ZARA以外も伸びるスペインのファストファッション市場でユニクロだけが成長が遅いワケ

HARBOR BUSINESS Online / 2020年1月26日 8時33分

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バルセロナのユニクロ (Photo by Paco Freire/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

◆覇者「ZARA」の本拠地で食い込む「PRIMARK」

 スペインはファストファッション(FF)の王者ZARAが誕生した国だ。しかも世界でNo.2の観光国で外国からの訪問者は年間8000万人。ということから、スペインの人口4700万人の規模に比較してより多くの世界のファストファッションのブランドがスペインに進出して凌ぎを削っている。

 その中で、アイルランド生まれの激安ブランドPRIMARK(プライマーク)はスペイン市場を飛躍の足場にしている。それを証明するかのように、PRIMARKのスペインにおける店舗の数50店舗は英国に次いで2番目に位置している。

 今年はバルセロナのカタルーニャ広場に7000平米の店舗をオープンさせることになっている。それを凌ぐのがマドリードで展開させている1万2400平米の店舗だ。

 PRIMARKがスペインに進出したのは2006年。現在までスペイン全国に50店舗を構え、マドリードに8店舗、カタルーニャで6店舗を中心に地方にも販売拠点を拡げている。また年内にスペインとフランスとで19店舗を新たに開設すると発表している。

 ネット販売は今年からスタートすることになっている。しかし、価格が非常に安価だということで、ネットで注文してもそれを取りに行くシステムClick & Collectとなっている。(参照:「Vos Populi」)

◆スペインでも顧客数はZARAを抜き1位!

 スペインにおけるPRIMARKの顧客数が公表されているが、1040万人と統計(2018年度)されて、その数はアパレル業界のNo.1である。それに続いてZARAの840万人、H&Mは680万人となっている。

 PRIMARKに対抗して、ZARAの親会社インディテックスは激安ブランドLeftiesを市場に出したが、その顧客数は僅か310万人でしかいない。(参照:「enterat」、「Modaes」)

 PRIMARKの凄さは、この顧客数を僅か46店舗(2018年当時)で獲得しているということである。

 その魅力は価格だ。多くのアイテムが10ユーロ(1180円)とか20ユーロ(2300円)といった価格帯で、著名ブランド物を模写したようなデザインで、しかも品質も悪くない。2シーズン程度着用したあと捨てても金銭的に損をしていないという感覚にさせられる。それが高い顧客数を維持している主因である。

◆オランダからもFFブランドがスペイン進出

 スペイン市場に2015年からオランダ版のPRIMARKが登場している。そのブランド名はZeeman(ゼーマン)。ジャン・ゼーマンが1967年に創業した企業だ。オランダ市場を起点に、ドイツ、ベルギー、ルクセンブルグ、フランス、オーストリアそしてスペインと7か国で1300店舗を展開させている。オランダが521店舗、ドイツ178店舗、ベルギー276店舗、フランス278店舗が主要4か国で、スペインはまだ50店舗しかない。

 その50店舗も、カタルーニャで始めた3店舗から5年目で達成したのだから大したものだ。筆者が在住するバレンシア州でも9店舗を数えるまでになっている。同州で1年以内に15店舗まで増やすのを目標としているという。(参照:「Fashionnetwork」)

 店舗を構えるのに、ZARAやPRIMARKとは異なり、主要都市のメイン通りに開店するのではなく、主要都市の郊外にある衛星都市に店舗を構えることが彼らのポリシーである。例えば、バレンシア州だと、バレンシア県の第3、第4都市といったところに開設している。最終的にはスペイン全国に250店舗を開設するのを目標にしているという。

 オランダ市場を起点に、ドイツ、ベルギー、ルクセンブルグ、フランス、オーストリアそしてスペインと7か国で1300店舗を展開させている。オランダが521店舗、ドイツ178店舗、ベルギー276店舗、フランス278店舗が主要4か国で、スペインはまだ50店舗しかない。スペイン全国に250店舗を開設するのを目標にしている。(参照:「Voz Populi」)

 店内の商品の陳列には粗雑感もあるが、衣類は男性と女性それに子供服も揃え、家庭用品も一括して販売している。だから、町に昔からある衣料品屋というイメージで消費者に訴えている。勿論、価格は激安だということだ。

◆日本のFFブランド、ユニクロは……

 対して、2017年にスペインに進出したユニクロは現在4店舗しかない。スペインで他のファストファッションブランドの店舗展開と比較して、そのスピードは余りにも遅い。それはヨーロッパ全域においても同様だ。2001年に英国で1号店を構えてからヨーロッパには現在まで50店舗余りしかない。

 しかも、スペインへの進出について最初に選んだのはマドリードではなく、バルセロナであった。スペイン人のメンタルは品質よりも流行に重点を置く傾向にある。一つのアパレルが1-2年持てばそれでよいのである。それに耐えるだけの品質でOK。それ以上の品質は要求しない。それを要求する消費者はいるが、それは少数派だ。その少数派の市場はバルセロナよりもマドリードの方が多い。しかも、消費者人口もマドリードはバルセロナの2倍ある。その意味で、最初の進出先はマドリードにすべきであった。

 現在までのスペインでのユニクロの店舗展開を観ていると、ファストファッションのブランドでありながら、やっていることは高級ブランドのやり方を踏襲している感じだ。勿論、それに応えられるだけの商品の品質は他の追随を許さないのは市場で認められている。

 しかし、現在までの市場開拓がスローである限り、市場が他のブランドに喰われて行くように思える。現在までの展開では、ZARAに追いつき追い越すことはできない。

<文/白石和幸>

【白石和幸】

しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身

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