自分で住まなきゃ無問題!?「事故物件」を活用する逞しすぎる人々

HARBOR BUSINESS Online / 2019年12月8日 8時33分

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イラスト/岩垣たかゆき

◆「心理的瑕疵」を逆手に活用する人々がいる

「事故物件」――。

 独り歩きしがちな言葉であるため定義や線引は少々難しい。

広義な意味合いに於いては、事件や事故のみならず、火災や指定暴力団の影響、土壌汚染に大気汚染、騒音、悪臭、心霊、隣人トラブルと様々な要素が含まれるのだが、昨今「事故物件」と直結しているイメージと言えばこれだ。

「その物件で過去に人が死んでいるか否か」

 心理的瑕疵物件との呼び名もある通り、危惧される影響があくまでも“心理的な要因”である点が注目すべきポイント。

 今では「事故物件」を専門に扱う不動産業者が登場するほどに話題性バツグンなこの言葉だが、考えようによっては心理的な要因を気にすることさえなければ安く借り、或いは安く購入できる物件であることに変わりはない。

 では、事例も多くある転売という方法以外に、この「事故物件」をうまく扱う手法にはどのようなものがあるのだろうか。

◆戸建ての荷物置き場を仲間に貸して利回り13%以上

 23区からは少々離れるが、まだまだアクセスも悪くない東京都内。

 築30年越えながらも外壁にはリフォームの痕跡がみられ、手入れもまずまず行き届いている印象だ。

 オーナーは50代の自営業男性。

 該当の物件は5LDKで庭付き駐車スペース2台という立派なものだが、今から5年ほど前に約600万円で購入したという。

 安さの秘密はもちろん事故物件。過去に家族間殺人事件の発生があり買い手がつかずズルズルと値段が下がっていたという寸法だ。

 オーナーは当初、趣味で続けている演劇活動用の小道具が収納できるトランクルームをメンバー2人と探していたのだが、物量の多さとトランクルームの割高さに「戸建てを買ってしまった方が安いのでは」というプランを思いついた。

 「自分が住むのでなければ事故物件でもいいか」との発想から思い切ると、仲間内が次々と噂を聞きつけ「自分にもトランクルームとして使わせて欲しい」と参加。

 今ではリビングをベニヤ板で区切り自分が使う以外に合計6人へ貸し出しているという。

 仲間内のため1人あたり6畳分ほどのスペースが使えて月々1万5000円という割安貸出。

 合計で月々9万円の収入。ローン返済や諸経費を差っ引いても毎月約5万円の収入がある。この調子で進めばあと5年(計10年)で物件購入費用がペイできるようになるとのことだ。

 想定空室率10%、諸経費15%の簡単な利回り計算をしてみると、実質利回りは驚きの13.5%!

 該当の「事故物件トランクルーム利用」事例は、貸出相手が仲間内という信用から成り立つ案件のため、現在までに窃盗などのトラブルには見舞われていない。

 スペースの区切り方や鍵の扱い、料金設定、支払いに関する仕組み、防犯対策といった課題を強化することでアイデアを転用する方法もありそうだ。

◆豪邸を格安購入、ハウススタジオとして運用

 首都圏近郊の閑静な住宅街。緑美しい公園が目の前にあるというロケーションにも恵まれた豪邸。

 レンガ造りの外壁に神殿のような門、エントランス脇には広々とした駐車スペース、大きめな両開きの玄関扉を開けると螺旋階段が出迎えてくれるという6SLDKだ。

 オーナーは40代の女性。メディア関係の仕事に従事している。

 該当の物件は競売で見つけた物件で、豪邸ながらも購入価格は驚きの450万円。

 価格は建物のみを対象としたもので土地の所有権はついていない。

 それでも、定期借地権の地代として支払っている額も月々2万円程度と格安なものとなっている。

 該当の物件を競売で取り上げられた前オーナーの家族3人が自殺しているという事故物件で、おまけに水回りトラブルや施工ミスによる傾きなどを抱える欠陥住宅であるという。

 それでも40代女性オーナーを購入に突き動かしたのは、過去に仕事で撮影利用していた事故物件ハウススタジオの成功例。

 その物件は医療ミスから廃業となった病院だったのだが、心霊番組やオカルト映像作品、肝試し企画などに貸し出すことで大成功を収めていたというのだ。

 内部は壊れ放題、荒れ放題、おまけに地下には水が溜まったままというメンテナンス放棄状態ながらも、24時間約30万円での一棟貸しが人気となっていた。

 そのため、今回の豪邸のような「条件は悪くとも雰囲気だけは最高」という物件は、狙い通りの出物でもあった。

 今では約6万円の小規模撮影貸し出しや更に少額な時間貸しが軌道に乗っており、月間平均収入は35万円。約250万円をかけたというリフォーム代を考えても、数年で物件費用がペイ出来てしまうほどに採算性はバツグンだという。

 事業であるため想定稼働率を70%、諸経費25%で利回りを計算してみても実質利回り25.5%という驚愕の数字が浮かび上がる。

◆外国人同士で回して空室率は限りなくゼロ

 東京都内の主要駅からも徒歩数分という驚きの好立地。

 築年数は見るからに30年以上が経過しているマンションだが、併設店舗の賑わいもあり、人の出入りも多く活気が感じられる。現状では空室も出にくいという状況が数年間続いているという。

 そんな該当のマンションだが、1室が売りに出されるも、しばらく手つかずのままズルズルと値段を下げている時期があった。

 それもそのはず、この1室は痴情のもつれから女性が滅多刺しにされるという殺人事件現場。超弩級の事故物件だった。

 少人数であれば家族でも暮らせそうな2DKながらも、価格は1000万円を切るほどに。

 最終的に物件へと手を伸ばしたのは外国籍の男性だった。

 この男性は物件を付近では割安な8万円という額で不動産業者を介さず同胞へと貸し出し続け、空室が近くなれば母国語で玄関扉に「For RENT」看板を掲げるだけで空室期間を短く保っていた。どうやら同胞の出入りが多いためそれだけで借り手不足に陥らないようだ。

 首都圏近郊で自然発生的に出来上がった中華街でも同じように格安な事故物件を外国籍の人間が入手し、同胞に向け貸し出すという手法は横行している。

 普通のファミリーに貸し出しているケースはもとより、集団生活をしているケース、ホステス待機所とされているケースとその使われ方も様々だ。

 中にはシェアハウスのように二段ベッドがいくつも置いてある物件もあった。

 どこか「ジャパニーズ・ホラー」を気にしない、部屋を探している外国人を相手にシェアハウスや賃貸展開という手にはまだまだチャンスが潜んでいるかもしれない。

 想定空室率20%、諸経費15%の利回り計算でも実質利回りは6.3%。

◆バレエスタジオに改築、子供の習い事に人気

 道路整備も行き届いていない首都圏近郊の市街化調整区域。

 30年は超えているであろう築年数以上に気になるのは、目の前にある水路から沸き立つ湿気。

 袋小路の戸建てながらも駐車スペースは何故か4台分も取られている不思議な物件だ。

 玄関前には横に広いサイクルガレージが設けられ、大きな看板と催し物案内の掲示板が増設されている。

 物件の玄関扉を開けると1階の壁や仕切りが全て取り除かれており、大きな鏡が張り巡らされたダンススタジオへとリフォームされていることがわかる。

 2階はどうやら資材置き場として利用されているようだ。

 

 該当の物件オーナーは50代の女性。元バレエダンサー。

 物件との出会いは競売で、孤独死した高齢者の腐乱死体が発見された物件として200万円という格安での落札だった。

 ダンススタジオへの改築には約300万円を投じたそうだが、指導手腕の良さと自転車や車での送り迎えが容易である点から人気スタジオとなり、今では合計20人の生徒数を抱えているという。

 週2回のレッスンで月謝1万2000円。各回5人でのレッスンが曜日を分けて展開されているという寸法だ。

 月謝を単純計算するだけでも月に24万円の収入となる。これであれば物件購入費用及びリフォーム費用の回収も時間の問題といったところ。

「自分で住むわけではない」というだけでなく、スペースとして「一時的に利用するだけ」という用途では子連れ客も心理的瑕疵を気にかけない傾向のようだ。

 想定稼働率を80%、諸経費を20%で利回り計算をしてみると、実質利回り34.6%という驚異の数字が……。

 自身が住むと考えると抵抗がある人もいるだろうが、このように住居以外に活用すれば、「事故物件」も生き返るのである。

<取材・文/ニポポ>

【ニポポ】

ニポポ(from トンガリキッズ)●2005年、トンガリキッズのメンバーとしてスーパーマリオブラザーズ楽曲をフィーチャーした「B-dash!」のスマッシュヒットで40万枚以上のセールスとプラチナディスクを受賞。また、北朝鮮やカルト教団施設などの潜入ルポ、昭和グッズ、珍品コレクションを披露するイベント、週刊誌やWeb媒体での執筆活動、動画配信でも精力的に活動中。

Twitter:@tongarikids

オフィシャルブログ:団塊ジュニアランド!

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