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老舗スポーツウェアブランドの新たな挑戦。素材選びで地球の未来を守る〈RE: DESCENTE〉の服づくり。/エディター、ライター・大場桃果さん

Hanako.tokyo / 2020年10月14日 12時0分

老舗スポーツウェアブランドの新たな挑戦。素材選びで地球の未来を守る〈RE: DESCENTE〉の服づくり。/エディター、ライター・大場桃果さん

ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足!毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第4回は、エディター、ライターとして活躍する大場桃果さんが、スポーツウェアブランド〈DESCENTE〉のオフィスへ。今年6月に誕生した新ライン〈RE: DESCENTE〉で商品企画を担当する谷 豪太さんに取材しました。

“未来を考えた服づくりを”という社員の想いから誕生。

〈デサントジャパン株式会社〉で商品企画を担当する谷 豪太さん。

谷さんが〈RE: DESCENTE〉の構想を始めたのはおよそ5年前。「エシカル」や「サステナブル」という言葉が広く普及していく中で、〈DESCENTE〉でも環境に配慮した服づくりをしたいと考える社員が増え始め、新しいプロジェクトをスタートするための社内会議が行われたのだそう。「売り上げの一部を環境保全団体に寄付するなど、他にもいくつか案が出たのですが、僕は商品企画部でものづくりを担っていたので『将来子どもたちがキレイな環境でスポーツができるよう、未来を考えた服を作りたい』と提案したところ、みんなが『それやろう!』と受け入れてくれました」。

大学では比較文化を専攻し、フランスへの留学も経験。国や地域ごとの文化の違いに強い興味があったという谷さん。洋服の生産や扱いについて疑問を持つようになったきっかけは、スポーツ経験者ならではの“ある心がけ”だったという。「僕は学生時代からずっとサッカーをやっていたので、試合終わりに会場やロッカールームを掃除して帰るのは当たり前のことだったんですよ。“来たときよりも美しく”ってよく言うじゃないですか。だけど、日本のチームが海外でそういう行為をするとわざわざニュースで取り上げられたりするから、『当たり前のことをやってるだけなのに…』という違和感がいつもあって。ファッションも同じで、今は『サステナブル』や『エシカル』というキーワードが注目されているけど、素材を無駄にするのをもったいないと思う気持ちや生産者に感謝する気持ちって、今に始まったことじゃないんですよ。 “服の価値”って、デザインと機能だけじゃないと思うんです。自分らしいものを着ることで幸せになれたり、それを身に着けることで誰かの役に立てたり、ストーリーを発信できる服がもっとあればいいなと思って」。

リサイクルの「BIRTH」とリデュースの「SEED」。

服づくりのベースとなる型紙をプリントすることで、“服から服へ”という世界観を表現。Tシャツを着たときに最も重さがかかる肩の位置にカバーをつけることで、着やすさも。Tシャツ 左から6,000円、4,500円。

そうして誕生した〈RE: DESCENTE〉。今年6月の初コレクションでは、「BIRTH」と「SEED」という2つのラインを発表しました。「BIRTH」は、工場で余った生地や使用後製品を再び素材化して利用するというもの。現在市場に出回っているリサイクル繊維はペットボトル由来のものが一般的ですが、実はその糸を作るために新たにペットボトルを生産している企業も存在したりと、「それって本当にエシカルなの?」と疑問視されています。〈RE:DESCENTE〉の「BIRTH」はすでに存在していたポリエステル素材を再利用することで、今ある資源を循環させる「サーキュラーエコノミー」を実現。「国内の〈DESCENTE〉店舗を利用した不要アイテムの回収も10月から開始予定です。回収と再利用をすべて自分たちでできるようになることで、子どもが着ていた服が再利用されてサッカー選手のユニフォームに生まれ変わったり、新しく購入した製品に自分がもともと着ていた服の素材が使われたり…っていう美しいストーリーが生まれたらうれしいですね」。

ブランドのコンセプトに合うよう、ベージュやカーキなどのアースカラーが基調。和紙本来の色を楽しめるホワイト(右)が人気。シャツ各16,000円。

土に分解される、地球に負荷のない素材のボタンを使用。

「エシカル」や「サステナブル」については世界中でさまざまな目線があるため、そもそも石油由来の素材を使うこと自体をタブーとする考えもあります。そこで誕生したのが、もう1つの「SEED」です。「SEED」は間伐材から生まれた和紙で作られていて、土に埋めておくと約60日で80%以上が土に分解される、生分解性にこだわったアイテム。土からできたもの(木)で作った服がもう一度土に還るというテーマにちなんで、種を意味する「SEED」と名付けられたそう。和紙は通気性と消臭性にも優れていて、30回以上洗濯してもアンモニア臭や酢酸臭を97%カットできると〈DESCENTE〉の試験機関「DISC」で検証済み。エシカルなだけでなく、機能性も文句なしのアイテムです。

通常は内側にあるポケットをあえて外側に取り付けることで、より快適な着心地を実現。“見えるポケット”がデザインのアクセントに。ライナージャケット49,000円。

ボディはもちろん、縫製の糸やボタンも土に分解できる素材を使用している「SEED」。防水加工やファスナーの部品など、まだ世界に生分解性の素材が存在しないものもあるため、タグに書かれた「SEED100」や「SEED50」の数字でそのアイテムにおける生分解性素材の割合を表しています。「『SEED』ではとにかく生分解性という点を守りたかったので、素材を新たに開発する必要がありました。バックルのプラスチックやウエストのゴムを使えないってなったら、そのかわりにパターンで着心地を実現できるようデザインを工夫したりして。今はまだ完全には達成できていませんが、ゆくゆくはすべて100%にしたいですね」。

「サステナブル」を流行ではなく当たり前に。

発売から約3ヶ月経った〈RE: DESCENTE〉は、若い男性から50〜60代の女性まで、幅広い層に支持されています。“サステナブルな服づくり”を魅力に感じて購入する人はもちろん、和紙という素材に興味を持って買っていく外国人も多いのだそう。「ターゲットはあまり決めていなくて、ブランドの想いに共感してくれる人ならどんな人でもファンになってもらいたい」と谷さんは話します。
現在は、「BIRTH」でリサイクル(廃棄物の有効利用)、「SEED」でリデュース(生産時の資源・廃棄物の発生を減少)を発信。「基本の3R」を実現するために、今後はリユース(使用済み製品や部品の再利用)をテーマにしたラインも新たに始めていきたいと考えているそう。スポーツウェアブランドならではの高機能な素材を効果的に再利用したアイテムが生まれそうです。「服って世界中で年間9,500万トン捨てられているらしいんですけど、それって1人当たり100キログラムにもなるんですよ。数年前にファストファッションが流行した時からずっと問題視されてきて、最近は世界的にサステイナブルの流れになっていますけど、まずは『気に入ったものをできるだけ長く使う』っていう心構えが大切なのかなと。〈RE: DESCENTE〉の活動についてももっと広めていきたいけど、『サステナブルがアピールポイントではなく当たり前になってもらいたい』っていうのが僕の本音なのでちょっと複雑な気持ちですね(笑)。まずはこういう服の存在を知ってもらって、そこから色々と考えてもらうきっかけになったらうれしいなって思います」。

〈RE: DESCENTE〉

〈DESCENTE BLANC〉全店、デサントオンラインストアにて販売中。
https://re.descente.com

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