「メール返信は遅くていい」!? 多忙なビジネスパーソンが時間を作り出すヒント

HARBOR BUSINESS Online / 2019年9月22日 15時30分

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 予定を詰め込んでいるつもりはないのに、気づいたら時間がない。この悩みを解消するには、ネットツールの使い方を見直すとよさそうだ。

 スマホを手放せず、メールチェックばかりしてしまう人に、ダイヤモンド社が今年6月に発刊した『時間術大全 ――人生が本当に変わる「87の時間ワザ」』をオススメしたい。

 著者はグーグルで活躍したジェイク・ナップ氏とジョン・ゼラツキー氏。本書では、「Make Time」(時間をつくる)をテーマに、時間の節約術ではなく、「大事なことのために時間を生み出す」方法について、87個の戦術を紹介している。

 優先順位のつけ方や予定の立て方といったアドバイスが掲載されているが、この記事では「ネットとの付き合い方」にフォーカスした。

◆ネットを見たい気持ちは意志の力でコントロールできない

 本書では、最優先事項を選ぶ「ハイライト」、物事に集中する「レーザー」、体を使って脳を充電する「チャージ」、システムを改善、調整する「チューニング」と、4つのカテゴリに分けて戦術を紹介。

 ネットツールの扱いは「レーザー」に分類される。最優先事項に集中するには、ネットとの付き合い方がきわめて重要なのだ。

 集中力を妨げる最大の敵は、ネットにあふれる情報や娯楽。いつでも連絡がとれるメールやチャットツールも同様だ。ネットにつなげはあらゆる情報が手に入り、さまざまな人とつながれる。アプリなどコンテンツがたえず補充されるものを本書では「無限の泉」と表現している。

 利便性が向上し、アプリのクオリティはどんどん上がっているので、のめり込んでしまう。「『意思力だけでは絶対に集中できない』」と本書では言い切る。

 ネットに意識を奪われないようにするためには、どうすればよいのだろうか。具体的な方法を見ていこう。

◆メールやSNSを「すぐに見られない状況」をつくる

 有効なのが、スマホを「ちょっとだけ不便にする」ことだ。簡単にネットにアクセスしたり、メールチェックをしたりできない状態をつくる。

 本書では、消費者リサーチ会社のDscoutのデータを引用。それによると、「モバイルユーザーが1日にスマホを触る平均回数は2617回」だという。単純計算すると1分に約1.8回スマホに触れていることになり、頭からスマホのことが離れない状態になっている。

 そこで勧められているのが、ツイッター、インスタ、フェイスブックなどのソーシャル系アプリ、ニュースアプリを消すこと。

 SNSには「今日はこんなことをした」とか「今日のランチには◯◯を食べました」といった投稿で溢れている。見て楽しい面はあるが、知らなくてもいい情報でもある。いちいちチェックしていたら、いくら時間があっても足りない。とはいえ、アプリを消したら寂しいのでは、周りから取り残されるのではと不安になりそうだが、著者のひとり、ジェイク・ナップ氏は、次のように心境を綴っている。

「アプリがなくなったら不安や孤独を感じるのではないかと思っていた。その後の何日かで、たしかに心に変化があった。といっても、ストレスを感じたんじゃない。むしろホッとして、解放感を覚えていた」

 スマホから消したとしても、必要に応じてインストールし直せばよいだけだ。試験的に、24時間、1週間など試してみてはどうだろうか。

◆何のためにこのツールを使うのかを考える

「無限の泉」を生活から遠ざけることも有効な手段だ。本書では11の戦術を挙げている。その中から3つを紹介する。

1:「朝の巡回」をやめる

 起きた後はネット環境から離れて頭がスッキリしているのに、ニュースやメールチェックで一日を始めてしまっては台無しだ。

 習慣的にスマホに手を伸ばし、メールやSNSを見てしまう。寝ている間に何が起こっているか知りたい気持ちはわかるが、気が散る要因となる。ちょっとチェックするつもりが、そのままダラダラといじってしまっては、元も子もない。

2:「事件」を放っておく

 毎日起こるいろんなニュースは、速報という形で発信される。それらをひとつひとつチェックするわけにはいかない。

 ニュースのほとんどは悪い知らせなので、読めば少なからず気が滅入る。それに、目に入った見出しが今日の決断に関わるかはわからないし、明日、明後日に意味のあるものであるかは疑わしい。いまに目を向け、すべきことをする方がずっといい。ニュースは週に1回、まとめてチェックすることを勧めている。

3:邪魔ものを「ツール」に変える

 ソーシャル系アプリやメールがダメなわけではない。目的をもって使えば便利なツールに変わる。

「その活動に、毎日、毎週、毎月、どれくらいの時間を使っているか」「目的を達成するにはそのアプリとどう付き合うべきか」を考えていく。その後、ニュースは週に1回のチェックにする、メールチェックは1日の終わりにする、など対応を決めていく。

 著者のひとり、ジョン・ゼラツキー氏は、ツイッターに時間を使い過ぎていたことを悩んでいた。そこで、ツイッターを使用するのは「自分の仕事を広め、読者からの質問に答えるためだけ」に限定した。さらに使う時間も1日30分に制限。使い終えたら、翌日のツイッタータイムまでログアウトしておくという。

◆メールの返信は遅くていい

 社会人になって、「即レス、出来るだけ早い返信こそ正義だ」という考えを先輩や上司から叩き込まれた人は多いはず。しかし本書では、「許される限り遅く」と驚きの提案をしている。

 頻繁なメールチェックは時間の浪費につながる。ブリティッシュコロンビア大学の調査によると、メールをチェックする回数を減らすと、幸福度が高まるという。

 受け取るたびに対応し、受信箱をゼロにすることにこだわっていては、仕事に支障が出る。少々乱暴な言い方かもしれないが、相手の都合で相手が伝えたいことを送ってくるのがメールだ。都度反応していては、振り回されてしまう。

 予定表に「メールタイム」と書き込み、メールを読んだり、どんな対応をするかを決めたりする時間を決めるのは有効な手段だ。

 本書では「できる限り早く」から「許される限り遅く」への方針転換が何より大切だとのメッセージが強調されている。多忙でメール連絡にストレスを感じるビジネスパーソンにとっては嬉しいアドバイスではないだろうか。

◆筆者は1週間限定でやってみた

 ライター、編集者としてスマホ中毒の筆者は、1週間限定でこのやり方を試してみた。スマホからツイッター、フェイスブックは削除。使うときはパソコンからに限定し、時間は15分と決めた。メールもメッセージアプリも通知はオフにし、確認する回数も1日3回までにした。

 その結果、心理的にはかなり楽になった。いま自分がしていることと関係なくやってくる連絡に構わず、自分にとって優先すべき仕事に向き合えることで、ストレスは減ったと感じている。

 忙しくて当たり前、連絡が多くて当たり前だと思ってそのままにしておくのは、思考停止だ。これこそが多忙中毒、スマホ中毒の元凶だと痛感した。

 スマホやネットとの付き合い方を変えれば、違った毎日が見えてくる。多忙でストレスを抱える人にはぴったりの本だと思う。

<文/薗部雄一>

【薗部雄一】

1歳の男の子を持つパパライター。妻の産後うつをきっかけに働き方を見直し、子育てや働き方をテーマにした記事を多数書いている。

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