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チタンフィニッシュシートでメッキ飛燕をディテールアップ!【達人のプラモ術<飛燕>】

&GP / 2021年10月30日 7時0分

写真

チタンフィニッシュシートでメッキ飛燕をディテールアップ!【達人のプラモ術<飛燕>】

【達人のプラモ術】
タミヤ
「1/48 川崎三式戦闘機 飛燕1型丁」03/04

戦闘機やバイク、ロボット、スポーツカーなど、さまざまなプラモデルの作り方・楽しみ方を紹介する、プロモデラー長谷川迷人さんによる【達人のプラモ術】。

メッキパーツが多数使われているメッキ仕様の「飛燕」。質感はいいのですが、研磨できないことがネックとなります。とはいえ、継ぎ目などはそのままにしておくわけにはいかず、ヤスリがけは必要。では研磨して剥げてしまったメッキはどうすればいいのか。今回は、塗装でカバーできない剥がれたメッキ部分の再現を行います。

*  *  *

前回はメッキキット飛燕のコクピットとエンジンに塗装をすることで、より実機らしいリアルディテールを再現しました。キットのつや消しメッキは金属感溢れるものですが、メッキが剥がれてしまうためパーツの継ぎ目の処理といった研磨処理をすることができません。塗装ではメッキの質感が再現できないのが悩みどころです。そこで今回は塗装せずにメッキの劣らない金属感を再現できる便利アイテム、フィニッシュシートを使ってさらなるリアルディテールを目指します。

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!「@Modelart_MOVIE」も配信中。

 

■メッキキットの継ぎ目処理に悩む

キットの胴体上面は巧みなパーツ分割でパーツの合わせ目が出ないのですが、胴体下面と主翼の合わせ目はどうしても気になってしまう部分ではあります。通常のキットならば、ヤスリを使って研磨することで簡単に継ぎ目は消せるのですが、メッキキットはそうはいきません(まぁ普段は見えない部分だから継ぎ目は気にしないという考え方もありですが)。なのでここはモデラーらしくアイテムを駆使して処理をしていきましょう。

パーツの接着後、通常キットと同様にパーツの合わせ目を研磨して継ぎ目を消していきます。当然ながらメッキは剥がれてしまいます。

剥がれてしまった部分は銀で塗装すればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、メッキの質感と塗装の銀で質感が異なってしまうためそうもいかない。悩ましいところです。

そこで登場するのが、模型メーカーのハセガワが発売している金属調フィニッシュシートです。

▲フィニッシュシートは非常に柔軟性があるので、パーツのモールドや凹凸に馴染ませて貼ることができる。貼りこんだ際に気泡が入っても針などで穴をあけて綿棒で擦れば馴染ませられる

以前、ヤマハTZR250の製作でもミラーフィニッシュシートをフロントフォークに使いましたが、今回はつや消し調の『チタンフィニッシュ』を使用します。フィニッシュシートをパネルサイズにカットしてパーツに貼りこんでいけばOK!

極薄のシートなのでほとんど段差もできず、メッキの質感とも違和感がありません。主翼の前縁や胴体下面は曲線で構成されていますが、フィニッシュシートは柔軟性があるのでピタリとパーツに馴染んで継ぎ目を隠してくれます。

▲フィニッシュシートを台紙からはがす。貼り付ける際はピンセットを使い、粘着面を素手で触ることはできるだけ避ける。粘着面に皮脂がついてしまうと接着力が落ちてしまうので要注意

▲パーツの合わせ目が目立つ胴体下面はフィニッシュシートをキットの凹モールド(パネルライ)に沿って3枚に分けて貼りこんでいる

▲主翼前縁の継ぎ目を隠すために、細くカットしたフィニッシュシート貼っていく

▲主翼前縁はアールがきつい部分だが、シートは剥がれることもなくキレイに馴染んでくれる

▲機首下面は合わせ目を隠すために貼っているが、主脚収納部の間は素材感の違い(色の違い)を出すためにあえて貼った。金属感が出るのでメッキとの違和感もない

 

■フィニッシュシリーズ金属調シートとは

模型メーカー、ハセガワが発売しているフィニッシュシリーズの金属調シートは、真空中で金属を加熱・蒸発させ、薄い膜としてフィルムに付着させる「金属蒸着」という技術を使ったシート(シール)です。柔軟でとても薄い特殊フィルムを使用していることで、曲面への貼りこみも可能なディテールアップ素材になります。

▲今回使用した「チタンフィニッシュ(黄系艶消し銀)TF3」(1320円)サイズ:200×90mm

デザインナイフで簡単に切り出せて、塗装では再現が難しいクロムメッキ、つや消しシルバー、ステンレス、チタンといった金属の質感を、貼るだけで再現できるスグレモノです。

金属調以外にもカーボンケブラー、透明ホログラム、偏光といった塗装では表現できない質感の再現ができるシートや、クリアーレッドやつや消し黒など、数多くバリエーションが揃っており、カーモデル、飛行機モデル等のディテールアップに欠かせないアイテムとなっています。

>> ハセガワ「フィニッシュシリーズ」

 

■質感の違いを塗装で再現

キットのメッキは無塗装(ナチュラルメタル)の質感を再現したものですが、実機は機体の部位によって同じ銀でも材質等の違いで微妙に色味が異なります。特に主翼の補助翼は羽布張り(金属のフレームに布地が貼ってある構造)の上から銀で塗装されているので、質感が大きく異なります。

そこでここはあえて、つや消しシルバーで塗装しています。垂直尾翼の方向舵も同様の構造ですが、塗装されているので特に質感を変える必要はありません。

無塗装の機体を製作する場合、塗装のみでもパネル単位で微妙にトーンを変えることでリアルな金属感を再現できます。作例では胴体下面のラジエターを塗装で質感を変えています。

▲主翼をマスキングして補助翼に艶消しシルバーを塗装

▲塗装された補助翼と主翼の質感の違いがわかる

▲裏から見ても違いは一目瞭然

▲胴体下面のラジエター側面は銀(Mr.カラー8番シルバー)で塗装することで材質の違いを再現

▲同じシルバーでも塗装することで部品の違いを表現

▲これは個人的に製作しているスカイシャークだが、同じ銀でもトーン(色調)を微妙に変えて塗り分けることで、ナチュラルメタルの材質の違いを表現している

 

■フィニッシュシートで質感の違いを表現

塗装でナチュラルメタルな質感を再現できるのは分かっていただけたと思いますが、フィニッシュシートでも同様にトーンの違いを再現できます。今回使用したチタンフィニッシュはやや黄色みがかった艶消しの銀色です。これをパネル単位で貼ることで、メッキの塗装にコントラストをつけられます。

▲矢印部分がチタンフィニッシュシートを貼っている箇所

 

■第244戦隊の赤い尾翼を塗装

作例は本土防空戦Fで活躍した第244戦隊の機体仕様なので、尾翼をマスキングしてプライマーを下塗りしたのち赤で塗装します。

同時に主翼付け根のウォークウェイもつや消し黒で、主脚収納部はコクピットの塗装で使用したタミヤ「アクリルミニ XF-59 デザートイエロー」で塗装します。この際、塗装がマスキングからはみ出してしまっても乾燥後すぐに爪楊枝等で擦れば、メッキを痛めることなくはみ出した塗料を落とせます。

▲尾翼は鮮やかな赤(タミヤ「アクリルミニ XF-7 フラットレッド」)で塗装

▲主翼上面のウォークウェイは滑り止めのゴムが張られていたので、つや消し黒で塗装

▲主脚収納部は前回製作したコクピットと同色のデザートイエローで塗装

 

■胴体と主翼を合体

塗装が乾燥したら胴体と主翼をしっかりと接着して、ラジエターを塗装して取り付けます。機体に主翼と尾翼が付いたことで、スマートな飛燕の雰囲気が出てきました。ここまでくるとモチベーションも一気にアップしますね。

▲主翼と胴体を接着したのち、ラジエターを取り付ける

次回はいよいよ本キットの特徴でもある迷彩デカールを機体に貼りこんで完成を目指します。お楽しみに!

 

★NEXT KEY ITEM!

本キットでは、第244戦隊の高島少尉機の迷彩塗装をデカールで再現できるのがセールスポイントにもなっています。とはいうものの、主翼上面と胴体全面に貼りこむ大判デカールは難易度が高いのもまた事実。というわけで次回は大判デカール貼りのコツを紹介します!

 

★達人流制作のポイント!

①フィニッシュシートでリアルな金属感を再現

②パーツの継ぎ目もフィニッシュシートで簡単修正

③無塗装とは微妙にトーンの違う金属色を組み合わせて再現

 

>> 達人のプラモ術

<写真・文/長谷川迷人>

 

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