「日経平均を動かせる男」が語る、2019年の相場見通しとは?

HARBOR BUSINESS Online / 2019年1月13日 8時31分

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cis氏 撮影/神保達也

 ’18年12月25日に日経平均株価は2万円を割り、26日には一時1万8000円台まで暴落をした。6年続いたアベノミクス相場は終わったのか。初の著書『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』がベストセラーとなっている、230億円稼いだ個人投資家cis氏に’19年の相場見通しをインタビューした!(取材は’18年12月17日)

◆230億円稼いだ伝説トレーダーcisが新年相場を読む!

 230億円を稼ぎ、「一人で日経平均を動かせる男」と呼ばれる個人投資家、cis氏は’18年も12億円以上の利益を上げたという。現在、cis氏の資産の内訳は、ずっと持ち続けている株が1%弱、金とプラチナが2%、不動産が10%、再保険商品が10%、外貨建て債券などが6%あり、残り約70%が現金で160億円ほど。cis氏がこれほどの資産を築き上げることができたのはなぜか。それは「上がり続ける株は上がり、下がり続ける株は下がる」という投資哲学によるところが大きい。

 実はcis氏も株を始めたばかりの頃は、1000万円ほど負け続けていた。

「上がっている銘柄を見て、『今は上がっているけど、いずれ反転して下がるはず』と考えて、空売りして失敗するということが何度もありました。上がっている株がどこまで上がり、いつ下がるかなんて誰にもわかるわけがないのに、自分の『こうあるべき』というものを優先していたのです。確かなのは『今、上がっている』という事実のみ。であれば、マーケットの潮目に沿って行動するのが一番勝つ確率が高い。だから勝手な予想はしないで、上がっているうちは持っておくという投資スタイルにたどり着きました」

 実にシンプルだが、いわゆる「順張り」がcis氏の投資スタイルの基本だという。この投資手法がピッタリ当てはまったのが、’18年、年初のオムロンだという。

 中国での省力化投資の本格化や、日本では人手不足や働き方改革による自動化のための投資が好調で、オムロンは工場の自動化のための産業用ロボットなどを作っている「FA(ファクトリーオートメーション)関連銘柄」の一角として注目されていた。実際、こうした企業の商品が売れて、業績は非常によくなっていた。

「買ったのは’18年の大発会でした。米国市場でも日本市場でも買われて大きく上がっているのを見て、安川電機やファナックといったFA関連銘柄を買い漁りました。オムロンは35億円ほど買ってから1か月弱ほど保有し、10%くらい上がったところで売って3億円ほどの利益になりましたね」

 オムロンを売ったのは、「マーケットの潮目に沿った行動を取っただけ」と振り返る。

「’18年1月下旬に安川電機の決算が発表されました。好決算だったのですが、翌日は4%も下げた。これはマーケットが求める期待値が高すぎたためで、予想外の下げ機運になった瞬間に安川電機をすべて売りました。そして、すぐにこれはほかの銘柄でも起こるだろうと考えたのです」

 そこで、決算発表前に保有するFA関連銘柄を手放すことを決意。結果的にベストなタイミングで売り抜けることができ、オムロンだけでも3億円ほどの利益になったという。cis氏の天才的トレードはこの後も続いた。

「安川電機やファナックなどは日経平均株価への影響も大きく、これまで相場を引っ張ってきたFA関連の下げは全体に影響するだろうと仮説を立てて、日経平均先物を空売りしました」

 予想通り2月は日経平均が大暴落し、含み益は一時19億円に。そのときのツイート「一撃19億」は話題となった。

 もちろん、「上がっている株を買う」だけではない。cis氏は常に「仮説」を考え、「悪材料で買って、好材料で売る」逆張りで大きな勝負をするときもある。’18年11月、ドコモが「携帯料金を最大4割下げる」と発表し、NTTドコモは15%安、親会社のNTTはストップ安となった。

「このとき、携帯事業にまだ参入していない楽天まで急落していて、『なんじゃこりゃ!』と思って買ったんです。こんなに価格競争が厳しいなら、もし楽天が『やっぱり参入をやめます』と発表したら1000円台くらいまで戻るだろうなと思って、720円あたりで150万株くらい買いましたね」

 この直後、偶然にもKDDIとの提携を発表し、「無理な値下げはしません」と公表。楽天の株価は急反発し、20%ほど上がった860円あたりで売り、2億円ほどの利益になったという。

 このように、’18年も圧倒的な利益を得たcis氏だが、’19年の相場はどのように見ているのか。

「決算自体、大して精度よく読めないのに、その先の株価を読むのは不可能だと思っています。ただ、個人的には’18年2月の暴落あたりから下げ相場入りするのではないかと思っていて、あまりポジションを取っていなかったんです。日経平均でいうとアベノミクスが始まった価格と最近の高値の中間あたり、1万7000~1万8000円まで暴落するのではないかと考えています」

◆半導体、メガバンクも弱くなる1年と予想

 そんななか、’18年12月25日には日経平均2万円割れとなり、26日には一時1万8000円台まで急落。すでに目標値近くまで暴落したが、’19年もボラティリティの高い1年になりそうだ。

「’18年は仮想通貨のマイニングで半導体関連に特需があったと思います。しかし、仮想通貨相場が崩れた今、半導体関連株は業績の伸びが見込めないため、弱くなるのではないかと見ています。個別株は流動性の問題で空売りしづらいですが、例えば東京エレクトロンとかSUMCO、東芝などでしょうか。仮に半導体関連株を買って持っていたとしても、決算のときは減らしたり、ノーポジにするかもしれません」

 もう一点、cis氏が気になっているのが、配当利回りだ。

「メガバンクの配当利回りが4%台になってきています。こんなに高い利回りは長くは続かないので、今後、利益が減るような事態が起きるのではないか……。今年1年のことなんてよくわからないですが、下がる要素は多いなと思いますね。トレードで利益を上げようと思うなら、すぐ先に見えるわずかな優位性を積み重ねる。その優位性すら1日続くかわからないというのが僕の投資スタンスですが。わかりやすく誰もが利益を出せる相場を見逃さないのが重要で、難しい相場のときに他人を出し抜いて利益を出そうとする必要はないんです。難易度の高い相場では減らさないことが重要だと思います」

 cis氏初の著書『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』で明かす「勝つ思考」を身につけ、’19年相場に臨みたい。

《cis氏の新年相場の予測》

1 日経平均は1万7000~1万8000円あたりまで暴落するかも

2 東京エレクトロン、SUMCOなどの半導体関連株は弱いかも

3 銀行株の配当利回りが4%台。利益が減る事態が起きるかも

【cis氏】

個人投資家。’00年に元手300万円で本格的に株式投資を始め、現在の資産は230億円。初の著書『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』(KADOKAWA)が10万部を突破

取材・文/横山 薫

チャート協力/楽天証券

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