モラハラ夫は子供の心理発達に悪影響。それでも面会を強要する家裁<モラ夫バスターな日々21>

HARBOR BUSINESS Online / 2019年7月23日 8時32分

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<まんが/榎本まみ>

Contents1 弁護士・大貫憲介の「モラ夫バスターな日々<21>2 面前でモラハラを見せられトラウマを負う子どもたち3 モラハラ元夫との面会を強要する家裁調査官4 家裁はモラ夫の有害性を認識していない

◆弁護士・大貫憲介の「モラ夫バスターな日々<21>

 離婚調停の席上、家裁での試行的面接交流の実施について問われ、妻は、「子どもが彼を嫌がっているので無理です」と述べた。それに対し、家裁調査官は、

「騙して連れて来ればいい」

と述べた。私は、耳を疑い、「騙して、ですか?」と訊いた。

 すると、男性調停員は、「(連れてきた後は)任せて下さい。私たちは、専門家ですから」と述べた。

 私は、驚きの余り、言葉を失った。この方たちは、何の専門家か。まさか、騙して連れてきて面会させる専門家ではないだろう。

 試行的面会交流:同居親が面会交流に疑問を持った場合などに、家庭裁判所にて試験的に行う面会交流。主に、面会に反対する同居親の説得ために実施される。

◆面前でモラハラを見せられトラウマを負う子どもたち

 一般的に、子の面前で妻に対するモラ(面前モラ)が繰り返されると、子は、トラウマを負い、父に対する恐怖心をもつ。この恐怖心は、同居時には封印されていることが多い。子は、別居して、「安全な」環境になると、父に対する恐怖心を語り始める。

 考えてみて欲しい。大人でさえ、同僚が上司から叱責されるだけでもトラウマを負うことがある。

(参照:MSDマニュアル家庭版)

 同僚が上司のパワハラを受け続け、うつ症状になり、法律相談に来る事例は、決して稀ではない。同僚へのパワハラが続き、退職する事例も多い。大人であっても、身近な者が叱責を受ければトラウマを負うのである。

 幼い子にとって、父親は、「社員にとっての上司」以上に絶対的存在であり、成人男性の叱責は恐怖の対象でしかないだろう。

 しかも、叱責されているのが子の強い愛着対象である母親であれば、子は、より一層傷つく。面前モラがあると、子が泣き叫んだり、父親を止めに入ったりすることがある。さらに繰り返されると、子は、無表情で何もなかったように振る舞う。ここまで来ると、事態は深刻である。

 小児精神科医の友田明美氏は、面前DV・モラにより、子の脳が損傷し、視覚野が萎縮すると警告している。(参考)

◆モラハラ元夫との面会を強要する家裁調査官

 ところが、家裁は、夫婦の問題と親子の問題は別の問題として、面前DV・モラの事例でも、強力に面会交流を推進する。弁護士が、友田医師の論文を提出しても、家裁は、頑強に見解を変えず、別居後の母親に対して、面会交流の実施を執拗に迫る。

 面前DV・モラがあった事例で、妻が面会を拒否した事案につき、家裁調査官による妻の意向調査が行われた。面会交流実施に向けた圧迫面接である。私が代理人として、面前DV・モラで子が傷ついていることを説明したところ、調査官は、「センセイも、家裁の方針はご存知ですよね」と述べた。

 子の精神状態を確認するため、私は、この1か月間に限っても、数人の精神科医、臨床心理士から話を聞いている。精神科医、臨床心理士らは、一様に、最近の家裁の面会原理主義(事案内容を問わず、面会を強要する姿勢)に憤り、心配している。

 ある臨床心理士は、彼の詳細で専門的な意見(子が父の面前モラによるPTSDであり面会は有害である)が家裁に無視されたことに驚き、憤慨していた。

 面前DV・モラは、心身の成長を阻害する。発達障害や引きこもりを引き起こすことも少なくない。子の一生を左右するのである。他方、防御機能からか、モラ夫に同調し、母をディスり、暴力を振るうミニモラ息子、ミニモラ娘もいる。

 そして、脳に損傷を起こすのは、子だけではない。多くの被害妻たちは、被害を受けていた当時のことをよく思い出せない。別居してからも記憶力の減退が続く。視覚野が萎縮していることが強く疑われるのである。ある妻は、記憶力の減退に疑問を持ち、実際に検査したところ、脳と頭蓋骨に隙間(=脳萎縮)が発見された。

◆家裁はモラ夫の有害性を認識していない

 家裁の面会原理主義におされ、別居、離婚後に面会交流を実施している被害妻は多い。父に対して、恐怖を抱く子どもたちは、

 「どうしてもパパと会わなきゃダメなの」と抵抗する。家裁の命令がある以上、被害妻に選択肢はない。

 「ママが一緒でなければ嫌」と子に言われ、モラ夫への恐怖を押し殺して、面会に同席する被害妻もいる。

 冒頭の事例は、その後、間接的面会交流(実際の面会を行わない、手紙や成長記録の報告、スカイプなどによる面会)を行うことで決着した。しかし、1年以内に直接的面会交流を行う旨の調停条項を呑まされた。

 家裁は、モラの猛毒を軽視している。家裁の意識改革が是非とも必要である。

【大貫憲介】

弁護士、東京第二弁護士会所属。92年、さつき法律事務所を設立。離婚、相続、ハーグ条約、入管/ビザ、外国人案件等などを主に扱う。著書に『入管実務マニュアル』(現代人文社)、『国際結婚マニュアルQ&A』(海風書房)、『アフガニスタンから来たモハメッド君のおはなし~モハメッド君を助けよう~』(つげ書房)。ツイッター(@SatsukiLaw)にてモラ夫の実態を公開中

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