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【素朴なギモン】冷蔵庫でビタミンCがつくられるってどういうこと?

&GP / 2016年12月6日 21時0分

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【素朴なギモン】冷蔵庫でビタミンCがつくられるってどういうこと?

日進月歩で発展を遂げている家電業界は、ひと昔前では考えられなかった性能を持つ商品を家庭へと届け続けています。そんな状況下、思わず耳を疑ってしまう機能が、三菱電機の冷蔵庫に搭載されました。それが“ビタミンCがアップする野菜室”です。

 

⬛冷蔵庫の中に朝・昼・夜の光のリズムをつくって栄養素をアップさせる!

同社冷蔵庫の「WX/JX/B」シリーズに搭載された“朝どれ野菜室”の中には、3色LEDが備えられており、光合成することで葉物野菜のビタミンC生成を促すとのこと。…何、そのスーパーテクノロジー? ということで、開発を担当された三菱電機の静岡製作所・岡部誠さんに、その仕組みをうかがいました。

 

―冷蔵庫の野菜室に葉物野菜を入れると、ビタミンCが増えると聞いたんですが、ぶっちゃけウソですよね?

岡部:本当です(笑)。以前にも弊社の冷蔵庫には“光パワー野菜室”という機能があったのですが、今回はそれを進化させ“青・赤・緑”の3色LEDを照射することにより、光合成反応させてビタミンCを作り出しています。

詳しい仕組みとしては、まず青・赤・緑の3色を同時に点灯させ野菜に「朝だ!」と思わせます。そうすると、起きて活動しようとするため、気孔を開いて二酸化炭素の吸収が促され、光合成反応が早まります。

光を浴びると、緑の色を司っている葉緑体のクロロフィルが増えます。すると、水と二酸化炭素からグルコースという“糖”が作られるんです。ただし、この糖は光合成により最初に生成されるブドウ糖量(グルコース)のことです。甘みを表す指標としての使われる「糖度」ではないので、糖量が増すことで野菜の甘みがアップするわけではありませんが、野菜が元気になり、自分の成長に必要なビタミンCを作る、というメカニズムになっています。

 

岡部:ただし、ずっと朝のままだと疲れてしまうので、2時間後に青を切って「昼」の状態を作り、残り10時間を赤と緑に。そして、12時間経ったら一度LEDを消灯させ、「夜」にします。そうすることで光合成の活動を休めると、次の日の光合成反応が早まるんです。これにより実験の数値では、葉物野菜のビタミンCが3日間で23%アップするという結果が出ています。

朝どれ野菜室02 朝どれ野菜室のオン/オフは冷蔵庫前面のパネルで切り替える

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※1 2016年度新商品MR-WX70Aの野菜室LED照射有無によるビタミンC量比較。(試験機関名)一般財団法人 日本食品分析センター 外気温25℃。扉開閉なし。キャベツ1/6カットをラップして野菜室内に3日間保存。初期値を100%としたときのキャベツ中心部のビタミンC変化率(自社換算)。別の野菜に遮られるなど野菜の位置や保存量、種類や投入時の状態により効果は異なります。

※2 2016年度新商品MR-WX70Aの野菜室LED照射有無による糖量(グルコース)比較。(試験機関名)一般財団法人 日本食品分析センター 外気温25℃。扉開閉なし。レタス1/4カットをラップして野菜室内に3日間保存。初期値を100%としたときのレタスの糖量変化率(自社換算)。別の野菜に遮られるなど野菜の位置や保存量、種類や投入時の状態により効果は異なります。

 

―糖量まで増えるんですか。…にわかには信じがたいですが、確かに、野菜も生き物だし、光合成することでビタミンCが増えるというのは分かりました。でも、根っこが土に伸びていないのに、大丈夫なんですか?

岡部:根本がつながっているキャベツでデータを取った時は、同じ個体を1/6に切って、光を当てるもの、当てないものとで比較してみました。

基 本的に、LEDが照射されているところから光合成反応は広がっていきます。だから根がなくても、葉っぱ単体で反応するのですが、根というか茎でつながっていると、野菜全体に栄養素が行き渡るということも分かっています。

 

―根がなくても、芯や茎でつながっていれば栄養素は行き渡る、ということですか?

岡部:はい。先ほども説明しましたが、なんのために野菜が栄養素を作るかというと、自らが成長するため、なんです。なので、キャベツの表面に光が当たり、できた栄養素を芯に送り、中の方にある若い芽にどんどん渡していく、という仕組みになっています。

 

―3日間で23%アップとのことですが、4日以上、野菜室へ入れ続けると、ビタミンCはさらに比例して増えるのですか?

岡部:買い物のサイクルを考えて、1週間レベルまでは実験を行いました。キャベツで試してみたところ、4日目以降は芯の部分である程度、ビタミンC量が下がり始めますが、途中で全体に広がっていくので、全体量としては上がっていきます。

総合的に判断すると、7日間くらいまでは増えていくようです。それ以降に関しては、冷蔵庫にそこまで保存することを想定していないので、実験を行っていません。とはいえ、野菜の生命力が衰えてくるでしょうから、それに応じて、活動も下がっていくと思います。

ビタミンCのほかに、葉物野菜の緑化も促進される。右が7日間LEDを照射したもの ビタミンCのほかに、葉物野菜の緑化も促進される。右が7日間LEDを照射したもの

 

―葉緑素を持たない他の野菜への影響はあるのでしょうか? じゃがいもとか、成長が促進されて芽が出てしまうとか…

岡部:“土の中の野菜”、じゃがいも、たまねぎ、もやしなど、根っこのある野菜については、デメリットがないかなど調べました。これらは保存期間が長いだろうと想定し、2週間「朝どれ野菜室」で保存しましたが、我々が確認した限り、全く影響はありませんでした。

 

⬛野菜を美味しく、冷蔵庫の整理整頓まで!

LEDの光で野菜が光合成反応をするということで、LEDの光量を増やすとさらに栄養素が作られるのか、尋ねたところ、確かに可能性はある、とのことでした。う~ん、葉物野菜にそんな秘密があったとは…。

 

最後になぜ、このようなテクノロジーを商品化したのか、岡部さんに伺うと

岡部:近年、お客様のマーケティング調査によると“健康志向”が高まりを見せています。やはり、栄養価の高い野菜を食べたい、というニーズは増えている、というわけです。さらに、まとめ買いなどによる冷蔵庫の大容量化が進み、長期間の保存というものを考慮した結果、“栄養素のアップ”という機能を復活させれば、市場にマッチングするのでは? と考えました。

また、以前のモデルと比べて野菜室自体が大きくなっているので、お客様の整理整頓の手間を改善をしたい、という視点からも、朝どれ野菜室は有効だと考えています。葉物野菜の保存場所が定位置化されれば、自ずと他の野菜も自然と置く場所がはっきりしてくる。そうした、冷蔵庫の使い方についても、新機能と合わせて提案したいと思っています。

 

なるほど! 美味しく栄養価の高い野菜だけでなく、その保管方法まで、冷蔵庫が私たちに提案してくれる、というわけですか。ビタミンCアップに隠された冷蔵庫の秘密、とても勉強になりました。

>> 三菱電機「冷蔵庫」

(取材・文/&GP編集部 三宅隆)

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