ICRPが原発事故後の放射線防護に関する勧告をアップデート中。パブコメは日本語でOK

HARBOR BUSINESS Online / 2019年8月31日 15時30分

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多瑠都 / PIXTA(ピクスタ)

Contents1 一般住民の被ばくに関わるICRP勧告の更新とパブコメ2 ICRPパブコメに日本語で投稿する方法3 もう一つの参考資料 ~ 甲斐倫明教授の講演資料と講演記録4 追加情報1 甲斐倫明教授による学習会5 追加情報2 締め切りについての新しい情報

◆一般住民の被ばくに関わるICRP勧告の更新とパブコメ

 既報1と既報2のとおり、ICRP(国際放射線防護委員会)が原発事故後の一般住民の被ばくを左右する重要な勧告を更新しようとしている。現在は新しい勧告の草稿が公表され、一般の人たちを含め、ICRP外部の人たちからの意見を広く集めるためのパブリックコメント(以下、パブコメ)が行われている最中である。このパブコメの締め切り(9月20日)まであと20日ほどとなったが、その今、各所で様々な動きが起こるようになっている。

 この記事では取り急ぎ、今回のパブコメに日本語でコメントを投稿する方法を紹介したい。くわえて、現時点で入手可能な日本語の関連資料を紹介する。

◆ICRPパブコメに日本語で投稿する方法

 ICRPは国際機関であるため、通例のパブコメでは英語で書かれたコメントしか受け付けられないが、今回行われる勧告の更新は、日本で起きた原発事故からの教訓に基づくものとなるため、日本の特に一般の人たちへの配慮から、日本語のコメントも受け付けられることとなった。この件は、ICRPが最近公開したページ(報告書草案「大規模な原子力事故における人と環境の放射線防護」の主要部分の日本語訳)の中で告知されている。

 そのページにはまた、新勧告の草稿から主要部分を抜粋して日本語訳したものが掲載されている。この日本語訳は、長大な草稿全体から「目次」、「要点」、「総括的要約」、「結論」を抜き出して訳したものである。草稿の全ページ数と比べると、訳されたのはかなり小さな一部であり、いささか物足りなくも感じるが、「英語が全くダメ」というような方にはそれなりに役に立つのではないだろうか。

 なお、この日本語訳は今回の勧告の更新作業に直接携わっている甲斐倫明教授と本間俊充氏(お二方ともICRPの日本人委員である)によるものである。

◆もう一つの参考資料 ~ 甲斐倫明教授の講演資料と講演記録

 8月3~4日、福島県いわき市で「福島ダイアログ」が開かれた。「福島ダイアログ」というのは、福島県民や、ICRP委員を含む学者らなどが集まり、様々な課題について対話を試みる、一種の「対話集会」である(参考: NPO法人 福島ダイアログ )。

 この対話集会に今回、甲斐倫明教授が参加し、ICRP勧告の更新の件について講演を行った。その時の講演資料と講演記録(YouTube動画)は全て日本語で作られており、さらに、「福島ダイアログ」のページで公表され、誰にでも見ることができるようにされている( 2019年8月3〜4日 福島ダイアログ 記録)。

 甲斐倫明教授によるこれらの資料も、パブコメに向けたコメント作成にきっと役立つだろう。

◆追加情報1 甲斐倫明教授による学習会

 なお、9月2日にはNPO法人「市民科学研究室」の企画で、甲斐倫明教授による学習会が開かれるそうである。学習会のテーマはもちろん、ICRP勧告の更新とパブコメである。開催場所は東京都文京区のアカデミー向丘 学習室となっている。この会の詳細については市民科学研究室のページを参考にされたい(意見募集中のICRP勧告改訂ドラフト「大規模原子力事故における人と環境の放射線防護」 ICRP委員を迎えての学習会)。

◆追加情報2 締め切りについての新しい情報

 最近、パブコメの締め切りについても新しい情報が加わった。公式な締め切りは今でも9月20日となっているが、ICRPは日本からの日本語でのコメントを「10月25日」まで受け付けるそうである。これは日本の原子力市民委員会からの要望にICRPが応える形で示されたものである。9月20日を過ぎてからのコメントの送り先等については、原子力市民委員会が公開した「ICRPからの回答」を参考にされたい。

 ICRPからの計らいにより日本語でのコメント投稿が可能になり、完全ではないものの、日本語の資料も複数できた。さあ、そろそろコメントを書き始めよう。

【井田 真人】

いだまさと● Twitter ID:@miakiza20100906。2017年4月に日本原子力研究開発機構J-PARCセンター(研究副主幹)を自主退職し、フリーに。J-PARCセンター在職中は、陽子加速器を利用した大強度中性子源の研究開発に携わる。専門はシミュレーション物理学、流体力学、超音波医工学、中性子源施設開発、原子力工学。

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