統一教会創設の議員連合創設大会に国会議員63人が参加<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第6回>

HARBOR BUSINESS Online / 2019年2月24日 8時33分

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教団首脳との集合写真に納まる国会議員たち(2016.11.17. 参議院議員会館、教団内部資料より)

 2016年、2世信者組織・UNITEを使った策動が進められる中、並行して統一教会(世界平和統一家庭連合)は世界各地に議員連合組織を創設。教団と安倍政権との取引疑惑を追う筆者は、この議員連合の日本での創設大会に、閣僚を含む63人の国会議員が出席していたことを突きとめた。

 入手した内部資料から明らかとなった教団の狙いは“国家復帰”。統一教会を日本の国教にするという野望だった。

◆教団系議員連合創設式に国会議員ら100人超出席

 2016年、統一教会はフロント団体である天宙平和連合(UPF)の主導で『世界平和国会議員連合(IAPP)』なる国会議員連合組織を世界各地の大陸別、国家別に順次立ち上げた。中心となって進めたのはUPFジャパンの梶栗正義会長。教団と国際勝共連合の会長を歴任した梶栗玄太郎(2012年死去)の長男というエリート2世だ。

 IAPPは2月に韓国の大韓民国国会会館で開催した発起人大会を皮切りに、7月にキックオフとしてネパールでアジア―太平洋・オセアニア・中華圏大会、8月にブルキナファソで西アフリカ及び中央アフリカ大会、9月にイギリスの国会議事堂で欧州・中東大会、10月にはコスタリカで中米大会、パラグアイの国会議事堂で南米大会、11月上旬にはザンビアの国会議事堂で東アフリカ大会と、世界各地で創設が進められた。

 日本でも同年11月17日、参議院議員会館特別会議室で同議員連合の創設大会『ILC(国際指導者会議)-JAPAN2016』が開かれた。教団内部の情報筋によると、この大会に閣僚(当時)5人を含む国会議員63名が参加。ほとんどが自民党議員で、代理出席の議員秘書を含めると総勢100人以上が出席したという。教団サイドからは文鮮明・韓鶴子夫妻の五女で宗教部門の後継者である文善進世界会長を始め教団の徳野英治会長、勝共連合の太田洪量会長、UPF-JAPANの梶栗会長ら首脳が参加した。入手した大会写真には、自民党の中川雅治、高木宏壽、御法川信英、竹本直一、そして民進党(当時)の鈴木克昌(2018年引退、現自由党顧問)ら恥ずべき日本の国会議員の姿が確認できる。

 議員会館会議室は国会議員の申請がないと使用できない。ましてや特別会議室となれば尚更である。教団に便宜を図った議員がいたということだ。

 前稿で記した同年6月に首相官邸で行われた安倍首相と教団首脳との密談では、この『ILC-JAPAN 2016 』への国会議員派遣も話し合われたとみられる。

 12月1日、教団は米ワシントンDCの上院議員会館で北米大陸の世界平和国会議員連合創設大会を開催、米上院と下院の議員80人と全世界52か国から現職の国会議員63人が参加した。同大会では韓鶴子総裁が基調講演を行ない、トランプ政権の上位閣僚だった共和党重鎮のオリン・ハッチ上院仮議長(当時、2018.1引退)が挨拶している。

 そして翌2017年2月には、韓国ソウルの大韓民国国会会館とロッテホテルにおいて韓国の現職国会議員12名を含む世界各大陸40か国の国会議員150人が参加し、IAPPの世界総会を開催した。この総会には日本の国会議員4名と元防衛庁長官が出席。4人の国会議員が現地で韓鶴子総裁から授かった“ミッション”については本記事の後半に記す。

◆安倍・トランプ会談手配の「見返り」か?

 ここで別の視点を検証する。ILC-JAPANへの自民党国会議員大量派遣の翌日に行われた「安倍・トランプ会談」との関連だ。

 2016年11月18日、NYトランプタワーで、安倍晋三と大統領選で勝利したばかりのドナルド・トランプの会談が行われた。この会談の内幕を暴く記事が『新潮45』2017年2月号に掲載された。執筆はジャーナリストの時任謙作。『安倍・トランプ会談を実現させた「カルト宗教人脈」』と題した記事の内容は、ヒラリー・クリントンの当選を確実視しトランプへのルートを持っていなかった官邸サイドが、統一教会の人脈を使って会談に漕ぎつげたとするものだった。

「ルートがなかったはずのトランプ氏と当選直後に会談できたのは、霊感商法や合同結婚式で知られる韓国系新興宗教のおかげだった」との副題が付けられた同記事によると、安倍・トランプ会談は以下の経緯で実現したという。

・米大統領選で日本の外務省や官邸ブレーンがヒラリー・クリントンの勝利を予想し、トランプ陣営へのアプローチの準備を全くしていなかったことに安倍首相が激怒

・米共和党と親密な統一教会・勝共連合がトランプとのホットラインを持っていることを知る安倍の側近議員の進言で、安倍が勝共連合の重鎮に電話をかけトランプ陣営への取次ぎを依頼

・統一教会の韓鶴子総裁を経由してトランプの娘婿に繋がり、安倍・トランプの電話会談が行われ、NYトランプタワーでの直接会談が決まる

 記事には、トランプとの外交ルートを持っていなかった外務省の幹部が、この統一教会人脈を「不愉快な非公開ルート」と評していたことも記述されている。時任の書いた内容が事実だとすると、安倍・トランプ会談のお膳立ては、全て統一教会の人脈によって取り図られたことになる。

 ただし、この記事については掲載直後から内容を否定する声が上がり、永田町では「ガセネタ」説も飛び交った。国際勝共連合も「事実無根のねつ造記事である」として新潮社に抗議、謝罪記事の掲載を要求した。

 同記事は、岸信介の代から安倍晋三へ連綿と受け継がれた統一教会・勝共連合との関係にも触れている。その中では、筆者がそれまでにスクープとして報じた一連の記事の内容、北村経夫への組織票依頼や教団名称変更、安倍側近の同教団詣で、トランプの次男と文鮮明の四男・七男との関係などについても言及している。

 筆者は、ILC-JAPAN2016に63人もの国会議員が参加したことは、安倍・トランプ会談実現のバーターだったのではないかと見ている。というのも近年、自民党の国会議員が統一教会系のイベントに出席することがあっても、その人数はせいぜい数名にとどまっており、これほど多くの国会議員が一度に参加したことはなかったからだ。なぜこのタイミングで開かれた世界平和国会議員連合の日本の創設式典に、現役閣僚を含む自民党国会議員が大挙して参加したのか。その答えは、安倍・トランプ会談実現の見返りや交換条件だったと捉えた方が理に適っている。

教団2世組織UNITEを使った策動も関連付けられる。いずれにしても、教団サイドと政権の癒着・緊密関係がILC-JAPANへの国会議員大量出席に繋がったことは間違いない。

◆トランプ親族を取り巻く教団主流派と分派の鬩ぎ合い

 オリン・ハッチなど従来の共和党人脈に加えトランプの長女イバンカの夫クシュナーを押さえているのが教団主流派の韓鶴子だ。それに対しトランプの次男エリックと親しい関係にあるのが分派のサンクチュアリ教会を率いる七男・文亨進と亨進を経済的に支援する四男・文國進である。2017年の4月と8月に行われた文亨進の説教によると、2012年、第二次安倍政権誕生前の安倍晋三と文國進が会っていたという。

 放擲された息子たちと母親との間にある対立構造は、トランプ陣営のパワーバランスにおいても鬩ぎ合いを見せている。この時点では、安倍・トランプ会談を実現させた韓鶴子派が、安倍政権への貢献度では点数を稼いだことになる。

◆「統一教会を日本の国教に」内部資料から読み解く“国家復帰”計画

 話を世界平和国会議員連合に戻す。表向きには「平和運動」とされているこの議員連合を、統一教会が世界各地で設立する目的は何か。

 ここに筆者が入手した教団内部資料がある。そこには「“国家復帰”戦略」として、2020年までに世界の7か国で統一教会をその国の宗教、つまり国教とするための途方もない計画が詳らかにされていた。

 資料を読み解いてみよう。

 “国家復帰”とは「真の父母様の主権によって国家を動かすことのできるすべての基盤の造成」となっている。そして「人類の使命は真の父母様の民となることです。ですから国家復帰が重要です」とあるように、人類は統一教会の教祖夫妻に侍る存在とされている。

さらに「10の大陸から21の特別戦略国家候補選定」として、韓鶴子の言葉が引用され「私がこの地上にいる間にしなければなりません。2020年までに戦略国家と摂理国家のすべてが国家復帰できれば良いのですが、少なくとも7か国以上は必ず国家復帰をしなければなりません」と記述されている。

 資料には「国家復帰の対象国として7か国を選定、戦略国家 摂理国家」とある。7か国の中には日本も入っており、政権と緊密な関係にある日本は格好の“国家復帰”の舞台ということだ。

 但し、日本において特定の宗教・宗派を国教として特権を与え国民に信奉させることは日本国憲法によって禁じられており、憲法を改正しない限り特定の宗教が日本の国教になることはありえない。

 そのような“事情”を考慮せず日本の“国家復帰”を命じる韓鶴子総裁。そんな教団最高権力者の指令に報いる現実的な“日本の国家復帰”への道程として考えられるのは、政権の庇護の下で組織の体制保護と勢力拡大を図りつつ、個別の国会議員に原理教育を施して取り込み、最終的には国の指導者を“真の父母”の主管の下に置くという流れだ。

 入手した内部資料写真には勝共連合の大田会長が国会議員に「原理教育」講義を行うものもあった。

「“国家復帰”戦略」の内容を見ると『伝道を通じた国家復帰』「特別戦略国家復帰」の欄に「Targetターゲット:7か国以上の国家復帰」の「Issue(3)」として「共同プロジェクト連帯実行」とある。この「共同プロジェクト」こそが教団と安倍政権による一連の策動を指し示しているのでないか。

 2017年2月、世界平和国会議員連合の総会で韓鶴子総裁は壇上から各国の国会議員に対してこう呼びかけた。

「それぞれ自分の国の氏族メシヤになってください。皆さんの国の国民を救って生かす、実質的な真の父母様の教えを教育する、誇らしい国家メシアになることを祝願いたします」

「○○メシア」とは教団用語で「○○を伝道する者」という意味だ。総会に出席した4人の日本の国会議員は韓鶴子から直接“国家復帰”のミッションを託され、その任務を担っていたのだ。

では、教団最高権力者から直々に“国家復帰”を託された4人の国会議員は誰だったのか。最新の調査によって4人全員の名が判明した。その中には国防に関わる政治家も含まれている。詳細は次稿で明らかにする。

◆インドと中国も“国家復帰”対象国

 韓鶴子総裁は2014年5月の大陸会長会議の場で、インドと中国を“国家復帰”するよう指令を出している。実際に中国には国の指導者を宣教するための特務部署が日本から派遣されており、大都市圏で学習塾や現地環境会社を経営しながら現地で工作を行っている。

 日本国内にはこの「中国摂理」を支える機関として中華街の店舗、留学生支援組織、ビルメン会社などがあり資金を捻出、東京渋谷の雑居ビルに居を構えるダミー会社が天心教会として中国宣教摂理の事務局となっている。

 世界平和国会議員連合創設以前から、教団の狙いは世界各国で統一教会を国教にすることにあった。

◆1万人信者集会で来賓挨拶、教団の引率で外遊した議員団も発覚

 2016年12月、韓鶴子総裁は各都道府県で1万人の信者数を達成した都道府県に赴きフェスティバルを開催するとして、“国家復帰”のために伝道を強化するよう指令を出した。

 翌17年5月、東京有明コロシアムで開かれた最初の1万人集会に来賓として参加した自民党国会議員は、党を代表して教団幹部に感謝の言葉を述べた。

 また、同時期に訪日した教団の北米会長一行が自民党本部や首相官邸に招かれていたことも発覚。同年夏には教団の引率でアメリカを外遊した国会議員団の存在も明らかとなった。

 次稿では、これらの恥ずべき政治家の名を具体的に挙げ、そのような人物へ党人事や組閣において要職が与えられた疑惑を検証する。

<鈴木エイト(やや日刊カルト新聞主筆)・Twitter ID:@cult_and_fraud>

すずきえいと●滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表~主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教と政治というテーマのほかに宗教2世問題や反ワクチン問題を取材しトークイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)

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