「麺を音を立てて啜ること」について色んな国の人に聞いてみた

HARBOR BUSINESS Online / 2019年5月10日 8時32分

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幸せ侍 / PIXTA(ピクスタ)

◆「麺を啜る音」の是非が再びネットで話題に

 2016年の秋にもSNSで話題になった「ヌードルハラスメント(ヌーハラ)」(日本人が麺を“ズルズル”とすする音が外国人には不快だ、というもの)。

 似たような話題が今年5月の連休中、再び話題になった。

 あるTwitterユーザーが「音ハラ(前出ヌーハラと同じようなニュアンス)」について報じているTV番組で、フランス人観光客が「僕の隣でそばをすすって食べられるとイライラする」とコメントしている場面のキャプチャを貼って、「私もフランスから日本に帰ってきたとき感じた」「最近の若い女性は啜る人がほとんどいないと思う 食文化も変容していけばいいね」とツイートした。

 すると、このツイートは大きな反響を呼び、2019年5月9日時点(ツイートから5日目)で1万3069件のリツイート、1万4974件の「いいね」が付けられ、5335件のレスが付くほどバズったのであった。

◆日本に帰化したスウェーデン人庭師も反論

 反響の多くは、「その土地の文化や風習に合わせるのが観光客の嗜み」、「なぜ日本料理にフランスのマナーを取り入れるの?」と言った声が中心。中にはフランス大統領選前のフランスの様子を報じたニュース番組で反移民的なコメントをしているフランス人男性(前出の番組キャプとは違う男性)の「外からやってきてこの国が嫌いだというなら 帰ればいいんだよ」というキャプチャ画像を貼って皮肉るユーザーもいた。

 中でも注目を集めたのは、日本に帰化したスウェーデン人庭師、村雨辰剛さんのツイート。

 きっかけとなったツイートを引用リツイートした上で「変容しなくていい」としたツイートは5月9日時点で4万8024リツイート、13万8155「いいね」が付き、674のコメントが付くほど拡散した。

 定期的に話題になる「日本人が麺をすするときの音」問題だが、いまや外国人が増え、インバウンド隆盛の日本で、たくさんいる外国人は本当にそんなに不快な思いをしているのだろうか?

◆中国人「こうして食べたほうが美味しいと思えるようになってきた」

 まずは中国人。麺類の多さで言えばダントツに多い中国だが、中国でも麺を音を立てて啜ることはしない。来日6年めの中国人女性はこう語る。

「中国では麺類もいろいろな形のがありますし、細い日本のラーメンに近い麺でもレンゲに載せて口に入れて噛み切ってました。だから、最初日本に来たときは、不快ではないけどびっくりしました。でもだんだん、日本そばやラーメンはこうして食べたほうが美味しいの感じしてきました」

 中国地方菜に詳しく、中国人の友人も多い、本サイトにも寄稿している愛吃(アイチー)さんもこう語る。

「中国の人にとっては、日本のラーメンが人気で日本の麺の食べ方に触れることが増えたのか、嫌悪感よりも『そういう風に食べるんだね』と受け容れている印象の方が強いそうです。なんでも中国では日本式ラーメンを音を立てて啜りながら食べることについて、”『口へ運ぶのに熱さを和らげる』効果と『美味しさの表現』といった意味がある”という説まで広がっているんだとか。ちなみに、つい先日ラーメン店で向かいの席に座った中国人留学生(なぜわかったかというと替え玉学割があって学生証を机上に置いていた)は、すっかり習慣づいたのか、しっかりすすっていました」

◆サムソンでは「音立て食い禁止」の社内規定はあるが

 韓国はインスタントラーメンも種類が豊富で、冷麺などの麺食文化もある。日本に近い感じなのかと思いきや……。

「韓国はたべる時に音を出さないのが礼儀だと子供の頃から教わります。なので、私は今でも日本でラーメンたべる時には音を出しません。でも、日本は日本の文化だし、確かに音を立てて食べると美味しそうに食べるなとは思います」(来日4年目の韓国人女性)

「わりと啜って食べている人もいますが、基本的には行儀が悪いものだということになっています。2014年にはサムスンが社内規定で”麺食を食べる際に音をたてること”を禁じたなんていうニュースも出てました。ただ、日本に来て日本そばを食べるときなどは、それが日本の食文化だし、不快だとは思いません」(来日3年目の韓国人男性)

 と、礼儀として子供の頃に教わるがこちらも中国人同様、「そういうもんだ」という認識を持っているようだ。

 では、東南アジアはどうだろう? タイも麺類は豊富だ。奥さんもタイ人である本サイト寄稿中のライター、高田胤臣氏はこう語る。

「タイも音を立てて啜らないです。日本人の若い人はタイのマナー通りに啜らないで食べますけど、特に日本人のおじさんは屋台でも音を立てるので、周りは引きます。うちの家内も、ボクの父親と麺屋台行って引いてました。ただ、ネットでバズっていたケースみたいに嫌悪感というほど嫌がる人はいません。なにこの人、くらいの見方です。この前ベトナム行きましたが、ここでも音を立てる人はいないですね」

◆「内心は不快だが文句は言わない」西洋勢

 西洋勢はどうだろうか?

 旅好きでいろいろな場所でさまざまなものを食べてきたというアメリカ人男性はこう語る。

「啜る音は気にならないけど、それは自分がグルメ好きで日本以外でもいろいろな料理を食べてきたからかもしれない。例えば、東南アジアでは田舎の村に招待されて、殺したばかりの豚をご馳走になったことがある。自分は普段、肉を食べないけど、そうやって相手が善意でくれようとするものや、地元の文化に根ざしたものを断るのは難しい。どう思うかは本人次第だけど、そもそもそういう文化だって知っておくべきだし、相手に押し付けるべきじゃないと思う」

 ただ、やはりネガティブな印象を受ける人もいる。

 ノルウェー人の女性は、「正直、気分はよくない。熱くて食べられないなら、待つなり息を吹きかければいいと思う。ただ、これも日本の文化なので、文句は言わない。できることならやめてほしいけど(笑)」といい、ポーランド人の女性も「あまり食欲をそそるものじゃないと思う。日本人に聞くと逆にすすってる音が食欲を掻き立てるって人もいるけど、まさに文化の違いだと思う」と否定的。

 ただ、ポーランド人女性は次のようにも続けている。

「でも、日本人がラーメンや日本そばをそうやって食べるってことはかなり知られてるから、心の中では不快に思っても、相手から聞かれない限り我慢する人がほとんどだと思う。今回のテレビでどうこうも聞かれたからそう答えただけなんじゃないの?」

 そう、いまや日本に来る外国人も、海外に行く日本人も相手国の事情や文化などはネットで簡単に調べられる。「そういうものだ」というのは意外と知られているのである。

 逆に言えば、外国人は麺を啜るのは不快に思うということは、日本人にとっても結構知られた事実だろう。

 わざわざネガティブな声を取り上げて過剰に反応したりするより、お互いが「文化の差異」によってそのように感じていることを理解しながら、暗黙のうちに配慮すればいいだけの話しなのではないだろうか。

<文/太平梵骨>

たいへいぼんこつ●武蔵野市の某私大在学中に渡米。南カリフォルニア大学の「外国人のための英語」コース履修だけで政治学科2年間留学と詐称しようかと思ったが断念。帰国後、大学を中退し、風俗雑誌編集を経て現在は別名義でライター業など。興味分野は街場の風俗から陰謀論やオカルト 

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