世界よ、これが日本の「保守」だ。ニュースで振り返る2019年「保守界隈」の残念さ加減

HARBOR BUSINESS Online / 2019年12月27日 15時32分

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自らの権力を誇るかのように、桜を見る会で我が世の春を謳歌していた頃の安倍総理

◆「保守」界隈の2019年ドタバタ記録を振り返る

 早いもので今年ももうあとわずか。2018年の今頃はTwitterで『日本国紀』に関連するツイートを連発、その秀逸な「楽しみ方」を提案するという記事を執筆していた、本サイトの連載陣、GEISTE氏。

◆話題沸騰の書、百田尚樹著『日本国紀』を100倍楽しみ、有意義に活用する方法|HBOL

◆「歴史的事実は誰が書いても一緒」にはならない、たった一つの確かな理由~百田尚樹氏『日本国紀』|HBOL

 2019年はスケジュールの都合などで今月上旬に『「桜を見る会」関連文書にまつわる、問題と矛盾と逃げだらけの政府答弁。安倍総理に突き刺さる「9年前のブーメラン」』の一本に留まった彼に、今年気になったニュースを「10大ニュース」的に振り返ってもらった。

◆「保守論客の瓦解」の皮切りは昨年末から始まっていた!?

◆1.アンチではなく「知」が追い込んだ安倍寄り作家の新著騒動(適名収・日刊ゲンダイDIGITAL・1月12日)

 昨年11月に公刊された百田尚樹著『日本国紀』(幻冬舎刊)、発売直後からSNS上ではいろいろな意味で盛り上がり、年末から年始にかけて基本的な事実関係に関する無数の間違いはおろか、WikipediaやYahoo!知恵袋等からのコピペ要約箇所までが次々に発見されるに至る。そんな『日本国紀』の問題点を端的に捉えた適名収氏の記事をまずは挙げたい。「アンチではなく知が追い込んだ」という見出しも秀逸。

◆2.『日本国紀』監修者・久野潤氏の反論に応える①(呉座勇一・アゴラ・1月10日)

『日本国紀』をめぐる騒動は、著者の百田氏も編集者の有本香氏も批判や指摘に対してまともに応じる気配が一向にないこともあって、1月以降、代理戦争の様相を呈することになる。アカデミックな歴史学の作法やルールを重視する立場から、『日本国紀』監修者で大阪観光大講師の久野潤氏、元経産官僚で日本史関係の著作を持つ徳島文理大教授の八幡和郎氏、そして『逆説の日本史』などの著作で知られる作家の井沢元彦氏といった右派論壇人を撫で斬りにした呉座勇一氏の一連の記事は痛快かつきわめて説得的だ。

◆3.杉田水脈議員を京都地裁に提訴 阪大教授らが名誉毀損で(毎日新聞・2月12日)

 政府見解とは異なる立場を取る一部の研究者が、科研費という公費を用いて「捏造」や「反日活動」を行っている、などと杉田水脈議員が騒ぎ立てたのは昨年2月26日の衆院予算委分科会でのこと。それから約1年を経て、杉田議員の一連の科研費騒動によって名誉が毀損されたとして、大阪大学の牟田和恵教授らがついに提訴に踏み切った。当該訴訟は現在、第3回口頭弁論(12月13日開催)まで進んでいる。

◆5月に再び『日本国紀』関連炎上!

◆4.安倍首相、ノーベル賞へのトランプ氏推薦報道に「推薦者と被推薦者は50年明らかにされない」コメント避ける(濵田理央氏・ハフィントンポスト・2月18日)

 2月18日の衆院予算委集中審議での玉木雄一郎議員と安倍晋三首相との質疑レポート。安倍首相がトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦したことの是非は措こう。また同賞は守秘義務があるので首相が国会で明言を避けたことも一応理解できる。だがそもそも安倍首相がトランプ大統領に5枚に及ぶ推薦状を送ったこと自体が守秘義務違反ではないか。自国民を代表する国会議員には情報を明かさず、他方で米国大統領のご機嫌取りのためにはルールを無視する。現政権の規範意識の低さを象徴するニュースだった。

◆5.東大教授が解説!「令和」から浮かび上がる大伴旅人のメッセージ(品田悦一・現代ビジネス・4月20日)

 4月1日の「令和」改元に際して書かれたものの中で、私の知る限りもっとも刺激的な文章がこちら。新元号の出典となった『万葉集』「梅花歌三十二首」の序文のフレーズは、その部分だけ読むとうるわしくなごやかな初春の景観の描写に過ぎないのだけれども、そこで踏まえられている中国古典を参照することで、当該序文には万葉歌人大伴旅人の腐敗政治への嫌悪が込められているとの解釈が導出されるのだという。何とも皮肉が効いた名文である。

◆6.百田尚樹さんの「日本国紀」批判で出版中止 作家が幻冬舎を批判(大村健一・毎日新聞・5月16日)

 5月に入り『日本国紀』問題は新たなフェーズへ移行する。同書のコピペ問題を批判していた作家の津原泰水氏が、自作の文庫化を版元の幻冬舎によって急遽中止されていたことが明らかとなったのだ。その後、見城徹社長がTwitter上で津原氏の著作の実売部数を侮辱的な形で公表したことが更なる批判を呼び、ついには謝罪とアカウント更新停止(のち削除)にまで追い込まれることになる。バイトテロならぬ社長テロとも揶揄されたこの一件、結局『日本国紀』という一冊の本のために企業の評判を大きく落とす結果に終わったようだ。

◆7.「建造物侵入罪」濫用で狭められる報道の自由(藤倉善郎・ハーバービジネスオンライン・8月16日)

 ジャーナリスト・藤倉善郞氏による報道の自由をめぐる記事。とくに自民党・菅原一秀事務所の対応は醜悪の一言。経緯をまとめるとこうだ。藤倉氏らが同事務所へ赴く→事務所職員に奥のソファーで待つよう指示される→座っていたところなぜか警官が来る→職員から帰って欲しい旨を伝えられたため退去→建造物侵入罪で同事務所から刑事告訴。当日の様子は動画でも公開されているが全く理解しがたい。その後、経産大臣に就任した菅原議員の会見から締め出しを食らうなど藤倉氏らへは嫌がらせに等しい対応が続くが、地元有権者に金品を贈っていたとの週刊文春の報道により菅原議員はあえなく大臣職を追われることになる。

◆8.前夜祭「会費5000円」で安倍首相反論 官邸幹部も「唐揚げ増やすなどやり方ある」(毎日新聞・11月15日)

 11月8日の参議院予算委員会での共産党の田村智子議員の質疑から火が付いた「桜を見る会」問題は、政府側の不誠実極まりない答弁のために未解明部分だらけだが、関連ニュースの中で思わず吹き出してしまったのが毎日新聞のこの記事。安倍首相主催の前夜祭の会費が安過ぎるのではないかとの指摘に対して官邸幹部が答えたのがあろうことか「唐揚げ増量」。会場であるホテルニューオータニの格式の高さと、唐揚げ増量というケチ臭さとのミスマッチ感がじつに味わい深い。

◆露呈する「外交の安倍」という虚妄

◆9.北方領土「2島引き渡し」も困難 安倍政権、日ロ長門会談から3年(12月14日)

 2019年は北方領土返還交渉がまたも暗礁に乗り上げた年だった。昨年11月の日露首脳会談で2島返還を軸とする方針を打ち出して以降、今年4月に公表された19年版の外交青書では前年度版に存在した「北方四島は日本に帰属する」との文言を削除、政府答弁でも従来用いてきた「固有の領土」との表現を意図的に避け、さらには国後、択捉両島への観光ツアーに際して、政府が参加者に「北方領土」という表現を口にしないよう促すなど、日本政府による対露ケツ舐めパフォーマンスの末にもたらされたのがこの結果である。「外交の安倍」とは何だったのか。

◆10.伊藤詩織さんに対する発言に、杉田水脈議員「私の表現の拙さ」(12月20日・ハフィントンポスト・泉谷由梨子 竹下隆一郎)

 民事裁判において伊藤詩織氏側へ勝訴判決が下された直後に行われた自民党の杉田水脈衆院議員へのインタビュー。性暴力被害者側の「落ち度」を強調し、加害者側を免罪するような過去の発言について「私の表現の拙さゆえ」で「彼女を貶めるつもりは決してありません」といい、ネット番組において被害者を貶めるようなイラストを前に笑っていたことも「内容に対する賛同や揶揄ではない」「BBCの番組では、そういう風に見えるような編集になってしまった」と責任転嫁。当該ネット番組のオリジナル映像を確認しても、イラストを書いた女性が皮肉としか取れない調子で「嘘をつくような女性じゃない」「「私の体が覚えている」と言ったんです」と被害者を侮辱する発言をした際、杉田議員は身をよじってじつに楽しそうに笑っている。先の科研費の件もそうだが、息をするように嘘をつき、醜悪な言い訳を吐くのは勝手だが、それならば国会議員の職を辞してから存分になさっては如何か。

<文/GEISTE>

【GEISTE】

Twitter ID:@j_geiste

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