セブン24時間営業強要に抗議続けるユニオン副委員長が逮捕後即釈放。組合潰しか?

HARBOR BUSINESS Online / 2019年6月5日 8時31分

写真

セブン-イレブンの現役社員でもある河野さん。彼が代表を務めるコンビニ関連ユニオンが呼びかけた<a href=”https://www.change.org/p/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%93%E3%83%8B%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AB%E3%82%82%E3%82%86%E3%81%A3%E3%81%8F%E3%82%8A%E4%BC%91%E3%82%81%E3%82%8B%E5%A4%9C%E3%82%92%E3%81%82%E3%81%92%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84?recruiter=955327328&utm_source=share_petition&utm_medium=twitter&utm_campaign=share_petition&utm_term=psf_combo_share_initial&recruited_by_id=676fab50-69a6-11e9-918f-114e62864d5f” target=”_blank”>Change.org</a>のページは9326人が賛同していた。

 長野県内で活動する千曲(ちくま)ユニオンの河野正史副委員長が5月27日、信州大学への建造物侵入の容疑で逮捕された。河野さんは、セブン‐イレブン・ジャパンの社員でありながら、同社が加盟店に24時間営業を強要することを批判してきた人物。6月9日に結成される予定の「コンビニ関連ユニオン」の委員長にも就任する予定だった。

 警察発表によれば、昨年末に信州大教育学部の施設内に、大学の許可を得ず侵入した何者かが中核派の機関紙「前進」を置いて配布したり張り出したとされ、その容疑で逮捕されたという。しかし、河野さんは黙秘し、関係者には「12月20日には信州大教育学部には行っていない」と主張していた。

 結果、翌28日には保釈されたものの、セブン&アイ・ホールディングスの株主総会当日であり、コンビニ関連ユニオン結成直前のタイミングで河野さんに逮捕状が出たことから、関係者らは「不当逮捕」だと憤っている。

◆記者会見から4日後の逮捕 容疑は昨年12月の建造物侵入

 5月23日、セブン&アイ・ホールディングスの株主総会が開催された。総会後、コンビニ関連ユニオンの準備委員会と千曲ユニオン、群馬合同労働組合のメンバーらは記者会見を実施。24時間営業を続けるかどうか加盟店のオーナーが選べるようにしてほしいと要求した。

 また、セブンイレブンの日である7月11日に、営業時間を短縮するストライキを実施しようと全国のオーナーらに呼び掛ける方針だと発表した。

 記者会見から4日後の27日、河野さんは信州大学への建造物侵入の容疑で逮捕された。昨年12月20日に同大教育学部のキャンパスに立ち入ったことが問題になったという。

 同大は、許可を受けずに掲示することを認めておらず、警察に被害届を出していた。しかしキャンパス自体は、学生以外も出入りが自由となっている。群馬合同労働組合の清水彰二委員長は「建造物侵入には当たらない。不当逮捕だ」と話す。

 千曲ユニオンは5月30日に逮捕を批判する声明を発表。同社の社外取締役である米村敏朗・元警視総監が関与しているのではないかと推測している。大学から被害届が出されていたのは昨年12月にもかかわらず、逮捕状が発行されたのは株主総会当日。河野さんの活動を妨害するために、逮捕したのではないかということだ。

◆「24時間営業をするかどうか選べるようにしてほしい」

 コンビニ関連ユニオンは6月9日に結成予定。セブン-イレブン・ジャパンに抗議を続けてきた千曲ユニオンや群馬合同労働組合らのメンバーが中心になるという。本社の社員と加盟店オーナー、店舗のアルバイトだけでなく、配送ドライバーや工場の従業員も加入できるような組合を目指す。

 本社に求めるのは、やはり24時間営業の見直しだ。深夜にアルバイトを一人しか配置しないと、適切に休憩時間が取れずに違法となる。そのため、加盟店のオーナー自らが店舗に立つことも多い。オーナーは、雇われて働く労働者に当たらないため、労基法が適用されないからだ。

 日中もアルバイトの穴を埋めながら、深夜の勤務を続ければ、体を壊してしまうであろうことは想像に難くない。清水さんは「24時間営業を押し付けるのをやめて、オーナーが選択できるようにしてほしい」と訴える。

◆営業時間を短縮する場合はチャージの割合が増える

 24時間営業の強要は、東大阪市のオーナー松本実敏さんが本部と対立したことがきっかけで大きな社会問題になった。松本さんが人手不足から今年2月に19時間営業に踏み切ったところ、本部からは、24時間営業に戻さない限り、違約金1700万円を請求し、契約を解除すると通告されたという。

 松本さんの訴えが報じられると、セブン-イレブン・ジャパンを批判する世論が盛り上がった。これを受けて同社は、3月から直営店で営業時間を短縮する実験を実施。立地や店舗の状況に応じて、24時間営業を見直すと発表した。

 しかし清水さんによると、営業時間を短縮すると本社に支払う“チャージ”の割合が増えるという。加盟店は、発注した金額のうち最大で7~8割近くをチャージとして本部に納めなければならない。チャージの割合は店舗の種類や売り上げによっても異なってくるが、時短営業だと2%増加するという。

◆見切り販売の制限がオーナーの負担に

 加えて、本部には見切り販売を認めるよう求めている。

 現在、消費期限が近づいた商品を値引きして販売することは「実質、認められていない」と清水委員長は指摘する。商品が売れ残れば、その商品を仕入れた金額が全てオーナーの負担となる。値引きをしても売りたいと考えるのは当然だ。

 公正取引員会は2009年、加盟店が値引き販売をすることセブン‐イレブン・ジャパンが制限しているのは、独占禁止法違反に当たるとした。しかしその後も制限が続けられたとして、オーナーら4人が損害賠償を請求。2013年8月には、同社が敗訴している。

 それにもかかわらず、相変わらず制限が続いているのが現状だという。清水さんによると、「本部社員からの指導があり、オーナーは見切り販売をしづらいのが現状」だという。

「しかし東大阪の松本さんの店舗では、時短に踏み切ると同時に見切り販売を始めたところ、利益が上がっています。他のオーナーにも認めるべきでしょう」

◆露骨な組合潰しか?

 千曲ユニオンや群馬合同労組がこうした問題に取り組むなかでの、河野さんの逮捕。清水さんは、逮捕についてこう話す。

「オーナーがいかに大変かということが周知され、本部への批判が高まってきました。世論も味方になっている今、私たちが結集して仕組みを変えていこうとすれば、本部は追い詰められるはず。私たちの邪魔をしたかった人たちがいたのではないかと推測しています。

 河野さんが信州大学に立ち入ったことは確かですが、拘留されることも起訴されることもなく、翌日には釈放されています。まさにこのことが今回の逮捕が不当なものであったことを示しているのではないでしょうか」

 また清水さんは、逮捕が組合活動に悪影響を及ぼすと危惧する。

「私たちと一緒に活動すると、逮捕される危険があるのではないかと感じてしまう人が出てくるかもしれません。また一般の人々に対して、コンビニ関連ユニオンは逮捕者を出すような危険な組織だという誤ったイメージを植え付けることにもなりかねません」

 なお、コンビニ関連ユニオンの結成大会は予定通り6月9日に実施されるという。

<取材・文/HBO取材班>

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング