日銀・黒田総裁の微表情からウソを見抜けるか? AI表情認識技術の可能性を探る

HARBOR BUSINESS Online / 2017年12月8日 8時44分

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AFP=時事

 こんにちは。微表情研究者の清水建二です。

 本日は、表情認識AI技術を用いたウソ検知の可能性について考えたいと思います。私たちの表情を認識するAIの登場やその応用可能性が、昨今注目を集めています。

 この技術について私がコンサルしたり、メディアで意見を求められたり、関連記事を読む中で、「表情認識AIはいつの日か私たちのウソを見抜けるようになるのだろうか?」という疑問を多々耳・目にします。

 果たして表情認識AIは私たちの表情からウソを見抜くことができるのようになるのでしょうか?

 結論から言えば、表情認識AIが私たちのウソを直接見抜くことは難しいものの、間接的に見抜き、人間によるウソ検知調査―犯罪捜査や重要施設・空港の手荷物検査、入国審査、就職面接など―のサポートツールになるのではないか、と類推できます。

 なぜ、どのようにそう言えるのでしょうか?

◆表情認識AIを利用したウソ検知の可能性

 表情認識AIを利用したウソ検知の可能性を2つの研究から考えます。

 最初に取り上げる研究は、昨今国内のニュースでも注目を集めている日銀の黒田総裁の表情分析の研究です。この研究は、黒田総裁の記者会見の様子を表情認識AIを用いて分析し、重大な金融政策変更を行う直前の黒田総裁の顔には「怒り」と「嫌悪」表情の割合が高く、政策変更後の会見では「悲しみ」表情の割合が低下していることを発見したというものです。

 正確に言えば、この研究は黒田総裁のウソを見抜こうとする研究ではありませんが、方法論的にはウソ検知に転用可能です。

 なぜならこの研究は、黒田総裁の表情と政策に関わるこれまでの発言との相関、つまり、個人内比較を通じて、いわゆる政策発言時の表情グセを特定し得るからです。

 例えば、将来のある会見において黒田総裁が「政策変更を行わない。現状を維持する。」と発言したとします。しかしこの発言時の黒田総裁の顔にこの研究で明らかとなった「怒り」と「嫌悪」表情が同様の割合で生じれば、総裁の発言がウソである可能性にある程度の確からしさを持つことが可能となります。

◆AIが検出したデータをどう扱うかが、人間の仕事

 次に取り上げる研究は、表情だけに頼るのではなく、表情を含めたマルチ非言語チャンネルを用いてウソを推定するヴァーチャアルエージェントの研究です。

 AVATAR(アバター)と名付けられたリアルタイムで発言の真偽を査定するヴァーチャアルエージェントがあります。AVATARは悪意を持つ「旅行者」を検出するために開発されたヴァーチャアルエージェントで、高性能マイク・高解像カメラ・アイトラッキングカメラが取り付けられています。

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