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【アバルト 595試乗】ルックスはより攻撃的に、走りは一段と刺激的に進化!

&GP / 2017年5月22日 19時0分

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【アバルト 595試乗】ルックスはより攻撃的に、走りは一段と刺激的に進化!

イタリア車のファンやホットハッチ好きにとって“アバルト”という響きは特別でしょう。今ではフィアットの1部門となっていますが、かつては小排気量車をベースとした過激なレーシングカーでサーキットを沸かせた、伝説のチューニングカーメーカーでした。

現在もその名はしっかりと受け継がれており、フィアット「500」をベースとするアバルト「595」、マツダ「ロードスター」と設計をともにするアバルト「124スパイダー」といったスポーツモデルをリリースしています。

中でも、愛らしいたたずまいとホットな走りから、日本でも人気の高い595が、2017年春にマイナーチェンジ。最新のエントリーグレード「595」(ホワイト)と、ハイパワー版「595コンペティツィオーネ」(イエロー)のステアリングを握るチャンスに恵まれましたので、はやる気持ちを抑えつつ、公道へと繰り出しました!

最初にキーを受け取ったのは、シリーズのエントリーモデルである595。フィアットの500がベースですから、遠目にはコロンと愛らしく映りますが、インタークーラー冷却用のインテークが備わったフロントバンパーやサイドスカートなどにより、近くで見るとなかなかアグレッシブな容姿であることに気づきます。

今回のマイナーチェンジでは、前後バンパー形状が変更されており、さらに攻撃的なルックスとなりました。

もちろんその走りはというと、見た目に違わず、なかなか刺激的。エンジンを始動させると、左右2本出しのマフラーから歯切れのよいサウンドが響きます。

ソフトな感触ながらも体をしっかりとホールドするハイバックタイプのシート、ダッシュボード上に備わる過給圧計など、インテリアも「フィアットの500とはひと味違うぜ」という主張が感じられます。

ギヤボックスは、5速MTのほかに、ATモードが備わる2ペダル式5速シーケンシャル仕様も用意されており、今回、試乗したのは後者。コンソールのスイッチでATモードを選び走り出すと、低速域でこそ「線が細いかな」と思うものの、メーターパネル内に備わるTFT液晶タイプのタコメーターが3000回転を超える頃には、十分な加速を披露してくれます。

しかし、その本領はというと、ダッシュ上のモード切り換えスイッチで「SPORTモード」をセレクトした時にこそ発揮されます。SPORTモードに切り換えると、メーターのグラフィックが変更されるほか、過給圧計にも“SPORT”の文字が点灯、攻撃態勢が整ったことをドライバーに伝えます。

595に搭載されるエンジンは、排気量1368ccの直列4気筒ターボで、最高出力は従来型比でプラス5馬力の145馬力、最大トルクはノーマルモードで18.4kg-mですが、SPORTモードでは21.4kg-mにまでアップ。プログラムによってアクセルのツキもよりリニアになっており、右足に力をこめれば車重1110kgのボディをグイグイと加速させます。

意外だったのは、思いのほか快適な乗り心地。乗用車的にソフト、というわけでありませんが、195/45R16という車格的にはワイドでハイトの低いタイヤが備わりますが、荒れた舗装でも足まわりがバタバタすることはありません。また、コーナリングでもサスペンションがしっかりとストローク。「もうちょっと攻め込めるかな?」と思わせるファンな特性に仕上げられています。スポーティなルックスや演出はもちろん、こうした懐の深さにより、ホットハッチ初心者でもシーンを問わず、その魅力を満喫できるのではないか、と思いました。

さて、一方の595コンペティツィオーネですが、こちらは結論からいえば、ツウ好みと申しますか、ハッキリといえばかなり過激な性格に仕立てられています。

595と比べた際のエクステリアの相違点はといえば、マフラーが4本出しであること、タイヤが205/40R17とさらに1サイズ拡大されていること、“Competizione”のエンブレムが備わること、といった程度ですが、ドアを開けた瞬間にそのキャラクターは想像できると思います。

標準装備となるカーボンシェルタイプのサベルト製セミバケットシートは、見た目どおり、タイトでガッチリ硬めな掛け心地。エンジンをスタートさせるとアイドリングもラフで、高性能エキゾーストシステム“レコルトモンツァ”はいかにもチューニングカーという低いサウンドをとどろかせます。

そして、これが単なる演出でないことが分かるまで、そう時間は掛かりませんでした。フィアットの500とは一線を画す優れたボディ剛性は、ノーマルの595でも感じられましたが、硬くタイトなシート、ひと際ハードなサスペンションにより、車体のソリッド感を強く感じます。

こちらも2ペダル仕様でしたが、動き出すやいなや「コイツはもう、リアルスポーツカーとしてお付き合いをした方が良さそうだ…」と、早々にノーマルモードからSPORTモードへと変更します。

搭載されるエンジンは、排気量こそ595と同じ1368ccの直4ターボですが、最高出力は180馬力、最大トルクは23.5kg-m、さらに、スポーツモードを選ぶと25.5kg-mと、1120kgの車体には十分すぎるほど。特性そのものは595と同様、3000回転前後を境に性格が変わりますが、パワーバンド内では古典的な高性能ターボ車を思わせる、強烈な加速を味わうことができます。

感心したのは、ただの荒くれものではなく、硬いのにしっかりと仕上げられた足まわり。ハイパフォーマンススプリングとKONI製FSDダンパーからなるサスペンションは、確かにデート向けには不向きかもしませんが、荒れた路面でも不快な振動はシャットアウトされています。そして、コーナリングはまるでカートのようで、ステアリングを切り込むと、ドライバーズシートを軸に地球をひねるかのように曲がります。ちょっとしたワインディングでも思わずニヤリとしてしまうこの感覚。個人的にはかなり好きですね。こうしたハードなスポーツモデルは、今や絶滅危惧種といえるでしょう。

21世紀の現在では、スポーツカーといはいえ、シチュエーションを問わない賢く、理性的なモデルが主流となっていますが、595と595コンペティツィオーネは、どこか20世紀の悪っぽさがしっかりと残っています。何より「さすがはアバルト、上手いな!」と思ったのは、595と595コンペティツィオーネの作り分けでしょう。「コンペティツィオーネがハードっていうなら、595もあるぜ。好きな方を選びなよ」とばかりに、選択肢を用意していること。595でもアバルトチューンの魅力はしっかりと味わえますし、コンペティツィオーネならその真髄をイヤというほど堪能できます。

ただし、アバルトのエンブレムからもお分かりのとおり、そのトレードマークはサソリ…。その毒は想像以上に強力で、一度チクリとやられてしまうと、もう普通のスポーツモデルには戻れなくなってしまいますので、ご試乗時にはご注意を!

<SPECIFICATIONS>
☆595
ボディサイズ:L3660×W1625×H1505mm
車重:1110kg
駆動方式:FF
エンジン:1368cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:ATモード付5速シーケンシャル
最高出力:145馬力/5500回転
最大トルク:21.4kg-m/3000回転
価格:309万9600円

<SPECIFICATIONS>
☆595コンペティツィオーネ
ボディサイズ:L3660×W1625×H1505mm
車重:1120kg
駆動方式:FF
エンジン:1368cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:ATモード付5速シーケンシャル
最高出力:180馬力/5500回転
最大トルク:25.5kg-m/3000回転
価格:381万2400円

(文&写真/村田尚之)

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