「桜を見る会」問題。共産党・田村智子議員の問いに安倍総理はどう応じたのか? 信号無視話法分析してみた

HARBOR BUSINESS Online / 2019年11月11日 8時33分

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しどろもどろになった安倍総理(日本共産党You Tubeチャンネルより)

◆安倍総理による「桜を見る会」の”私物化”

 毎年4月に開催されている「桜を見る会」は参加者数や支出額が安倍政権では膨らみ続け、2019年の支出額は予算額の3倍に相当する約5518万円になっている。その上、来年は概算要求額自体を約5728万円に引き上げようとしている。しかも、その参加者には安倍総理の地元・山口県の後援会から毎年大勢が参加していることをしんぶん赤旗が先月に報じ、大きな問題になっていた。

 そして迎えた2019年11月8日、参議院予算委員会で共産党・田村智子議員(以降、田村議員)は約30分の質問時間の全てを桜を見る会の問題に費やし、安倍晋三総理大臣(以降、安倍総理)らを徹底追及した。

 本記事ではその質疑の終盤 約10分間の答弁を信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(青はOK、黄は注意、赤はダメ)で直感的に視覚化する。

 田村議員の質問に対する安倍総理及び内閣府・大塚幸寛 大臣官房長(以後、「大塚参考人」と表記)の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。

【色別集計・結果】

●安倍総理:赤信号82% 地の色18%

●大塚参考人:赤信号90% 地の色10%

 2人揃って、質問に全く答えてない。さらに、安倍総理に至っては、不要な言葉や意味不明な言葉を意味する灰色(本記事では、本文と同じ、地の色)が18%を占めており、そもそも何を言っているのか判断しづらい、つまりはしどろもどろになっている場面が何度か見受けられた。

 いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。

◆前夜祭とセットで総理支援者との親睦行事と化す「桜を見る会」

 まず、田村議員の質問内容は以下の通り。

田村議員:「藤井律子・山口県周南市長のブログ。2018年5月4日、これ当時、山口のあの県議なんですけどね。

”桜を見る会に行ってきました。片山さつき先生とも久しぶりの再会を果たしました。『今日は山口県からたくさんの人が来てくださってるわね。10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよ。』と、いつものように元気よくお声をかけて頂きました。”

 ま、こういうのはね、いっぱいあるんです。インターネットで検索すると。結局ね、私は税金を使った公的行事っていう自覚もなく、安倍総理が地元からの招待者をどんどん増やしたんじゃないか、と。さらにはね、地元後援会の恒例行事にしてきたんじゃないかということも指摘したいんです。

 先ほどの友田、友田県議のブログ。桜を見る会の記述は前日の行動から始まります。”前日の早朝に飛行機で上京。夜にはANAのインターコンチネンタルホテルの大広間において、下関市、長門市、そして山口県内外からの招待客約400人による安倍首相夫婦を囲んだ盛大なパーティー。次の日、早朝7時30分にホテルを出発し、貸切バスで新宿御苑に”と続いていくんですね。

 もう一つ。吉田真次 下関市議会議員。今年の桜を見る会についてブログで発信しています。やはり、”前日12日に飛行機で東京へ。夜は桜を見る会の前夜祭。安倍総理夫妻と写真を撮って頂きました”で、前夜祭の宴会会場の写真。続いて、翌日の新宿御苑の写真なんですね。

 総理ね、これ、これね、総理しか答えられないんです。桜を見る会は、安倍晋三後援会 桜を見る会前夜祭とセットで、総理が後援会や支援者、山口県の関係者のご苦労を慰労し、親睦を深める。そういう行事になってるんじゃないですか?」

 複数の参加者のブログでの生々しい参加レポートを証拠にあげて、「桜を見る会は前夜祭とセットで総理支援者との親睦行事になってるのでは」と質問した田村議員。

 この質問に対する安倍総理の答弁は以下のようなものだった。

安倍総理:「あの、おー、桜を見る会につきましては、既に、え、政府委員から答弁をしている通りでございまして。えー、個々の、おー、個人名等々についてはお答えは差し控えさせて頂きたい、ということでございます。(赤信号)」

 どうだろうか? 安倍総理は、なぜか聞いてもいない参加者の個人名に話をすり替えて、答弁を拒否している。そのため、赤信号と判定した。

【質問】桜を見る会は前夜祭とセットで総理支援者との親睦行事になってるのでは

↓ 論点のすり替え

【回答】桜を見る会 参加者の個人名は答えられない。

◆どう見ても「前夜祭とセット」

 この安倍総理の答弁に対して、田村議員は前日の首相動静を証拠に加え、再び同じ質問を試みる。

田村議員:「前夜祭と一体でしょ?

 で、もう少し示しますよ。首相動静。この3年間、桜を見る会の前日、”ホテルニューオータニの宴会場で安倍晋三後援会桜を見る会前夜祭に出席”と。3年間ずっとあるんですよ。総理。それ以前もホテルや名称は異なりますが、必ず前日夜は後援会の方々と懇親会、宴会にご夫婦で参加されてるんですよ、総理は。よくご存知でしょう、ご自身が。

 今年の前夜祭の参加者は約850人。翌朝、貸切バス17台で新宿御苑に移動。これはね、防府市ライオンズクラブの会報に寄せられた寄稿、あのー、文章から分かりました。また、あのー、私たちの取材でも複数の参加者からですね、貸切バス17台だと。自分は何台目に乗るんだということがね、全部確認できたわけですよ。

 まさに、安倍総理の後援会の一大行事になっているんじゃないかと。違いますか? これセットでしょ、総理も。総理にとっても、桜を見る会前夜祭と翌日の桜を見る会がセットになって、山口県の皆さんと親しく懇親をする。そういう場になっているんじゃないですか」

 以下、質問に対する安倍総理の答弁。

安倍総理:「あのー、おー、ま、その懇親会にですね、えー、私が、あ、出席をして写真等を、え、撮っているのは事実、でございます。

 で、もちろん、それは、あー、各個人がですね、え、それぞれの、おー、費用によって、えー、この、上京し、そして、えー、この、ホテルとの関係においても、えー、それはホテルに徴収する、ま、払い込みをしているという風に承知をしているところでございます。

 えー、なお、この招待客については、まあ、先ほどから、あ、答弁している通りでございます。(赤信号)」

 田村議員は「桜を見る会は前夜祭とセットで総理支援者との親睦行事になっているのでは?」と聞いているにも関わらず、一切答えていない。この3段落、すべて論点のすり替えが行われており、当然ながら赤信号である。

◆1段落目

【質問】桜を見る会は前夜祭とセットで総理支援者との親睦行事になってるのでは

↓ すり替え

【回答】桜を見る会 の前夜祭で写真を撮ったか

◆2段落目

【質問】桜を見る会は前夜祭とセットで総理支援者との親睦行事になってるのでは

↓ すり替え

【回答】交通費と宿泊費を誰が支払ったか

◆3段落目

【質問】桜を見る会は前夜祭とセットで総理支援者との親睦行事になってるのでは

↓ すり替え

【回答】桜を見る会 参加者の個人名

◆桜を見る会 開門前の総理支援者との記念撮影は後援会活動そのものではないか?

 いっこうに質問に答えない安倍総理の答弁に対して、田村議員はさらにもう一つの証拠を追加する。それは当日の首相動静に書かれた記念撮影の時刻と、受付開始時間の矛盾から浮かび上がったある疑惑についてだった。

田村議員:「セットなんですよ。じゃあ、ねー、桜を見る会、当日の首相動静。これも指摘します。

 今年は、”午前7時48分、総理は夫妻で新宿御苑に到着”。そして、”7時49分、昭恵夫人とともに地元の後援会関係者らと写真撮影”とあります。遡れば、毎年午前8時前に地元後援会関係者らと写真撮影されてるんですね。

 桜を見る会の開門および受付時間は午前8時30分です。開門もしていないのに、会場で地元後援会の皆さんと記念撮影を毎年されておられる。これまさに後援会活動そのものじゃないですか?」 

 2つの時刻の矛盾から、「桜を見る会 開門前の総理支援者との記念撮影は後援会活動そのものではないか?」と安倍総理を追及する田村議員。

 しかし、この質問に対して、自民党・金子原二郎委員長(以後、「金子委員長」と表記)はなぜか答弁に安倍総理ではなく内閣府の大塚参考人を指名。総理にしか答えられない質問内容のため、立憲民主党・蓮舫氏、国民民主党・森ゆうこ氏を始めとする野党理事がすぐさま抗議し、30秒ほど中断する事態になる。しかし、結局、答弁は大塚参考人となる。

 以下、中断再開後の大塚参考人の答弁。

大塚参考人:「あの、桜を見る会の開演時間につきましては、あの、開催要領で定めましたとおり、えー、午前午前8時半から午前10時30分の間の、えー、随時入園参観ということになっております。これが、桜を見る会でございます。(赤信号)」

 これに続いて、安倍総理も答弁する。

安倍総理:「あの、えー、これは、招待者のですね、えー、その、それぞれの受付時間、えー、の対応に関することにつきましては、えー、これはセキュリティに関することであるため、回答を差し控えさせて頂きたいと、このように思います。(赤信号)」

 解説するまでもなく、上記の2人の答弁は質問内容と全く噛み合っていない。論点をすり替えており、赤信号とした。

 2人も以下のように論点をすり替えている。

【質問】桜を見る会 開門前の総理支援者との記念撮影は後援会活動ではないか

↓ すり替え

【回答】桜を見る会の受付時間

 安倍総理にしか答えられない内容を大塚参考人に答弁させた上、安倍総理と2人揃って意味不明な答弁を繰り返したため、この答弁後に野党側からは「えー!?」という非難と抗議が入り混じった声が委員会室に大きく響き渡った。

 すぐさま田村議員は質問に答えていないことを指摘。

田村議員:だから、何で開門前に山口の後援会の皆さんとあなた写真を撮っているんですか、ってことなんですよ。答えてくださいよ。

 これに対する、安倍総理の再答弁。

安倍総理:「あの、これについてはですね、どう言う形で私が動くかということにも関わって、えー、参りますので、その、セキュリティに関わることでございますので、えー、回答を控えさせて頂きたいと思います。(赤信号)」

もっともらしい答えのような気もするが、これは正当な理由もなく答弁を拒否しており、赤信号とした。なぜ理由として成立しないのかは、次の質問で田村議員が明らかにしている。

◆総理支援者の手荷物検査無しでの入場こそセキュリティ上の問題ではないか?

 

 セキュリティを理由にあげて、先ほどの質問の答弁を拒否した安倍総理。

 これに対して、田村議員はしんぶん赤旗の独自取材の結果を証拠に追加する。それはセキュリティ上の理由で答弁を拒否した安倍総理の正当性を根底から覆すものであった。

田村議員:「しんぶん赤旗の取材でね、えー、下関市の後援会の男性、

 ”到着すると安倍事務所の秘書らがバスの座席をまわって入場のための、う、受付票を回収する。その秘書が受付を済ませ、参加用のリボンを配る。まとめてのチェックインで手荷物検査は無かった”

 何がテロ対策を強めたですか。調べてください。調べてください。総理」

 事実を積み重ねて、安倍総理を追及する田村議員。

 しかし、この質問に対して、自民党・金子委員長はまたしても答弁に安倍総理ではなく内閣府の大塚参考人を指名。これも総理にしか答えられない質問内容のため、共産党・山添拓氏らを始めとする野党理事は委員長席に猛ダッシュして、すぐさま抗議。1分ほど中断する事態になる。しかし、結局、今度も答弁は大塚参考人となる。

 以下、中断再開後の大塚参考人の答弁。

大塚参考人:「あのー、受付に関する、その、お尋ねだと受け止めました。あのー、受付時の対応に関する情報は、これはまさしくセキュリティに関することであるため、あの、お答えは差し控えさせて頂きたいと考えております。(赤信号)」

 これに続いて、安倍総理も答弁。

安倍総理: 「あのー、今、あー、政府、あのー、政府参考人から、お、お答えをさせて頂きましたように、えー、受付、えー、の仕方等々につきましてもですね、えー、これは、あの、おー、まさに、これは、例えば、ま、その後の私との関係においても、これはセキュリティに関することでありますから、えー、これはお答えは差し控えさえて頂きたい。このように思います。(赤信号)

 もうこれが理由として通用しないことは明らかになっているにもかかわらず答弁を拒否しており、2人とも赤信号とした。それにしても安倍総理の答弁は何を言っているのか意味がわからないほどしどろもどろになり、あからさまに狼狽しているようだ。

 この答弁の後、「時間です」と金子委員長に注意を受けながらも、田村議員は怒涛のように以下の内容をまくし立てて、質問を終了する。

田村議員:「開門前にね、手荷物検査もしないで大量に入ったら、それこそセキュリティ上の問題じゃないですか。

 桜を見る会は参加費無料なんですよ。会場内でも無料で樽酒、その他のアルコール、オードブルやお菓子を振る舞うんですよ。ね、これを政治家が自分のお金でやったら、明らかに公職選挙法違反。そういうことをあなたは、公的行事で税金を利用して行っているんですよ。これだけでも重大問題だと。まさにモラルハザードは安倍総理が起こしていると。このことを指摘して、質疑を終わります」

 この質疑は、残念ながら大手テレビ局での当日の扱いはTBS「NEWS23」などに限られており、広く認知されていないが、インターネットでは質疑当日から大きな注目を集めた。

 本記事では終盤の10分間のみを分析したが、30分間にわたる全編を国会パブリックビューイングが字幕付きでYoutubeに公開している。証拠に裏付けられた田村議員の怒涛の質問、同席した野党議員の大きなリアクション(失笑、驚き、抗議)、安倍総理や大塚参考人の答弁の不自然さが映像ではさらにはっきりと確認できるだろう。

<文・図版作成/犬飼淳>

【犬飼淳】

TwitterID/@jun21101016

いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。最近は「赤黄青で国会ウォッチ」と題して、Youtube動画で国会答弁の視覚化に取り組む。

 犬飼淳氏の(note)では数多くの答弁を「信号無視話法」などを駆使して視覚化している。また、同様にYouTubeチャンネル(日本語版/英語版)でも国会答弁の視覚化を行い、全世界に向けて発信している

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