名門「モータウン」設立60周年。BJ・ザ・シカゴ・キッドが語るソウルの今

HARBOR BUSINESS Online / 2019年9月10日 15時31分

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◆現代にも受け継がれるモータウンサウンド

 スティーヴィー・ワンダーやジャクソン5など、後世に残る名アーティストを数多く輩出したレコードレーベルのモータウン。ソウル・R&Bミュージックの金字塔として名高いモータウンは今年で設立60周年を迎える。

 設立当初から脈々と受け継がれてきたモータウンサウンド。1960年~70年代にかけて発表されたグルーヴィーでソウルフルな楽曲は、時代を超えてアーティストに影響を与えている。その一人が気鋭のソウル・シンガーとして注目を集めるBJ・ザ・シカゴ・キッド(以下キッド)だ。

 ソウル・R&Bのオーセンティック(伝統的)さを抑えつつも、ポピュラーミュージックとして昇華させる音楽性が高く評価されているキッド。

 先月にはニューアルバム「1123」をリリース。新作アルバムを引っさげて8月27日に東京、8月30日には大阪で来日コンサートが行われるなど、これからのモータウンを支える存在として着実に成長し続けているアーティストだ。

 そんなキッドの来日に合わせて、8月28日にはモータウン60周年を記念したトーク・イベントがビルボードカフェ&ダイニングにて開催された。

 日本のヒップホップ・シーンを牽引してきたRHYMESTER(ライムスター)のDJ JINを交えて、モータウンの功績や、音楽シーンに与えた影響、おすすめのモータウン楽曲などについて語った。

◆ソウルミュージックのルーツこそ、音楽の原点

 キッドは、2014年にモータウンと契約。それ以前は、アンダーグラウンドで活動してきたため、音楽性を認められたことを誇りに思うと述べた。

「父からモータウンについて色々教えてもらい、中でもスティーヴィー・ワンダーに影響を受けている。偉大なレーベルと契約できて嬉しいし、ソウルミュージックのバイブスを感じてもらえるように、今後もありのまま自分の音楽を表現したい」(キッド)

 ソウルミュージックの持つ魂を揺さぶられるような感覚。60年代から70年代にかけて全盛だった音楽だが、キッドは伝統的なものを抑えつつも、ポピュラーミュージックとして受け入れられるように工夫しているという。

 楽しくてエネルギッシュな音楽を届ける。音楽を通じて、映画を見ているような感覚を提供する。これが、現代モータウンを代表するソウル・シンガーの真骨頂なのだろう。

「ソウルミュージックの継承者が少ないのは、ソウル(魂)に歌える権利を与えられていないからだと思う。ソウル自体がシンガーを選ぶものだと。光栄にも私はソウル・シンガーの役目を担うことができた。この音楽の素晴らしさを伝えていきたい」(キッド)

 ソウルミュージックは特別なもの。黒人への人種差別などの歴史的背景から、民族意識高まる感情を歌詞に込め、音楽で表現する。これが、ソウルミュージックの源流である一方、現代のリスナーでも聞けるよう、アーバンさを兼ね備えた音楽に仕上げているとDJ JINは語った。

「キッドの来日コンサートを見させてもらったが、どれだけ音楽が好きか伝わってきた。クリエティブな視点を持ち、ソウルミュージックをベースに自分の音楽を追求する姿勢が垣間見えた」

◆モータウンとの出会いと音楽シーンに与えた影響

 DJ JIN有するライムスターは、日本のヒップホップ黎明期からシーンを牽引してきたグループ。DJ JINは当時を振り返り、モータウンとの出会いについて語った。

「ヒップホップミュージックが主流になっているのも、かつてのソウルやR&Bのメロディがあってこそ。元ネタとなるR&Bをサンプリングして、ヒップホップの新しい曲が生まれている。私自身、ヒップホップの元ネタを探していくうちに、モータウンを知った」(DJ JIN)

 ヒップホップの曲作りをするために、サンプリングネタとしてよく使われている70年代のモータウンサウンドから聴き始めたというDJ JIN。一番初めに買ったのは、スティーヴィー・ワンダー黄金3部作だという。「Talking Book(トーキングブック)」や「Innervisions(インナービジョンズ)」、「Fulfillingness’ First Finale(ファーストフィナーレ)」といった不朽の名作として名高いスティーヴィー・ワンダーのアルバムだ。

 キッド、DJ JIN双方とも、モータウンが音楽シーンに与えた影響として、スティーヴィー・ワンダーの名を上げる。名実ともにソウルミュージックの祖として、まさに生きる伝説と称するにふさわしいという。

◆アメリカではモータウンサウンドが生活の一部になっている

 モータウンの功績は、創設された60年代からソウルミュージック、R&Bを中心に70年代、80年代、90年代…そして、今に至るまで素晴らしい音楽を出し続けていること。

「アメリカでは家族と関わるときに、モータウンの音楽は欠かせない。また、ホームパーティやバーベキューなど皆が集まる場合には、モータウンの音楽をかけて楽しい時間を過ごすのがスタンダードになっており、モータウンサウンドが生活の一部になっている」(キッド)

 モータウンからリリースされた数多くの楽曲は、有名どころから知られてない名曲までたくさんある。長い歴史の中で、これはおすすめというイチオシの1曲として、DJ JINはカーティス・メイフィールドの「Give Me Your Love」を選んだ。

 80年代ニューヨークのアンダーグラウンドDJがプレイして、今もなおクラブでかかる名曲だという。

 一方で、キッドが好きな名曲はジャクソン5の「Got To Be There」。マイケル・ジャクソンのソロデビュー作として知られる曲で、スティーヴィー・ワンダーのトーンを練習してレコーディングしたと思えるくらい、マイケル・ジャクソン初期のリッチな歌声を堪能できるとのこと。

 モータウン独特のソウルミュージックは、今も世代を越えて愛され続けている音楽であり、今後も音楽シーンを語る上では外せない存在なのではないだろうか。

【古田島大介】

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。

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