【常温でおいしい日本酒】辛口か旨口か。論争を巻き起こすうまい酒「惣譽 特別純米酒 辛口」~『伊藤家の晩酌』第二十五夜2本目~
Hanako.tokyo / 2021年7月4日 17時50分
弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入! 酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは? 第二十五夜は、冷蔵せず、常温でおいしい日本酒をご紹介。地元で日常的に愛される栃木のお酒。
(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)
今宵2本目は、このお酒を表現する新たな言葉が必要!?「惣譽 特別純米酒 辛口」
栃木県芳賀郡にある惣譽酒造。代表銘柄「惣譽」は種類もいろいろ。こちらは特A地区の山田錦100%を使った特別純米酒。ラベルには辛口とあるが、米の旨みを存分に感じる旨口のお酒。
「惣譽 特別純米酒 辛口」720ml 1512円(税込・ひいな購入時価格)/惣譽酒造株式会社
娘・ひいな(以下、ひいな)「2本目は栃木県の『惣譽(そうほまれ)』です!」
父・徹也(以下、テツヤ)「おぉ! 聞いたことある」
ひいな「『惣譽』は、いろんな種類のお酒を出してて、この時期にはこれ、この時期にはこれ、みたいな」
テツヤ「へぇ」
ひいな「私が一番好きな季節酒は『睡蓮』っていうお酒なんだけどね」
テツヤ「『惣譽』のなかに『睡蓮』があるの?」
ひいな「そう。モネの『睡蓮』を模して、画家さんが描いたラベルがあって。でも『惣譽』と言ったら、毎日飲める日常のお酒っていうイメージが強いかな」
テツヤ「栃木では有名なお酒なの?」
ひいな「うん、有名。日本酒界でも有名」
テツヤ「こないだ、栃木へ取材に行った時、道の駅で見たよ」
なみなみとお酒を注いでもらうと、居酒屋みたいな気分に。
おっとっとっとっと……と言いながら。
酒受皿つきのグラスがほしくなりますね。
ひいな「まず、飲んでもらおうかな。この酒受皿つきの厚口グラスは、谷中の〈松野屋〉さんで買いました」
テツヤ「このグラスが家にあるってすごいよね(笑)」
ひいな「グラスからお酒があふれて、おっととっとって家でできるの楽しいね」
テツヤ「じゃ、乾杯はグラス持たずにあふれるお酒をすすろうかね」
いただきます! こんな姿勢ですいません!
父、満面の笑み。はぁ〜うまい〜。
ひいな&テツヤ「乾杯!」
テツヤ「うわ〜常温がおいしい〜!」
ひいな「おいしいね!」
テツヤ「実は、ちゃんと飲み方がわかってないんだけどさ、受け皿にあふれたお酒はどうしたらいいの?」
ひいな「グラスの底を拭き取ってからテーブルに置いて、受け皿のお酒をグラスに入れて飲むか、受け皿からそのまま飲んでもいいよ」
テツヤ「あぁ、なるほどね。一回持ち上げたグラスは受け皿に戻さないってことだな?」
ひいな「うん」
テツヤ「いやぁ、常温でもおいしい酒ってあるんだねぇ。ほんとうにおいしいよ」
ひいな「このお酒、9割は栃木県の地元で消費されてるの」
テツヤ「おぉ、そりゃすごいね。地酒だ!」
ひいな「地酒といえば『惣譽』だし、そんな『惣譽』だから気取ったワイングラスで飲むよりも、こういうほうが合うかなと思って」
テツヤ「いいね。合う合う。地元で飲まれてるお酒っていいね。実はさ、今まで栃木にあんまりイメージが湧かなかったんだけど、最近、栃木が好きなの」
ひいな「どうして?」
テツヤ「益子もあるし、黒磯もそうだし、ごはんおいしいしさ、移住してる人が多いんだよ。最近、知り合いのスタイリストさんも二拠点生活はじめたりとか、〈宗像堂〉のスタッフだった子が佐野にお店出したりとか。最近よく栃木に縁があるなと思って」
ひいな「いいね!」
「惣譽 特別純米酒 辛口」に合わせるのは、お出汁が効いた「豆腐の卵とじ」
ひいな「このお酒に合わせるものはなんでしょう?」
テツヤ「栃木だろ? う〜ん。いちごしか思い浮かばないな(笑)」
ひいな「栃木のお酒だけど、そこから一度離れて(笑)。地酒っていうイメージが強いから、派手な料理を用意してないよ」
テツヤ「山菜とか? 煮物とか?」
ひいな「お! 近い。豆腐の卵とじです!」
テツヤ「へぇ」
ひいな「豆腐をお出汁で煮て、卵でとじました」
テツヤ「お出汁のいい香り〜!」
ひいな「山椒を振って召し上がれ。ニンニクが結構効いてると思うよ」
テツヤ「あ、これは危険な味がするな。こりゃ居酒屋の味だね。家庭の味じゃないよ」
ひいな「そう?」
テツヤ「いま一番飢えてる味だね。うまっ!」
ひいな「変に気取らず、お酒に合わせてみたよ」
テツヤ「うんうん、最高」
ひいな「お酒が気取りすぎてないのに、おつまみが気取ったものだとバランスがくずれちゃうかなと思って」
テツヤ「たしかにね」
ひいな「庶民的な味というか」
テツヤ「うまいよ、これ。居酒屋のお通しで出てきたら最高だな」
ひいな「居酒屋の味に飢えてるからね(笑)」
テツヤ「おかわり!」
ひいな「常温のお酒だから、あったかいもの合わせるのいいかなと思って」
テツヤ「うん、当たりです」
日本酒の味を表現する「辛口」「甘口」から「旨口」へ。
ひいな「このお酒を選んだ理由は、常温で飲みたいお酒ってテーマを決めた時に、真っ先に『惣譽』が思い浮かんだの」
テツヤ「そういうイメージがもともとあったんだね」
ひいな「そう。『惣譽』って常温でおいしくて、かつ常温で味わいがぶわっと出てくるイメージがあったんだよね。季節酒とかはまた違うけど、通年で出してる、この『特別純米酒 辛口』とかは特に常温で飲んでほしかったから、このテーマにした時に真っ先に思い浮かんだ」
テツヤ「ほんとに常温でうまいよ、このお酒」
ひいな「このお酒をみんなどう表現してるのかなと思って、いろんなホームページを見てみたの。そしたら『旨口好きにはたまらない1本』とか、『幅のあるしっかりとした味わい』とかで、最適な表現がむずかしいなと思ったの」
テツヤ「うんうん」
ひいな「このお酒、辛口って謳ってて」
テツヤ「え、辛口なの?」
ひいな「『特別純米酒 辛口』ってラベルに書いてあるんだけどね。とあるホームページには『辛口にして辛さを感じない純米酒』って書いてあって」
テツヤ「えっ(笑)」
ひいな「『辛口にして辛さを感じない純米酒』だけど、旨口好きにはたまらなくて、幅のあるしっかりとした味わいで……。一体、どんな表現がいいのかわからなくなっちゃって」
テツヤ「日本酒度では辛口なだけで、味わいとしては辛口じゃないってことかな?」
ひいな「日本酒度は+5くらいだからそんなに辛口ではないかな」
テツヤ「日本酒度ってひと昔前は浸透してたけど、今はそんなに言わなくない? 辛口のお酒ほしいとかもう言わなくない?」
ひいな「辛口ってどういうイメージ?」
テツヤ「辛口はさ、キレがある感じ」
ひいな「そうだよね。味っていうより、キレだよね」
テツヤ「日本酒度っていうから難しいんじゃないの? キレ味の話なのか味わいの話なのかで変わってくるよね。ビールもそうじゃない? のどごしとか辛口って、つまりキレ味のことだよね」
ひいな「そうだね」
テツヤ「うーん、俺には辛口ではないかな?」
ひいな「中間じゃない?」
テツヤ「そう?」
ひいな「私的には、辛口で後味のキレはいいけれど、まったりしてる要因があるのを旨口って言ってたの」
テツヤ「納得。旨口っていい言葉だよね」
ひいな「いい言葉なんだけど、便利な言葉だなと思ってて」
テツヤ「そうだよね、かわいいとかヤバいみたいな」
ひいな「旨口以外にもうちょっと語彙力がないかなと思って。私にも世間にも」
テツヤ「なるほどねぇ。うん。やっぱり、これは辛口ではないかな」
ひいな「うん」
テツヤ「常温なんだけど、燗酒の余韻も楽しめるような」
ひいな「余韻が伸びる感じが、ね。『普段に飲むお酒のよさこそ蔵の顔である』と信じていますってホームページに書いてあったよ」
テツヤ「いい蔵だねぇ」
ひいな「ね。いいお酒だよね。『惣譽』は季節を追って飲んでほしいお酒でもあるけど、年中いつでも、常温で置いておいて飲んでほしいお酒でもあるかな」
テツヤ「晩酌にぴったりだ! 飲んべえの人ってさ、毎日当たり前にお酒飲むけど、普段あんまり飲まない人たちって、『今日飲もう!』って思って飲むらしいよ」
ひいな「え、そうなの?」
テツヤ「お酒があるから飲むんじゃなくて、飲もうと思って買ってくるんだよ! 今さら気づいたけど、俺たち飲んべえなんだね(笑)」
ひいな「今日、どんな気分?って晩酌考えるもんね」
テツヤ「飲まないってことはないもんな」
ひいな「日本酒なのか焼酎なのかワインなのか『今日はどんな気分?』から始まるもんね。『軽めにいきたいね』とか『今日は飲む気分か』とか」
テツヤ「伊藤家は、酒がないとコミュニケーションが取れないので(笑)」
ひいな「みんなそれを楽しみに家に帰ってくるからね。なんならヨガしてる時に、『今日の夜、何を飲もうかな』って考えてるからね(笑)」
テツヤ「いいんですよ、それで」
ひいな「みんなが飲めるっていいことだね」
テツヤ「家族みんなで飲めるってしあわせだね」
【ひいなのつぶやき】
あなたはこのお酒をどう表現しますか? 飲んべえの意見をお聞かせください(笑)!
ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中
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