消費増税は賃貸物件にどんな影響を与える? 費用が上がるもの、変わらないものをチェックしよう

HARBOR BUSINESS Online / 2019年9月1日 8時31分

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 10月から消費増税がスタートし、税率が10%に上がる。生活のあらゆるものに関わる消費税だが、これから進学や就職などで部屋を借りるときには、どのような影響が出るのだろうか。

 賃貸に関わる費用で消費増税の影響を受けるもの、受けないものついて、縁合同会社代表の安孫子友紀さんに話を聞いた。

◆居住用であれば、家賃に消費税はかからない

 実は家賃は「居住目的」であれば消費増はかからない。つまり、増税の影響を受けない。国税庁のホームページには、家賃の位置付けが次のように説明されている。

 「住宅用としての建物の貸付けは、貸付期間が1か月に満たない場合などを除き非課税となります。ただし、契約において住宅用であることが明らかにされているものに限ります」(国税庁ホームページより)

 安孫子さんによれば、消費税が導入された1989年には、住宅用の家賃にも消費税が課税されるべきとの議論があった。しかし、その後見直されて非課税の扱いになったという。

 家賃は数万~数十万が毎月発生するので、消費税が継続的にかかると経済的な打撃が大きくなる。人が生きるのに住まいは欠かせないため、社会施策上の配慮として非課税とされている。

 一方で、オフィスや店舗など「事業用」に借りている場合は家賃に消費税がかかり、増税の影響を受ける。ただし、一定条件で8%に据え置きの「経過措置」が適用される。

◆敷金や礼金、共益費には消費税がかかる?

 しかし賃貸では、家賃以外にも様々な費用が存在する。それらはどうなるのか?

「敷金や礼金も家賃と同様で消費税はかかりません。マンションやアパートでは管理費や共益費がありますが、これらも住むために必要な費用とみなされ、非課税となります。お住いの地域によっては更新料がありますが、これにも消費税はかかりません。

 ただし、更新料ではなく『更新事務手数料』というような名目でしたら注意しなければなりません。この場合、事務作業に対する手数料との考え方をすることが多いため、消費税が発生します。

 また近年では契約の際に、連帯保証人の代わりに保証会社を利用するのが一般的です。保証会社の使用料も非課税です」(安孫子さん)

 このように、賃貸に関わる費用は非課税の項目が多い。だが、中には増税の影響を受けるケースがある。次章で見ていこう。

◆駐車場使用料は、契約内容によって課税対象になる

 代表的な項目が、不動産仲介料だ。

「不動産仲介料は、部屋を借りる際に不動産会社の業務への対価として払うお金ですので、消費税がかかります。スーパーに行って、モノを買うのと同じ扱いですね。

 たとえば6万円の賃料で、仲介料が1か月分の場合は、消費税8%では6万4800円ですが、10%では、6万6000円となります」

 また、クリーニング費用や鍵交換代、害虫駆除作業費など細かな項目の中には消費税が課税されるケースがある。

 中でも安孫子さんが注意を促すのが駐車場の使用料だ。契約内容によっては、課税と非課税の両方の可能性があるためだ。

「アパートやマンションと一体となり、賃料や共益費とならんで『駐車場料金』と明記されて家賃に含まれている場合は、非課税です。

 しかし、住まいと駐車場が別契約になっている場合は10月から10%が課税された料金が請求されます」

 マンションによっては、建物内にジムがあるケースがある。施設使用料にも気をつけよう。

「住人以外の人が利用できない場合は非課税ですが、住人以外の人も利用できる場合は課税対象です。誰が使えるのかによって、課税か非課税かが分かれます」

◆ウィークリーやマンスリーマンションは、契約期間に注目

 居住用の契約でも、ウィークリーやマンスリーマンションのように、短期間の滞在を目的とした場合は、契約の期間が基準となる。

「たとえ居住用でも、契約期間が1か月に満たない場合は、ホテルや旅館と同様に消費税がかかります。1か月を超える場合は、非課税です」

 ただし、「旅館業法第2条第1項に規定する旅館業」として貸している場合には、契約期間が1か月を超えたとしても10%になる。家賃ではなく旅館としての宿泊費の位置付けのためだ。長期出張でマンスリーマンションを使うときには、契約書をよく確認しよう。

 ほかに特殊なケースとしては、企業が従業員を住まわせる目的で社宅を借り上げた場合がある。

「社宅は従業員が住むために借りる物件ですので、『居住用』の扱いになり、家賃に消費税はかかりません。しかし一部を事務所として使う場合は『事業用』とみなされ、消費税が課税されます」

 居住目的で部屋を借りる際には、家賃や敷金・礼金など諸費用に消費税がかからないため、大きな影響を受けないことがわかる。しかし、不動産仲介料のように税率が上がる項目も存在することは覚えておきたい。

 物件の契約時、一回の支払いで終わる不動産仲介料と違い、駐車場や施設使用料は毎月継続して発生する費用だ。8%から10%へ、「2%」の増税が家計に与える影響は決して小さくない。消費税アップを機に、契約項目の見直しをするのはどうだろうか。

【薗部雄一】

1歳の男の子を持つパパライター。妻の産後うつをきっかけに働き方を見直し、子育てや働き方をテーマにした記事を多数書いている。

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