イクメンが見た桜田元大臣「子供3人」発言。政治家なら「子育てに前向きになれる」環境づくりを

HARBOR BUSINESS Online / 2019年6月1日 8時31分

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衆議院インターネット審議中継より 3月13日文部科学委員会で

 度重なる失言で、オリンピック・パラリンピック担当大臣を辞任した自民党の桜田義孝議員が、再び舌禍を招いている。

 桜田氏は5月29日夜、同党参院議員のパーティーに出席し、

「結婚しなくていいという女の人が増えている」

「お子さん、お孫さんには子どもを最低3人くらい産むようにお願いしてもらいたい」

 などと発言。ニュースで報じられるやいなや、議員からはもちろん、ネットでも批判が続出した。

◆少子化は「産まない女性の責任」ではない

 ネットでは、「産みたくなる環境を先につくるべき」「子どもを産んでも保育園には入れず、その後の生活に困ってしまう」「子どもは産んで終わりじゃない。育てないといけないことをわかっているのか」など、怒りに満ちたコメントが相次いだ。

 議員からはも批判の声が上がった。立憲民主党の蓮舫議員はツイッターで、

「無邪気なまでの発想発言なのかもしれないが、この男性の意識がどれだけ女性を追い詰めてきたのかを桜田前大臣は知るべきだ」

と痛烈に批判。共同通信によると、国民民主党の原口一博議員も「人権感覚が欠如している」と断じたという。

 その後桜田氏は発言を撤回し、「子どもを安心して産んで、育てやすい環境整備が重要だと思っている。その思いからの発言だった。誰かを傷付けたりする意図はなかった」と釈明をした。

◆子どもを持つかどうかは個人の自由

 釈明の通り、桜田氏本人に悪意はなかったと思う。「少子化をどうにかしたい」との気持ちはあったはずだ。少子化を食い止めるには、子どもが増えなければいけない。

 しかし、子どもが少ない現状を「女性のせいだ」と言わんばかりの発言は、女性に責任転嫁しているととらえられても仕方ない。桜田氏の中に、「女性がもっと子どもを産んでくれたらいいのに」との思い込みがあったはずだ。

 そもそも、子どもを持つか持たないかは、個人の自由だ。にもかかわらず「3人産んで」と生き方を押し付けるような言い方にも、不快感を抱いてしまう。

 桜田さんに悪意がなくても、一度発せられた言葉は人を傷つけることだってあるのだ。

◆子どもを持てない現状を見てほしい

 政治を司る立場にある人としては、子育てをめぐる状況の認識が不足しているのでは、と感じた。認識が足りなすぎると感じた。

 国立社会保障・人口問題研究所が2015年に行った「第15回出生動向基本調査」によると、子どもを持たない理由のトップは「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」なのだ。

 住んでいる地域や子どもを通学させる教育機関によって変動するが、子どもひとりを成人させるまでに必要なお金は、約3000万円と言われる。

 しかもつい先日、政府が「公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある」との理由で、老後の生活資金を自分で蓄えてほしいと呼びかけたばかり。この状況で、子どもを3人も産もうとは思えないだろう。

 現在子どもがいる親の状況も厳しい。都心部を中心に、預けたくても受け皿がない待機児童問題が深刻化している。復職を希望しても、保育園が見つからず退職を余儀なくされる親もいる。

◆夫が家事と育児に関わる世帯ほど第二子が生まれやすい

「子どもを産んで」と言うのではなく、「子どもを産みたい」「子育てをしたい」と思える環境整備が必要だと思う。

 今月23日には、男性の育児休業義務化を推進する議員連盟が発足し、話題を集めている。「義務化はやりすぎでは」と是非は問われているものの、男性がもっと家事や育児に当たり前のように関わるようになれば、女性の負担は軽くなることは間違いない。長時間労働のため夫は家を空けてばかりで、妻が子育てを一手に担う状況では、「もっと産みたい」とは思いにくい。

 実際、夫が家事と育児に関わる世帯ほど、第二子が産まれるとの調査結果もある。内閣府の調査によると、諸外国と比べると、日本の男性が育児にかける時間は突出して少ない。

「女性は子どもを産んでほしい」と言うのではなく、保育園や学童といった預け先の問題解消や男性が育児をしやすい環境整備など、国民が「子どもを持つ選択をしやすい」と思える社会に向けた制度設計を考えてほしいと思っている。

<文/薗部雄一>

1歳の男の子を持つパパライター。妻の産後うつをきっかけに働き方を見直し、子育てや働き方をテーマにした記事を多数書いている。

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