妻を虐げるくせに自分は不貞。モラハラ夫の自己中な下半身<モラ夫バスターな日々30>

HARBOR BUSINESS Online / 2019年9月24日 8時32分

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漫画/榎本まみ

◆弁護士・大貫憲介の「モラ夫バスターな日々<30>

「夫は、最近、ときおり朝帰りがあり、休日出勤が増えました」

 相談に来た、アラフォーの女性が嘆いた。

「女がいるんでしょうか」

と私に訊いた。でも、家にいるときは、以前よりも上機嫌で、優しい、モラハラもめっきり少なくなったので、多分思い過ごし、と付け加えた。

◆弁護士が勧める、「不貞チェック」

そこで、私は、不貞チェックの大貫リストに従って質問をした。

1、スマホにロックをかけるようになっていないか。

2、突然、休日出勤で仕事に呼び出されたりしていないか。

3、電話がかかってくると、ベランダに出たりしないか。

4、スマホをいじっている時間が増えていないか。

5、ネクタイ、Yシャツやポロシャツが増えたり、洋服などの趣味が変わったりしていないか。

6、以前よりも清潔になったり、体臭、口臭対策をするようになっていないか。

7、連絡なく突然の残業があったり、外出時、携帯が通じなかったりしていないか。

8、飲み会や接待なのに、酔いが浅いことはないか。

9、帰宅時に汗臭さがなかったり、石鹸の匂いがしたりしないか。

10、宿泊付き出張が増えていないか。

11、性交渉に変化はないか。以前よりも丁寧だったり、優しかったりの変化はあるか。

 一般的に、モラ夫は、下半身にだらしない。男尊女卑の価値観をもち、女性を支配することを当然と思っているので、不貞や風俗に抵抗感はない。むしろ不貞に憧れており、機会があれば風俗に通う。

 上記の不貞チェックの質問に3つ以上該当していれば、おそらく、モラ夫は不貞をしている。

◆不貞をしているモラ夫の典型的な言動

 離婚案件の多くに不貞がある。離婚実務の経験上、多くの事例について、「女からの離婚案件に(夫の)モラあり」「男からの離婚案件の影に女あり」といえる。

 以下、不貞の進行の典型例を説明する。

1、不貞の可能性のある対象が現れると、モラ夫は、清潔に気を使い始める。

 デートが始まると、モラ夫は機嫌がよくなり、妻へのモラハラも少し和らぐことが多い。この頃から、スマホを肌身離さず持ち、電話がかかってくると、ベランダに出たりする。

2、不貞相手とより親しくなると、突然の「残業」「接待」が入る。

 遅くなるとの連絡がなく、心配になった妻が電話しても、携帯の電源が切られていたりする。そして、飲み会や接待のはずなのに酔いが浅かったりする。金遣いが荒くなり、妻への生活費の切り詰めの要求が強まる。

3、男女関係になると、朝帰りが始まる。モラ夫は有頂天になり、自宅にいるときも幸福感に溢れ、モラハラが影を潜めたりという事例もある。

 家事や育児の分担を始めるモラ夫までいる。不貞を妻に邪魔されたくないため、妻の機嫌をとっておくのであろう。妻としては、モラ夫の変化が嬉しくて、疑いの目を向けることに躊躇う。つまり、モラ夫の思惑にはまってしまう。

4、この時期は、夫婦間の性交渉においても、以前よりも丁寧で、自己中心的でなかったりする。

 むしろ妻との性交渉の回数が増えることもあるが、女性には、この心理の理解が困難なため、疑いを持つ機会を失ったりする。この段階では、多くのモラ夫は、妻に優しくなる。不貞を妻に邪魔されたくないため、妻の機嫌をとっておくのであろう。

5、さらに関係が深まると、休日なのに突然、「上司」から呼び出しがかかったり、重要な「顧客」のクレームが入って、出かけなければならなくなる。

◆「頼むから別れてくれ」と言ってくるケースも

6、不貞相手との関係が更に深まると、宿泊付き出張が入ったりする。

 モラ夫は、不貞相手に対しては、通常、妻をディスり、至らない妻と結婚した自らの不幸を嘆き、妻との離婚、不貞相手との結婚を考え始める。不貞相手からネクタイや洋服などを貰い、洋服の趣味が変わることもある。

7、この時期、妻を「邪魔」と思い始め、モラハラの程度が段々と酷くなったり、手が出たりすることもある。

 前回の連載記事では、「離婚するぞ」と怒鳴るのは、単に妻を脅しているだけであると書いた。不貞相手がいる場合は、モラ夫は、離婚だ!と怒鳴らず(脅さず)、妻に対し「頼むから別れてくれ」とお願いしたり、「俺、お前と離婚するから」と冷静に宣言したりする。

 後日、真実を知った妻の多くは、裏切りの事実を突き付けられ、生活費の切り詰めを強要された真の理由を知り、夫に激しい憎悪を抱く。

◆多くのモラ夫は風俗通いをし、風俗嬢にもモラハラを行う

 モラ夫たちは、風俗通いを妻への裏切りとは考えていない。男には制御し難い性欲があり、その処理のためには、風俗は必要悪であると信じていたりする。

 モラ度が高いと、風俗嬢に対しても、横柄で、自分勝手な行動をする。説教したり、ガシガシと苦痛を与えたりして風俗嬢からも疎まれる。多くの場合、風俗嬢とは恋愛関係にはならないので、不貞の場合のような変化は現れない。せいぜい、帰宅時に石鹸の匂いがしたり、小遣いがすぐになくなったりする程度である。したがって、妻が全く気づかないことも多い。

<注:家裁実務の通説では、売春や性交類似行為を含む風俗は、法律上の離婚理由に該当する。この点、「風俗は不貞ではない」(ので離婚理由にはならない)という誤った解説が流布されている。>

 さて、冒頭の相談者の夫は、どの段階か。

 朝帰りが増え、在宅時も上機嫌なので、おそらく、不貞相手との男女関係が始まったばかりの頃と思われる。モラ夫も相手方も、まだ結婚を考えていない時期だろう。やや手遅れ感もあるが、不貞を止めさせるとしたら、まだ間に合う可能性もある。

 以上、モラ夫は、一般的に、女性関係にだらしない。男尊女卑の価値観から、男性の無思慮な性行動(性加害)が許されると信じているからであろう。

 妻からすれば、モラハラで苦しめられ、さらに風俗通い、不貞までされるのである。まさに、踏んだり蹴ったりである。

 モラ夫との結婚が不幸になる原因はここにもある。

<文/大貫憲介 漫画/榎本まみ>

【大貫憲介】

弁護士、東京第二弁護士会所属。92年、さつき法律事務所を設立。離婚、相続、ハーグ条約、入管/ビザ、外国人案件等などを主に扱う。著書に『入管実務マニュアル』(現代人文社)、『国際結婚マニュアルQ&A』(海風書房)、『アフガニスタンから来たモハメッド君のおはなし~モハメッド君を助けよう~』(つげ書房)。ツイッター(@SatsukiLaw)にてモラ夫の実態を公開中

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