災いや疫病から地域を守る神様とは?【秋田】村の入り口を守る、“わら神様”に会いに行く。
Hanako.tokyo / 2021年1月23日 15時0分
秋田県南部に位置する湯沢市。稲作が盛んなこの地域には数百年前から「鹿島様」と呼ばれる人形道祖神をお祀りする民衆文化が根付く。そこには伝統的なわら細工の意匠が息づいていた。
ルーツは東国を守護する鹿島神宮の御祭神。
秋田県の湯沢市。国道沿いや田んぼ道に、わらで作られた道祖神がぽつんと佇む。木製のお面をつけたものや顔もわら細工のもの、装飾品やデザインもさまざまで面白い。これらはすべて、この地域では鹿島様と呼ばれるものだ。村々の入り口に立ち、村境でよそから来る疫病や災いなど邪悪なものの侵入を防いでくださる守り神で、湯沢市だけでも、鹿島様は50体以上いるそうだ。中でも岩崎地区の鹿島様は、その大きさや精密な細工で、国内外の博物館に展示されるなど、日本を代表する民族文化のひとつとして注目を集める。
湯沢市に点在する、鹿島様を探して歩いてみた。
岩崎地区の国道沿いに立つ鹿島様。
小野地区三ツ村の鹿島様。
「おらほのまちっこさ遊びに来てけれ」
小野小町伝説が残る小野地区にも2体。こちらは御返事(おっぺじ)の鹿島様。わら沓(ぐつ)とわら頭巾姿の雪の精「雪ん子」には湯沢市で毎年2月開催の雪まつり「犬っこまつり」で会える。
昔は欠かせなかったわら細工の技術を 活かした鹿島様作り。
末広町の児玉東平さんに鹿島様の作り方を教えていただく。鹿島様1体につきひと束10本程度のわら束を60束以上も使うそう。
おへそと乳房になるパーツ。これは、米俵の蓋になる桟俵(さんだわら)と同じ製法。鹿島様作りを通してわら細工の技術を今に残している。
「岩崎の鹿島様は、今は1年に一度、作り替えています。頭、胸、腕、腹、足など部位ごとに作る家が決まっていて、わら細工の技術を家ごとに代々、伝承しているんです」と話すのは、末広町の町内会の石川淳司さん。岩崎地区には3体の鹿島様があり、それぞれ末広町、栄町、緑町の3つの地域で1体ずつ作る。「鹿島様は、江戸初期に秋田藩主となった佐竹氏が故郷・茨城の鹿島信仰を文化として伴ったことがその名の由来といわれています。鹿島神宮の御祭神である武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)をあらわしたものが、この鹿島様なんですよ」
鹿島様だけでなく、わら人形の道祖神は、秋田全域をはじめ青森、福島、岩手、新潟など東北を中心に幅広く分布する。古来、米作りをしてきた日本。農村で長年培われ、守られてきた伝統が生み出した、尊い神様の形なのだ。
(Hanako1192号掲載/photo : Yoichi Nagano text & edit : Kana Umehara)
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