ「ヤリス」は、プラットフォーム、サスペンション、エンジンといったメカを刷新。燃費や動力性能といった走りの面において、コンパクトカーの新基準を打ち立てました。

そんな意欲作の派生モデルとして、この夏、発売予定なのが、新しいスポーツカー「GRヤリス」です。今回は、すでに公開されているスペックとプロトタイプの写真などから、期待が高まるGRヤリスの魅力についてご紹介します。

■セリカGT-FOUR以来となる本格4WDスポーツモデル

GRヤリスに冠された“GR”とは、“GAZOO Racing(ガズー・レーシング)”の頭文字から名づけられたトヨタのスポーツカーブランドの名称で、モータースポーツ活動やスポーツカーの企画・開発などを担うトヨタの社内カンパニー“GRカンパニー”がプロデュースしています。

母体となったGAZOO Racingは、2007年のドイツ・ニュルブルクリンク24時間耐久レースに初参戦。以来、モータースポーツへの挑戦を通じて人とマシンを鍛えながらさまざまなノウハウを吸収し、市販車開発の分野でも、もっといいクルマ作りにトライしてきました。

そんなGRブランドから、間もなく発売予定のGRヤリスは、トヨタにとってあの「セリカGT-FOUR」以来となる本格4WDスポーツモデル。“偉大なる先人”と同様、WRC(世界ラリー選手権)制覇を目指す大役も担っています。

ちなみに、偉大なる先人であるセリカGT-FOURは1986年に誕生。1988年からWRCの舞台へ実戦投入され、1990年にはトヨタにとって初となる(日本車としても初めて!)、WRCドライバーズタイトル獲得に貢献します。その後、1993年と1994年には、2年連続でWRCマニュファクチャラーズタイトルを獲得。セリカGT-FOURは3世代に渡ってトヨタのWRCマシンとして数々の栄光を勝ち取るとともに、“ラリーの世界にトヨタあり”という印象を確固たるものとしました。

そんな名車GT-FOURへのリスペクトなのでしょうか。新たに誕生するGRヤリスは別名“GR-FOUR”と呼ばれています。また、GRヤリスのために開発された4WDシステムにも、GR-FOURの名称が与えられています。

■プラットフォームからしてヤリスとは全くの別物

さて、そんなGRヤリスでまず注目したいのは、なんといっても“クルマの作り方”でしょう。これまでトヨタのWRCチャレンジャーは、一般の人向けに開発された市販車をベースに、過酷なシーンで戦うための改造を施したマシンでした。しかし、次期ワークスマシンとして実戦投入されるGRヤリスでは、そうしたクルマの作り方を一新。まずはWRCで勝てるマシンを開発した上で、それを一般ユーザーが乗る市販車へ落とし込むという、逆転の発想を採り入れたのです。

とはいえそれは、トヨタにとって初の試みであり、開発現場は苦労の連続だったとか。しかも本格4WDスポーツカーを手掛けるのは、セリカGT-FOUR以来、実に20年振りの挑戦です。トヨタの社内には、すでに速い4WDカーを生み出すためのノウハウなどなく、また、セリカGT-FOURに携わっていた技術者たちも残っていないとあって、まさに手探り状態からのスタートになったようです。

そのためか、最初に作られた試作車は、曲がらない上にいきなりスピン。しかも、テスト走行を終えてピットに戻ってみれば、エンジンオイルが逆流して煙がモクモク上がるなど、トラブルの連続だったといいます。それでも、エンジニア、テストドライバー、プロドライバー、首脳陣らが一体となって試行錯誤した結果、従来のトヨタ車では考えられなかった“スーパーホットハッチ”が結実したのです。

続いて注目したいポイントは、プラットフォームとボディです。GRヤリスは一応、ヤリスの名を冠してはいるものの、実は土台となるプラットフォームは完全なる別物。ヤリスのそれが、“TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)”に基づき開発されたGA-Bプラットフォームであるのに対し、GRヤリスでは、フロント部にGA-Bを、リア部には「カローラ」やレクサス「UX」に使われる、ひとクラス上のGA-Cを使ったハイブリッド版が採用されています。これにより前後サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式、リアがダブルウイッシュボーン式というGRヤリス専用の組み合わせに。またリアのトレッドは、FRスポーツカーである「86」よりもワイドに設定されています。

一方のボディは、ベースとなったヤリスが5ドアであるのに対し、GRヤリスは3ドアというのが最大の特徴。しかも、単にドアの枚数を減らしただけでなく、ルーフラインやリアフェンダーといった大半のボディパネルが、GRヤリス専用のデザインとなっています。その結果ボディサイズは、全長3995mm(ヤリス比プラス55mm)、全幅1805mm(同プラス110mm)、全高1460mm(同マイナス40mm)となり、ヤリスと比べると格段にワイド&ローのシルエットに。

さらに、サイド&リアのディフューザーやリアスポイラーを装着することで、空力性能も徹底追求しています。もちろんスポーツカーだけに、軽量化も抜かりはありません。ボンネット、ドア、トランクリッドはアルミ合金製ですし、ルーフはカーボン製とするなど、非常に贅沢な作りとなっています。

■GRヤリスのために生まれた1.6リッター直3ターボ

GRヤリスの心臓部には、モータースポーツに必要な素性をゼロから織り込んだ、軽量かつコンパクトな1.6リッター直列3気筒直噴ターボが搭載されています。TNGAの思想を取り入れた“高速燃焼コンセプト”や、各部パーツの軽量化などによって高回転化を実現したほか、ターボチャージャーを始めとする吸排気レイアウトの最適化を徹底した結果、最高出力は3気筒エンジンでは世界最高レベルとなる272馬力を実現。さらに、37.7kgf-mという厚いトルクをワイドな回転領域で得られるため、1280kgという比較的軽いボディを力強く加速させます。

組み合わされるトランスミッションは、変速フィールに優れた6速MT。変速時のエンジン回転数を自動制御して変速ショックを軽減したり、発進時にトルクをアップさせてスムーズな操作を助けたりする仕掛けが盛り込まれたトヨタ独自の“iMT”仕様で、強力なエンジンが生み出す圧倒的な加速と気持ちのいい回転の伸びを感じられます。

強大なエンジンパワーを余すところなく路面へと伝えるべく、GRヤリスの4WDシステムには、電子制御多板クラッチを用いた新機構・GR-FOURが採用されます。これは、シフトレバー前方の“4WDモードスイッチ”により、前後輪への駆動力配分をコントロールできるのがポイント。クイックに曲がり、狭いコーナーや街乗りに適した「NORMALモード」(駆動力配分は前60:後40)、後輪により大きなトルクを伝え、FR車のような乗り味を実現した「SPORTモード」(前30:後70)、プロドライバーとともに走行性能を突き詰めたスポーツ走行重視の「TRACKモード」(前50:後50)という3つのモードが設定され、ドライビングスタイルや路面状況に応じ、クルマの挙動を調整できます。

さらにブレーキには、フロント4ポッド/リア2ポッドのアルミ対向ブレーキキャリパーを採用するほか、パーキングブレーキをドラム式とすることで、サイドブレーキを使っての巧みな車両コントロールも可能にしています。

そのほか、ドライバーの意思により、状況に応じた走行特性を選べる“スポーツモード付VSC”に加え、上級グレードには、ハードドライビング時の熱対策に有効な冷却スプレー機能付きの大容量空冷インタークーラー、ハイレベルのスポーツドライビングにも応えてくれる“トルセンLSD”なども装備。GRヤリスはあらゆる部分に、走りを極めるための一流品がおごられているのです。

■製造ラインのあり方まで変革したGRヤリス

GRヤリスのインテリアは、インパネの基本デザインこそヤリスと同じですが、多彩な専用パーツをあしらうことで、ベースモデルとの差別化を図っています。

中でも上級グレードには、ホールド性の高いサイドサポートが付いたプレミアムスポーツシートを採用。シート生地には合皮とスエードをあしらい、さらにシルバーのステッチでプレミアム感をプラスしています。

また、GRヤリス専用のスポーツメーターは、スポーツ走行時の視認性が高いのが特徴。中央部のマルチインフォメーションディスプレイには、4WD切替えや過給圧、各種ウォーニングを表示します。

そのほか、ステアリングホイールやスモークシルバーの加飾パーツ、アルミスポーツパッド付きペダルなども、このモデルだけの専用品。スポーツ走行時の操作性を徹底追求することで、スポーティな操作フィールを実現しています。

スポーツカーといえども気になるラゲッジスペースは、4名乗車時で141Lとかなり小さめ。それでもリアシートの背もたれをすべて倒せば、235/40R18サイズのタイヤ4本と工具箱、ジャッキ、ヘルメットなどを一度に積み込めるため、サンデーレースへの参戦も楽勝です。また2名乗車時であれば、27インチの自転車(1台)や、9.5インチのゴルフバッグ2個+スポーツバッグ2個を積み込めますし、3名乗車時の場合、スーツケース3個をまとめて積載可能。リアシートはほとんど使わないという人であれば、日常のアシや趣味の相棒としても活躍してくれそうです。

ちなみにトヨタは、スポーツカーに不可欠なボディの高剛性化と、超高精度の組み付け作業を実現すべく、GRヤリスの発売を機に、スポーツカー専用の生産工場・GRファクトリーを新設しています。ファクトリー内のGR専用ラインには、一般的な自動車工場で見られるベルトコンベアは存在せず、複数のセルを無人搬送車でつなぐという、少量生産車の生産にふさわしい最適化が図られています。しかも製造・組み立てを担当するのは、トヨタ全社から集められた熟練の技能者たち。GRファクトリーは技能伝承の場としても活用される見込みです。

先行する86や「GRスープラ」とは異なり、トヨタ自身がイチから手掛けたこだわり満載の本格4WDスポーツカー=GRヤリスは、2020年夏頃の発売を前に、誕生を記念した特別仕様車「RZ“ファーストエディション”」(396万円)と「RZ“ハイパフォーマンス ファーストエディション”」(456万円)の先行予約を受付中です(6月30日まで)。WRCを制するために生まれ、随所に作り手たちの熱い意志を感じさせるGRヤリスをいち早く手にしたい人は、早めのご決断をお勧めします。

文/上村浩紀

上村浩紀|『&GP』『GoodsPress』の元編集長。雑誌やWebメディアのプロデュース、各種コンテンツの編集・執筆を担当。注目するテーマは、クルマやデジタルギアといったモノから、スポーツや教育現場の話題まで多岐に渡る。コンテンツ制作会社「アップ・ヴィレッジ」代表。

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