ファンならずとも必見!チェコ・プラハで訪れたいミュシャゆかりの観光スポット3選
GOTRIP! / 2017年4月29日 9時32分
東京・国立新美術館で「ミュシャ展」が開催されるなど、日本でも高い人気を誇るアルフォンス・ミュシャ(ムハ)。
現在のチェコ、オーストリア帝国領モラヴィアに生まれ、アールヌーヴォーを代表する芸術家として、パリ、ニューヨーク、プラハなど各地で活躍しました。日本で一般に用いられる「ミュシャ」という表記は、フランス語式の読み方で、チェコ語では「ムハ」と発音されます。
国際的に活躍しながらも、祖国に対する強い想いを持っていたミュシャ。チェコの首都・プラハには、ミュシャの想いが詰まった3つのスポットがあります。
・聖ヴィート大聖堂
聖ヴィート大聖堂は、プラハのシンボルであり、世界最古で最大の城・プラハ城を代表する建造物。奥行き124メートル、幅60メートルの壮大な大聖堂で、ゴシック様式の傑作として知られています。
930年に建てられた「ロトンダ」と呼ばれる簡素な円筒型の教会がその起源で、14世紀のカレル4世の時代に現在の威容に改築する工事が始められました。最終的な完成を見たのは、なんと20世紀に入ってからのこと。
それだけに、壮麗な外観のみならず、芸術品で埋め尽くされた内部も見ごたえ抜群。とりわけ有名なのが、ミュシャが手掛けたステンドグラスです。
ひと目見ただけで吸い込まれてしまうような、神秘的で絶妙な色彩のステンドグラス。
中央には、赤い服を着た10世紀のボヘミア王であり、チェコの守護聖人である聖ヴァツラフとその祖母である聖リュドミラが置かれています。少年の姿で描かれている聖ヴァツラフは、ミュシャの息子・イジーがモデルなのだとか。
聖ヴァツラフと聖リュドミラの周囲には、スラブ圏にキリスト教をもたらし、スラブ言語による布教に努めた聖ツィリルと聖メトディウス兄弟の生涯が描かれています。
ミュシャのチェコ人としての誇りを感じさせる、スラブ色にあふれたユニークなステンドグラスですね。
・市民会館
プラハが世界に誇るアールヌーヴォー建築といえば、市民会館。1911年に完成したこの建物は、当初は「景観を害する」という批判もあったものの、現在ではプラハの人々の心のよりどころともいえるほど重要な存在です。
内部はガイドツアーで見学可。「プラハの春」音楽祭が開かれるスメタナ・ホールなど、豪華かつ個性的な部屋の数々が待っています。
なかでも、ミュシャが内装のを手掛けた「市長の間」は圧巻。壁画、天井画、ステントグラス、柱の彫刻、カーテンの刺繍にいたるまで、室内の装飾すべてがミュシャの手によるもので、まさに、ミュシャ・ワールド全開。
パリで名声を手にし、ニューヨークでも成功したミュシャは1910年にプラハに戻り、スラブ民族の連帯を高め、スラブの文化を広げるための活動に力を入れます。「市長の間」の内装は、その一環として手掛けたもので、愛する祖国のために無償でこの仕事を引き受けたのです。
天井には、スラブの人々と彼らを守る鷲が描いた「スラブの団結」。
壁を彩る3つの絵画はそれぞれ、過去・現在・未来を表していて、チェコ人が歩んできた苦しい歴史と、これから訪れるであろう明るい未来を象徴しています。
ミュシャらしい幻想的な雰囲気でありながら、優美で華やかな女性を描いた絵画とは違い、決死の決意のようなものが感じられる、力強く厳かな作風に圧倒されずにはいられません。
・ミュシャ(ムハ)美術館
ミュシャの家族によって保管されていた作品およそ100点が鑑賞できるのが、ミュシャ(ムハ)美術館。
聖ヴィート大聖堂のステンドグラスの下絵やスケッチ、オーストリア・ハンガリー二重帝国時代のチェコ語の教育資金を集めるためのポスターなどもあり、祖国を愛したミュシャの魂に触れられる内容となっています。
ここでしか観られない、貴重な作品の数々を心ゆくまで堪能してください。
100年の時を経てもなお、新鮮さを感じさせるミュシャの世界。ミュシャのファンはもちろんのこと、そうでなくても思わず惹きつけられる独特の魅力はいまも健在です。
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