あわやロボトミー! 銛(モリ)が脳に突き刺さったまま会話するブラジル男性、後遺症は?

ハピズム / 2013年4月30日 19時0分

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 去る4月26日、イギリスのニュースサイト「SKY NEWS」に掲載された記事によると、ブラジルの男性が、漁に使う長い槍のような形をした太い銛(モリ)を整備していた最中に、誤って自分の顔に向けて誤射するという事故が発生したそうだ。を整備していた最中に、誤って自分の顔に向けて誤射するという事故が発生したそうだ。

 しかし驚くべきことに、怪我を負ったブルーノ・カウティンホは銛が突き刺さったまま、自分で救急隊に電話し、一命を取り留めた。「彼の姿を見た人はみんな怯えたわ。あんなものは映画でしか見た事がないわ」。事故の様子を目撃した隣人は事故当時の様子をそう語っている。

 自ら119番し、病院に搬送されたブルーノは、病院でまず精密なX線検査を受け、脳の中の銛の角度や深さを測定。4時間に及ぶ手術ののち、医師は見事、彼の頭に刺さった銛を引き抜くことに成功した。搬送と検査に要した時間を含めると、ブルーノは合計10時間も頭に銛が刺さったままだった。

 執刀した医師によれば、銛は脳みそをスレスレで貫通したため、術後、ブルーノにはおそらく後遺症もないはずだという。「銛は幸運にも数ミリメートルのところで、血管や主要な器官を外していたから、無事に引き抜くことが出来たんです」と医師は語っている。当然、ブルーノは左目を失明することになったが、今後数日以内には退院できる見込みである。

 ちなみにこうした事件は実は珍しいものではなく、過去にも数多く起こっている。

■2012年のフロリダで起きた事故のケース

 たとえば2012年には、米フロリダで、誤って水中で友人が発射した銛に頭を突かれた少年がいた。

 彼の場合はブルーノよりも更にきわどい角度で、銛はほぼ真っすぐに脳を貫いたが、「奇跡的に」銛は脳の主要部分をぎりぎりで避けていたため、引き抜きに成功、後遺症もなく回復した。そのときの医師は、「彼は病院に搬送されたとき、脳に銛が刺さったままはっきりと喋ることさえ出来た」と語っている。

 もちろん、これらはとてもラッキーなケースだが、中にはもちろん脳の事故によって身体の機能を失った人々もいる。

■1848年の米ヴァーモント州で起きた事故のケース

 特に有名な事故は、1848年に米ヴァーモント州の鉄道敷設のための山岳開拓の工事現場で脳に鉄棒が刺さったフィネアス・ゲージという男性のケースがある。

 彼は事故により、脳の頂点から左アゴ下にかけて太い鉄柱が貫いたが、一命を取り留めた。しかし、事故後、記憶力や知性には何ら影響がないものの、性格が著しく変化したため、医師らは彼を精密に調査した。そしてこの事故の結果、彼が損傷した前頭葉が、人間の性格の大きな部分を司っているという科学的発見に繋がったのだった。

 しかしその科学的発見は、すなわち「前頭葉を壊せば性格を変えることができるはず」という恐ろしい仮説へと展開し、20世紀初頭に流行した精神外科手術(脳外科手術によって精神をコントロールする手術)、通称「ロボトミー」という医学史上に残る、暗黒の歴史を生んでいる。
(木林純一)

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