野外フェス、キャンプのゴミ問題。「ゴミ持ち帰り」は日常をも変える

HARBOR BUSINESS Online / 2019年7月26日 15時31分

写真

<編集部撮影>

 野外音楽フェスティバル(以下、野外フェス)の季節がいよいよはじまります。また、近年はグランピングをはじめ、ソロ・キャンプ、グルメ・キャンプをする人も増えていて、それぞれのやり方で、この夏から秋にかけてアウトドアを楽しむ人が大勢いると思います。そういう時期ということで、アウトドア・ライターの立場から、野外フェスやキャンプでのマナーや注意点について書いてみます。

Contents1 基本中の基本をおさらい2 大量のキャンプ用品がゴミの山に3 登山では常識のゴミ持ち帰り4 ゴミを減らすコツは?5 宅配やレンタルを推進すべき6 ゴミを減らせばキャンプスキルも上がる

◆基本中の基本をおさらい

 野外フェスやキャンプビギナーの方達に伝えるべきマナーや注意点……。まずは、パッと思いつくこと、雑誌やウェブにいつも書いていることを列挙してみます。

 ・天気の情報を逐一仕入れて、また空をマメに確認して雷雲が発生していないか気をつける。

 ・夏といっても天候や標高によっては寒くなることもあるので、防寒着を用意。

 ・雨に備えて雨具や長靴または防水透湿するトレッキングシューズを履く。

 ・フェス会場やキャンプ場にはイスがないので、軽量コンパクトなイスがあると便利。

 ・初めてテントを設営するなら、事前に一度自宅や自宅近くの広場で設営の練習をしておく。

 ・熱中症にならないためにスポーツドリンクや塩飴等を携帯する。

 ・日焼けは疲労や体調不良の原因になるので、予防する。

 ・酔っ払い過ぎて、川に飛び込むとか仲間うちで騒がない。

 ・日没後に備えて、軽量コンパクトなヘッドライトやハンディライトを携帯しておく。

 

 以上のことは、キャンプの基本とか野外フェスの注意点で検索すると、ほとんどが出てくる内容です。何度か経験していればすぐにわかる、アウトドア・ライターでなくても思いつくことだと思います。

◆大量のキャンプ用品がゴミの山に

 では、アウトドア・ライターとして今、伝えたいことはなにか。それは「野外フェスやキャンプにゴミは持って行かない、出したゴミは持ち帰る」ということです。

 たとえばキャンプインの野外フェスで長年の問題になっていることがあります。それは、フェス終了後にキャンプサイトに放置される大量のテントやタープ、また脱衣場やゴミ箱に残された寝袋やマットなどのアウトドア道具です。

 会場周辺の宿泊施設に泊まることができなかった人や、できるだけ安く済ませたいという人たちが、その日限りのテントやアウトドア道具を買ってきてキャンプをする。しかし、それらは安売りされている道具で愛着もなく、帰りに重い道具を持って駐車場まで戻ったり、公共交通機関で帰るのが面倒になり、そのまま放置して帰ってしまう……。そういう理由なのだと想像します。たぶん、それらは来場した人のなかで一部の人たちのマナー違反です。

 この記事を読んでいる方は、テントを放置していくような方ではないからこそ、この記事に興味を示してくれているのだと思います。でも、私自身の反省を込めてお伝えすれば、野外フェスの分別ゴミブースからあふれかえったゴミを見ても、そこがゴミ置き場だからと、自分が出したゴミを置いてきたことがあります。

 もちろん、そのゴミはアウトドア道具ではなく、生ゴミ、そして焚き火で出た灰です。マナー違反をしている訳ではないのですが、よいことをしているとは思えませんでした。春の花見スポットで、ゴミ箱まわりにあふれ出たゴミを見て、そのときにはゴミを置いて帰らないで持ち帰っていたのに、なぜ……。あとから振り返って、とても反省しました。

 野外フェスの多くは、自然との共生や開催される会場付近の豊かな自然の魅力を感じることをテーマにしています。またキャンプは当然のことながら、自然のなかで過ごす心地よさを味わうものです。

 だからこそ、フジロックでは前年に出たプラスチックゴミをリサイクルしたゴミ袋を来場者に配布しています。その他のフェスもエコな活動に取り組んでいます。

◆登山では常識のゴミ持ち帰り

 では、野外フェスに参加する、キャンプ場でキャンプする私たちには、なにができるか? それが「野外フェスやキャンプにゴミは持って行かない、出したゴミは持ち帰る」ということです。「それはさすがに無理……」と思う方が、多数いるかもしれません。だって、面倒だし、臭うかもしれないし、重いから……。だからこそ、提案したいのです。

 グランピング向きの至れり尽くせり高規格キャンプ場では、ほとんどがゴミを引き取って処分してくれます。反面、自然に近いフィールドを提供するキャンプ場には、ゴミは持ち帰りというところが多くあります。処分する場所がなかったり、処分する場所まで高額の輸送費がかかったりするからです。

 ところで、登山ではゴミはすべて持ち帰ることが当然のマナーとして定着しています。山でテント泊する際も同様です。ハイカーは自分が出したゴミも背負って下山します。富士山を登る際も、ゴミは持ち帰りです。世界一登山者の多い高尾山は、売店や自販機で購入したペットボトルを捨てるゴミ箱は設置されていません。現地で買ったものは、持ち帰りです。

 登山でゴミを持ち帰ることが当たり前にできるのであれば、ほとんどがクルマ移動のキャンパーが、ゴミを持ち帰れないはずがないと思うのです。キャンプ場からは持ち帰るけれど、途中のコンビニや高速道路のサービスエリアのゴミ箱に置いてくるのもNGです。出したゴミは、自宅まで持ち帰るのです。

◆ゴミを減らすコツは?

 ゴミを持ち帰ることが、どうしたら面倒でなくなるか? それが、ゴミになるものは持って行かないということです。

 料理の材料は自宅であらかじめカットしてジップロックなどのジッパー付き袋に小わけする。袋に入っているインスタントやフリーズドライなどの食品も、使う分を同様にジッパー付き袋に小わけ、または容器に移し替えていけば、無駄なゴミが出ません。余った食材は、煮込んでスープにするなど、美味しく有効活用する知恵も、ゴミを減らしてくれます。

 夏の暑さで傷みそうなゴミは、クーラーボックスに袋を別にわけて入れておけば、臭いを防げます。

 キャンプの食事の際に紙皿、紙コップ、割り箸を使うことは、ゴミになるのでNGです。各自がマイ皿、マイコップ、マイ箸を持参しましょう。さらにマイボトルを持って行けば、コンビニや売店で購入したドリンクをボトルに移し替えられ、キャンプ場にペットボトルのゴミを持ち込まなくて済みます。また、高速道路のサービスエリアのスタバなど、割引サービスを受けてお得なことだってあります。

 使い終わった食器や調理器具に油が残っていたら、ペーパーで拭き取り、お湯を入れてすすぐ程度で持ち帰ります。というのも、キャンプ場の排水の多くは処理されることなくそのまま近くの川へと流されているからです。洗剤を使う場合はごく少量にしたり、生分解性の自然にやさしい洗剤を使用するようにしたいものです。汚した水も、ゴミなのです。

◆宅配やレンタルを推進すべき

 この「ゴミになるものを持って行かない」というマナーは、野外フェスの放置テント対策にも有効だと思えます。もし野外フェスでキャンプのビギナーが友人、知人がいたら、購入するよりもキャンプ場や宅配のレンタルサービスの方が安いからと、利用することを勧めてみてください。

 また、野外フェスの関係者がこの記事を読んでくださっていたら、レンタルサービスの利用をもっと来場者に勧めたり、レンタル業者と提携して利用者になにかしらの特典を設けてみてはどうでしょうか。

◆ゴミを減らせばキャンプスキルも上がる

 「ゴミは持って行かない、出したゴミは持ち帰る」ことは、キャンプやアウトドアのスキルアップにもなります。ゴミを持っていかない工夫をするようにする習慣、考えが身につくと、たくさんの道具をいくつも揃えるのではなく、少ない道具で多くのことに対応できるようにしようという考えや興味も湧いてきます。

 そもそも装備する道具が少なく、シンプルになってくると、不思議とキャンプで出るゴミも減るんです。登山では背負える量や重さに限界があるので、必然的に装備がシンプルになり、出すゴミも少なくなっているのです。

 野外フェスで音楽をきっかけに自然への関心を得て、キャンプで自然のなかで過ごす知恵や経験を得たら、不便さは実は「楽しみの種」だったと思えるようになるかもしれません。そう思えたら普段の暮らしでも、キャンプ同様にシンプルさを楽しめるようになるかもしれません。野外フェスやキャンプの楽しさのひとつは、そのときだけで終わらず、普段の暮らしでもちょっとした変化が起きるかもしれないことだと、私は思うんです。

【PONCHO】

登山、トレイルラン、自転車、キャンプ、旅やエコをテーマに雑誌、WEBで企画、執筆する編集・ライター。アウトドア以外に家電等の道具全般にも精通。低山ハイクとヨガをMixしたツアー・イベント「ちょい山CLUB」を妻と共に主催する山の案内人でもある。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング